予防接種と子どもの健康

「守ろう健康!受けよう予防接種!」


はじめに

予防接種を受けましょう。

予防接種(ワクチン)とは

    終生免疫    不顕性感染    飛沫感染    潜伏期間

予防接種の対象となる病気

予防接種の種類と特徴

予防接種の有効性

予防接種と副反応

予防接種を受けに行く前に

その他


はじめに

 子どもは病気にかかりやすく、かかると重くなることがありますので、病気にならないように守ってあげなければなりません。
 この冊子は、大切なあなたのお子さまがこれから受ける予防接種について、正しい知識を持って、安全に受けるこことができることを願ってつくられたものです。
 この冊子があなたのお子さまの健やかな成長に役立つことを願っています。

平成6年10月  

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予防接種を受けましょう。

 お母さんから赤ちゃんにプレゼントした病気に対する抵抗力(免疫)は、百日咳や水痘(みずぼうそう)では生後3ヶ月までに、麻疹(はしか)やおたふくかぜでは生後8ヶ月ころまでに、自然に失われていきます。ですから、この時期を過ぎますと、赤ちゃん自身で免疫をつくって病気を予防する必要が出てきます。これに役立つのが予防接種です。子どもの発育と共に外出の機会が多くなります。保育園や幼稚園に入るまでには予防接種で免疫をつけ、伝染病にかからないように予防しましょう。

 最近「病気がはやってないので、予防接種はもう必要ないのではないか」という声を耳にします。この考えはまだまだ早計です。予防接種で国民が抵抗力をつけているから病気の流行がおさえられているのを忘れないで下さい。

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予防接種(ワクチン)とは

 はしかや百日咳のような伝染病の原因となるウィルス、細菌または菌の産生する毒素の力を弱めて予防接種液(ワクチン)をつくり、それを体内に接種してその病気に対する抵抗力(免疫)をつくることを、予防接種といいます。「予防接種」に使う薬液のことを「ワクチン」といいます。
 すべての病気に対して予防接種がつくれるわけではなく、病原体の性質によってできないものもあります。

終生免疫

 ウィルスや細菌にかかると体の中に免疫(抗体)ができます。これはそのウィルスや細菌などの病原体に対する抵抗力ですが、その病原体に感染した記憶が体の中に一生涯にわたって残っていて、その病気にかからないですむ状態をいいます。

不顕性感染(ふけんせいかんせん)

 ウィルスや細菌が感染して体の中で増えますが、病気としての症状が出ず、知らない間に免疫だけができるような感染の仕方をいいます。病気になりませんから都合のよい状態ですが、本人もかかったのか、かからなかったのかわかりません。

飛沫かんせん(ひまつかんせん)

 ウィルスや細菌が、せきやくしゃみなどで細かい唾液とともに空気中へ飛び出し、空中を飛んでいって人に感染する方式です。

潜伏期間

 ウィルスが体に感染した後は、体内で少しずつ増殖し、ある日突然症状を出します。感染してから症状が出るまでの期間をいいます。

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予防接種の対象となる病気

*ポリオ

 「小児まひ」と呼ばれ、わが国でも30年前までは流行を繰り返していましたが、予防接種の効果で現在は国内での自然感染は報告されていません。
 ポリオワクチンはヒトからヒトへ感染します。感染したヒトの便中に排泄されたウィルスが口からはいり咽頭または腸に感染します。感染したウィルスは3〜35日(平均7〜14日)腸の中で増えます。しかし、ほとんどの例は不顕性感染終生免疫を獲得します。症状が出る場合ウィルスが血液を介して脳・脊髄へ感染し、麻痺をおこすことがあります。ポリオウィルスが感染すると100人中5〜10人は、カゼ様の症状を呈し、発熱を認め、続いて頭痛、嘔吐があらわれ麻痺が出現します。一部のヒトは永久に残ります。呼吸困難により死亡することもあります。
 感染の合併症として麻痺の発生率は1000〜2000人に1人ですが、麻痺患者が1人発生したときには、その周りに100人以上の感染者がいるといわれています。
 現在でも東南アジアや中国などではポリオの流行がありますから、日本に入ってくる可能性もあります。予防にはワクチンを飲んで免疫をつけておきましょう。

