養護教諭に関する法規と役割 |
<学校看護婦>
・明治38年 岐阜県のある学校にトラコーマ対策として学校看護婦がおかれた。
・大正11年 現在の養護教諭の先駆的な学校看護婦の設置がなされた。
・昭和4年 文部省訓令「学校看護婦ニ関スル件」が制定された。
<養護訓導>
・昭和16年 国民学校制度(国民学校令の制定)を機会に学校看護婦は「養護訓導」となり、その地位や身分が確立した。
<養護教諭>
・昭和22年 学校教育法が制定され、養護訓導は「養護教諭」に改められた。
第1条 教育の目的
教育は、人格の完成をめざし、平和的な国家及び社会の形成者として、真理と平和を愛し、個人の価値をたっとび、勤労と責任を重んじ、自主的精神に充ちた心身ともに健康な国民の育成を期して行わなければならない。
第28条 小学校には、校長、教頭、教諭、養護教諭及び事務職員をおかなければならない。ただし特別の事情があるときは、教頭または事務職員を置かないことができる。
A小学校には、前項のほか、必要な職員を置くことができる。
E教諭は、児童の教育をつかさどる。
F養護教諭は、児童の養護をつかさどる。
J養護助教諭は養護教諭の職務を助ける。
(定義)
第2条 この法律で「教育職員」とは、学校教育法第1条に定める小学校、中学校、高等学校、盲学校、聾学校、養護学校、幼稚園(以下学校という)の教諭、助教諭、養護教諭、養護助教諭、及び講師(以下教員)をいう。
(定義)
第2条 この法律で「教育公務員」とは、学校教育法第1条に定める学校で、同法2条に定める国立学校及び公立学校の、学長、校長(延長を含む)教員及び部局長並びに教育委員会の教育長及び専門的教育職員をいう。
2 この法律で「教員」とは、前項の学校の教授、助教授、教頭、教諭、助教諭、養護教諭、養護助教諭、及び講師(常時勤務の者に限る)をいう。
学校教育法第28条7項「養護教諭は、児童の養護をつかさどる」
この「養護をつかさどる」とは、保健体育審議会答申より次のように促らえられる。
◎児童生徒の健康を保持増進するためのすべての活動
養護教諭は、専門的立場からすべての児童生徒の保健及び環境衛生の実態を的確に把握して、疾病や情緒障害、体力、栄養に関する問題等心身の健康に問題を持つ児童生徒の個別の指導にあたり、また、健康な児童生徒についても健康の保持増進に関する指導に当たるのみならず、一般教員の行う日常の教育活動にも積極的に協力する役割をもつものである。
4 学校保健に関する職員及び組織
(1) 保健主事及び養護教諭は、学校において保健活動を推進する中心的職員であり、児童生徒の健康の保持増進が学校教育の大きな課題となっている今日、きわめて重要な役割をになうものである。
以上のことは、大きく次のように分類することができる。
専門的立場から
1 実態の把握
・すべての児童生徒の
・保健
・環境衛生
2 心身の健康に問題を持つ児童生徒の個別の指導
・疾病
・情緒障害、体力、栄養
3 健康な児童生徒の指導
・健康の増進に関する始動
4 一般教員の行う日常の教育活動に積極的に協力
近年、児童生徒の心身の健康問題が複雑、多様化してきており、特に、いじめや登校拒否等の生徒指導上の問題に適切に対応するとともに、児童生徒の新たな健康問題に取り組んでいくためには、学校における児童生徒の心身の健康について指導体制の一層の充実を図る必要があり、保健主事、養護教諭の果たす役割が極めて重要となっている。このため、保健主事に幅広く人材を求める観点から、保健主事には、教諭に限らず、養護教諭も充てることができることとしたこと。また、これにより、養護教諭が学校全体のいじめ対策等においてより積極的な役割を果たせるようになるものであること。
養護教諭の職務 |
養護教諭の職務は、基本的には専門性を生かして児童生徒の健康を保持増進するための活動を行うことである。
保健体育審議会答申に基づいて、文部省では次のような指針を示している。
(1) 体格、体力、疾病、栄養状態の実態
(2) 健康、安全の認識の発達に関する実態
(3) 健康生活の実践状況の実態
(4) 不安や悩みなど心の健康に関する実態
(5) 性に関する実態
(6) 学校環境衛生に関する実態
(7) 保健室で捉えた傷病の実態
(8) その他必要な事項
(1) 心身の健康に問題を有する児童生徒の個別指導・健康相談活動(養護教諭が行うヘルスカウンセリングを含む)
・健康診断の事後措置に関して問題を有する児童生徒
・疾病予防に関して問題を有する児童生徒
・心の健康に問題を有する児童生徒
・性に関して問題を有する児童生徒
・その他必要な事項
(2) 健康生活の実践に関して問題を有する児童生徒の個別指導
・身体や衣服の清潔に関して問題を有する児童生徒
・食事の取り方に関して問題を有する児童生徒
・睡眠などの生活習慣に関して問題を有する児童生徒
(1) 学級活動やホームルーム活動での保健指導
・学級担任が行う保健指導への専門的な助言、資料提供や教材作成の協力
・学級担任との協力授業(ティーム・ティーチング)での保健指導
(2) 学校行事での保健指導
・健康診断に伴う保健指導
・疾病の予防(かぜ、むし歯)等に関する行事での保健指導
・各種行事の実施に伴う保健指導
(1) 日常の救急処置
(2) 学校行事に伴う救急処置、救急体制の整備
(1) 定期・臨時の健康診断の実施計画の立案、準備、指導、評価
(2) 健康診断の事後措置に関する計画と実施
(3) 学校保健法第11条の規定によって行われる健康相談の対象者の把握、計画、準備、実施、事後処理
(4) 心や体の健康に関する健康相談活動(養護教諭が行うヘルスカウンセリングを含む)
(1) 保健主事との協力による学校環境衛生活動実施計画の作成
(2) 学校薬剤師が行う検査活動の準備、実施、事後措置に対する協力
(3) 教職員による日常の学校環境衛生活動(日常点検・事後措置)実施への協力と助言
(4) 地域の環境衛生に関する情報の把握
(1) 学校保健安全計画(特に学校保健計画)
(2) 保健指導の全体計画と年間指導計画
(3) 一般教員の行う保健活動への協力
(4) 保健主事に協力して学校保健委員会等組織活動の企画、運営に参画
(1) 伝染病による出席停止に関する事項
(2) 学校保健法施行規則第22条伝染病予防に関する細則に関する事項
(1) 保健室の機能を生かした保健室の経営計画作成と実施
(2) 保健室の施設、設備の充実
(3) 健康診断及び環境衛生検査に関する器械・器具の整備と管理
(4) 救急薬品・材料の整備・保管
(5) 健康観察の観点及び学校での救急処置基準等の作成・管理
(6) 保健に関する諸表簿の整備及び諸情報の整備・保管
(7) 健康相談、健康相談活動、救急処置、保健指導の場としての環境設定とその整備・活用