*ジフテリア

 ジフテリア菌の飛沫感染で起こります。
 1981年にDPTワクチンが導入され現在では患者発生数は、年間10名未満ですが、ジフテリアは感染しても10%程度の人が症状が出るだけで、残りの人は不顕性感染のため、保菌者となり、その人を通じて感染することのあることがよく知られています。
 感染は主に咽頭ですが、鼻にも感染します。症状は高熱、のどの痛み、犬吠様の咳、嘔吐などで、偽膜を形成して窒息死することがある恐ろしい病気です。発病2〜3週間後には菌の出す毒素によって心筋障害や神経麻痺を起こすことがありますので、注意が必要です。
 最近では、ロシアで流行がありました。予防接種を続けていかないと再び流行する可能性があります。

 

*百日せき

 百日せき菌の飛沫感染で起こります。
 1956年から百日せきワクチンの接種がはじまって以来、患者数は減少してきています。当時は菌体の入ったワクチンでしたが、現在では副反応の少ない新型の精製ワクチンを使っています。
 百日せきは普通のカゼのような症状ではじまります。続いてせきがひどくなり、顔を真っ赤にして連続性にせき込むようになります。せきのあとに急に息を吸い込むので、笛を吹くような音が出ます。熱は出ません。乳幼児は咳で呼吸ができず、チアノーゼやけいれんが起きることがあります。肺炎や脳症などの重い合併症をおこします。乳幼児では命を落とすこともあります。
 1970年代後半に予防接種率が低下した際、百日せき患者が多数出て、113名の死者を出しました。このようなことを繰り返さないためにもぜひ予防接種を受けましょう。

*破傷風

 破傷風菌はヒトからヒトへ感染するのではなく、土の中にひそんでいます。ヒトへの感染経路は傷口です。傷口から菌が入り体の中で増えますと、菌の出す毒素のために、口が開かなくなったり、けいれんをおこしたり、死亡することもあります。患者の半数は自分では気がつかない程度の軽い傷が原因です。この病気は人にうつるのではなく土の中にいる菌が原因ですが、日本中どこでも菌はいますので、感染する機会はあります。またお母さんが免疫をもっていれば新生児の破傷風も防げますので、ぜひ予防接種を受けておきましょう。

*麻しん(はしか)

 麻しんウィルスの飛沫感染によって起こる病気です。伝染力が強く、一生のうちに一度は必ずかかる重い病気です。発熱、せき、鼻汁、めやに、発しんを主症状とします。最初3〜4日間は、38℃前後の熱で一時おさまりかけたかと思うとまた39〜40℃の高熱と発しんが出てきます。高熱は3〜4日で解熱し、次第に発しんも消失します。しばらく色素沈着が残ります。
 主な合併症としては、気管支炎、肺炎、中耳炎、脳炎があります。患者100人中、中耳炎は7〜9人、肺炎は1〜6人に合併します。脳炎は2000〜3000人に1人の割合で発生が見られます。また、亜急性硬化性全脳炎(SSPE)という慢性に経過する脳炎は約10万例に1例発生します。また麻しん(はしか)にかかった人10000人に1人の割合で死亡します。わが国では現在でも年間約50名の子がはしかで命を落としています。
 予防接種では、これらの重い合併症はほとんどみられません。ぜひ予防接種を受けましょう。

*風しん

 風疹ウィルスの飛沫感染によっておこる病気です。潜伏期間は2〜3週間です。軽い風邪症状で始まり発疹、発熱、後頸部リンパ節腫脹などが主症状です。そのほか眼球結膜の充血もみられます。発疹も熱も約3日間でなおりますので「三日ばしか」とも呼ばれています。合併症として、関節痛、血小板減少性紫斑病、脳炎などが報告されています。血小板減少性紫斑病は患者3,000人に1人、脳炎は患者6,000人に1人くらいです。年長児や大人になってからかかると一般に重傷になりやすく、3日ではなおらないことが多いのです。
 一番恐ろしいのは妊婦が妊娠初期にかかりますと、先天性風疹症候群と呼ばれる異常児(心奇形、白内障、聴力障害など)が生まれる可能性が高くなることです。したがって妊娠前に予防接種を受けておくことが大切です。

*日本脳炎

 日本脳炎ウィルスの感染でおこります。ヒトから直接ではなくブタの中で増えたウィルスが蚊によって媒介されます。7〜10日の潜伏期間の後、高熱、頭痛、嘔吐、意識障害、けいれんなどの症状を示す急性脳炎になります。
 流行は西日本地域が中心になりますが、ウィルスは北海道など一部を除く日本全体に分布しています。この地域で飼育されているブタでの流行は毎年6月から始まり10月まで続きますが、このあいだに80%以上のブタが感染しています。好発年齢は60歳を中心とした成人と5歳未満の幼児です。以前には小児学童に好発していましたが、予防接種の普及で減っているものと思われます。
 感染者のうち1000〜5000人に1人が脳炎を発症します。脳炎のほか無菌性髄膜炎や夏カゼ様の症状で終わる人もあります。脳炎にかかった時の死亡率は約15%ですが、神経の後遺症を残す人が、約50%あります。

*結核

 わが国の結核はかなり減少しましたが、まだ4万人を超える患者が毎年発生しており、大人から子どもへ感染することも少なくありません。また結核に対する抵抗力はお母さんからもらうことができませんので、生まれたばかりの赤ちゃんもかかる心配があります。乳幼児は結核に対する抵抗力が弱いので、全身性の結核症にかかったり、結核性髄膜炎になることもあり、重い後遺症を残すことになります。
 過去に結核にかかったかどうかは、ツベルクリン反応で検査をし、陰性(かかったことのない場合)の時は、BCG接種を受けましょう。これで結核性髄膜炎などは80%、肺結核も50%は予防できるのです。

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予防接種の種類と特徴

 予防接種で使うワクチンには、生ワクチン、不活化ワクチン、トキソイドの3種類があります。

<生ワクチン>

 生きた病原体の毒性を弱めたもので、その病気にかかったのに近い免疫(抗体)をつくろうとするものです。接種後から体内で病原体の増殖が始まりますから、それぞれのもっている性質に応じて、発熱や発しんの軽い症状がでることがあります。十分な抗体が獲得されるのに約1ヶ月が必要です。

  ポリオ、麻疹(はしか)、風疹

<不活化ワクチン>

 病原体を殺し、免疫をつくるのに必要な成分を取り出し毒性をなくしてつくったものです。この場合、病原体は体の中で増殖しませんので、何回か接種し、体に記憶させて免疫を作ります。一定の間隔で数回接種し、初回免疫をつけた後、約1年後に追加接種をして基礎免疫ができあがります。 でも、放置するとまた少しずつ抗体が減ってしまいますので、長期に免疫を保つ場合には、それぞれの性質に合わせて一定の間隔追加接種が必要です。

  百日咳、日本脳炎

<トキソイド>

 細菌が産生する毒素を取り出して、その毒性をなくしたものです。基本的には、不活化ワクチンと同様ですから、何回かの接種で免疫をつけます。

   ジフテリア、破傷風

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予防接種の有効性

 予防接種を受ければ100%その病気にかからないことを原則としていますが、受ける人の体質、その時の体調などによってつかないこともあります。普通健康な人が生ワクチンを受けた場合、96〜98%の人は抗体を獲得できます。もし、確実についたかどうか知りたい場合には血液をとって血中存在する抗体を測定すればわかります。 また、不活化ワクチンやトキソイドでは、基礎免疫を完了すれば98〜99%の人が抗体を獲得します。抗体ができてそのままでは、少しずつ減っていきますので、一定の間隔で追加免疫を受ける必要があります。これを正しく実施すれば、一生涯免疫が続きます。 病気でルール通り接種ができなかったときには、免疫のできにくい時もありますから、かかりつけの医師や接種をする先生に相談してみましょう。

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予防接種と副反応

 予防接種と聞くと副反応が心配と消極的になっておられる方もいるようですが、その病気にかかった場合と比較してよく考えてみて下さい。現在日本で使用しているワクチンは、世界の中でも優秀なもので、副反応の頻度も少ないものです。
 しかし、人間の性質はひとりひとり違いますから、副反応の出る人もでてきます。程度はいろいろですが、大切なことは子どもさんの体のことがよくわかったかかりつけの先生に体調をよく診ていただき、接種をしていただくのがいちがんよいと思います。地域によっては集団接種のところもありますが、その場合には接種会場で診察される先生によく相談して、納得して子どもさんのため、予防接種を受けましょう。

*ポリオ(急性灰白随炎)ワクチン(経口ワクチン)

 T、U、V型の3タイプのポリオワクチンウィルスが混ざっています。飲むことによりそれぞれがつきます。しかし1つか2つの型だけの免疫しかつかないこともありますので、2回飲むことが決められています。それによって前回つかなかった型に対して免疫ができて予防体制ができ上がります。
 ひどい下痢をしているとウィルスがつきにくいので注意しましょう。
<副反応>
 ワクチンウィルスは弱毒化されており安全なワクチンですが、服用後体内で増えますので、100万人以上の投与に1人程度の極めてまれな頻度ですが、ウィルスが脳脊髄に達して麻痺を生ずることがあります。

*DPT三種混合(ジフテリア・百日せき・破傷風)ワクチン(不活化ワクチンとトキソイドの混合)

 T期として初回接種3回、その後1年〜1年半たって追加接種を1回行います。またU期として11〜12歳時(6年生)に二種混合(DT)で追加免疫をします。
 回数が多いので、接種もれに注意しましょう。
 確実な免疫をつくるには、決められたとおりに受けることが大切ですが、万が一間隔があいてしまった場合でも、はじめからやり直すことはせず、規定の回数を越えないように接種します。かかりつけの先生に相談しましょう。
<副反応>
 1981年に百日せきワクチンが改良されて新しい精製ワクチンに変わって以来、副反応の少ない安全なワクチンになっています。現在の副反応は注射部位の発赤、腫脹、硬結(しこり)などの局所反応が主です。頻度や程度の差はありますが、初回接種1回目のあと、100人中20人近い人に、3回目のあとでは、100人中40〜50人くらいの人にみられます。多いように思えますが、これは免疫がついているからおこる現象です。直径5p以上の目立った局所反応出現率はすべてを通じて100人中1〜2人です。なお、硬結(しこり)は少しずつ小さくなりますが、数ヶ月残ることもあります。特に過敏な子で肘をこえて上腕全体が腫れた例が多少ありますが、これも湿布などで軽快しています。
 通常高熱は出ませんが、24時間以内に37.5℃以上になった子が3〜4%あります。以上のように重篤な反応はありませんが、機嫌が悪くなったり、腫れが目立つときなどは医師に連絡してご相談ください。

*DT二種混合(ジフテリア・破傷風)トキソイド

 三種混合ワクチンを受ける前に百日せきにかかってしまった人は、二種混合ワクチンを使用します。接種方法はT期の初回接種は通常、沈降ジフテリア破傷風混合ワクチンを使いますので2回の接種です。追加接種は12〜18月後に1回行います。

*麻しん(はしか)ワクチン(弱毒生ワクチン)

 1歳から2歳の間にかかる子が多くなっています。1歳になったら半年以内に受けるように努めましょう。遅くなった場合でも保育園、幼稚園などの集団生活に入るまでには、必ず受けておきましょう。
 1歳前に保育園に入園させる場合には、10ヶ月頃に麻しん(はしか)ワクチンを任意で受けることをおすすめします。その場合お母さんからの免疫の影響でつきが悪い子もありますので、定期接種と同じときに、もう一度受けなおしてください。
 ガンマグロブリンの注射を受けたことのある人は3ヶ月から6ヶ月たってから麻しんの予防接種を受けて下さい。(ガンマグロブリンは、血液製剤の一種でA型肝炎等の感染症の予防目的や重症の感染症の治療目的などで注射することがあります。
<副反応>
 このワクチンは弱毒生ワクチンですからウィルスが増えるため、接種してから1週間後から発熱や発しんなど、軽い麻しん(はしか)に似た症状が約20%の人に出ます。通常は1〜2日で消失します。またまれに熱性けいれんが起こります。またごくまれ(100万人に1人程度)に脳炎の発生も報告されています。

*風しん(三日ばしか)ワクチン(弱毒生ワクチン)

 2〜3歳になると、かかる人が急に増えますので、3歳までに受けるようにしましょう。男の子も女の子も受けることになります。保育園や幼稚園に行く人は、麻しん(はしか)に続いて入園の前にすませましょう。お母さんが次の子どもを妊娠中であっても、お子さんは受けられます。
 また、今まで中学生の女子のみに接種をしていましたが、これからは中学生の男女とも接種ができます。まだかかっていない人は受けておきましょう。
<副反応>
 風しんワクチンも弱毒生ワクチンですから、麻しん(はしか)と同じようにウィルスが体内で増えます。軽い発熱、発しん、リンパ節腫脹などがみられますが、接種を受けた者100人中4人以下です。成人女性は一過性の関節痛が接種を受けた者100人中6人程度にみられます。ワクチン接種後1〜2週間に接種者の咽頭からワクチンウィルスの排泄が認められることがありますが、まわりの人にはうつらないといわれています。

*日本脳炎ワクチン(不活化ワクチン)

 北海道をのぞく日本全国に日本脳炎ウィルスをもった蚊がたくさんいます。3歳を過ぎたら受けましょう。
<副反応>
 日本脳炎ウィルスを精製し不活化したものです。
  副反応としては2日以内に37.5℃以上の発熱が接種を受けた者100人中 1人以下にみられています。注射局所の発赤、腫脹も接種を受けた者100人中1〜3人以下です。発しんも圧痛もまれにみられます。

*ツベルクリン反応・BCG

 ツベルクリン反応をまず行い、48時間後に判定して陰性の人(長径が9o以下)にBCGの接種を行います。
 BCGの接種方法は管針法といってスタンプ方式で上腕の2カ所に押しつけて接種します。接種したところは、日陰で乾燥させてください。10分程度で乾きます。
<副反応>
 BCGは牛型結核菌を弱めた生ワクチンです。
 接種後2〜3週間で接種局所に赤いポツポツができ、一部に小さくうみをもったりします。約4週間でかさぶたができてなおります。これは異常反応ではなく、BCGがついた証拠です。包帯をしたり、バンソウコウをはったりしないで、そのまま普通に清潔を保ってください。自然になおります。
 副反応としては接種をした側のわきの下のリンパ節がまれに腫れることがあります。通常放置して様子をみてかまいませんが、特に化膿して自然にやぶれてうみが出ることがあります。その場合には、医師に診てもらってください。

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予防接種を受けに行く前に

1 一般的注意

 予防接種は健康な人が元気なときに接種を受け、その病原体の感染を予防するものですから、体調のよい時に受けるのが原則です。日ごろから保護者のみなさんはお子さまの体質、体調など健康状態によく気を配って下さい。そして何か気にかかることがあれば、あらかじめかかりつけの先生や保健所、市町村担当課にご相談下さい。

 以下の注意を守って、安全に予防接種を受けられるよう、保護者のみなさんもご協力下さい。

@ 受ける予定の予防接種について、通知やパンフレットをよく読んで、必要性や副反応についてよく理解しましょう。わからないことは会場で接種を受ける前に質問しましょう。

A 受ける前日は入浴(またはシャワー)をさせ体を清潔にしましょう。

B 当日は朝から子どもの状態をよく観察し、ふだんと変わったところのないことを確認して下さい。

 接種に連れていく予定をしていても、体調が悪いと思ったら、やめる勇気をもちましょう。

C 清潔な着衣をつけましょう。

D 接種を受ける子の日ごろの状態をよく知っている保護者の方がつれていきましょう。

E 予診票は子どもを診て接種をしてくださるお医者さんへの大切な情報です。責任をもって記入するようにしましょう。

F 母子健康手帳は必ず持っていきましょう。

2 予防接種を受けることができない人

@ 明らかに発熱のある人

 一般的に、熱のある人は、接種会場で測定した体温が37.5℃を越える場合をさします。

A 重篤な急性疾患にかかっていることが明らかな人

  急性の病気で薬をのむ必要のあるような人は、その後の病気の変化もわかりませんので、その日は見合わせるのが原則です。

B その日に受ける予防接種によって、または予防接種に含まれる成分で、アナフィラキシーを起こしたことのある人

 「アナフィラキシー」というのは通常接種後約30分以内に起こるひどいアレルギー反応のことです。発汗、顔が急に腫れる、全身にひどいじんましんが出るほか、はきけ、嘔吐(おうと)、声が出にくい、息が苦しいなどの症状に続きショック状態になるようなはげしい全身反応のことです。

C ポリオ、麻疹(はしか)、風疹では妊娠していることが明らかな人

D その他、医師が不適当な状態と判断した場合

 上の@〜Cに入らなくても医師が接種が不適当と判断した時はできません。

3 予防接種を受けるに際し、お医者さんとよく相談しなくてはならない人

 これに該当すると思われる人は、主治医の先生がある場合には必ず前もって診ていただき、その先生のところでうってもらうか、あるいは診断書又は意見書をもらってから接種に行きましょう。

@ 心臓病、腎臓病、肝臓病や血液の病気などで治療を受けている人

A 発育が悪くお医者さんや保健婦の指導を継続して受けている人

B 未熟児で生まれて発育の悪い人

C カゼなどのひきはじめと思われる人

  こういう時は体の状態がはっきりするまでなるべくやめておきましょう。

D 前に予防接種を受けたとき、2日以内に発熱、発疹、じんましんなどアレルギーを思わす異常がみられた人

E 薬の投薬を受けて皮膚に発疹が出たり、体に異常をきたしたことのある人

F 今までにけいれんを起こしたことがある人

  けいれんのおこった年齢、そのとき熱があったか、熱がなかったか、その後おこっているか、受けるワクチンの種類はなにかなどで条件が異なります。必ずかかりつけの先生と事前によく相談しましょう。

  原因がはっきりしている場合には、一定期間たてば接種できます。

G 過去に中耳炎や肺炎などによくかかり、免疫状態を検査して異常を指摘されたことのある人

H ワクチンには抗原のほかに培養に使う卵の成分、抗生物質、安定剤など入っていますので、これらにアレルギーがあるといわれたことのある人

I 家族の中で、または遊び友達、クラスメートの間に、麻疹(はしか)、風疹、おたふくかぜ、水痘(みずぼうそう)などの病気が流行している時で、予防接種を受ける本人がその病気にかかっていない人

4 予防接種を受けた後の一般的注意事項

@ 接種後、24時間は副反応の出現に注意していきましょう。

A 接種後生ワクチンでは2〜3週間、不活化ワクチンでは24時間は副反応の出現に注意していきましょう。

B 入浴は差し支えありませんが、わざと注射した部位をこすることはやめましょう。

  入浴は、従来さけることとされていましたが、今後は、入浴は差し支えないものとしています。これは生活環境の整備によって、入浴時に注射部位又は全身性の感染を受ける可能性はきわめて低くなっており、即時型アレルギーが予想される注射後1時間を経過すれば、入浴は差し支えないと考えられるためです。

C 接種当日はいつも通りの生活をしましょう。はげしい運動はさけましょう。

 以上の注意をよく読んで、わからないことがあれば質問しましょう。

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その他

副反応がおこった場合

 予防接種の後まれに副反応の起こることがあります。また、予防接種と同時に、ほかの感染症がたまたま重なって発症することがあります。

 予防接種を受けた後、注射部位のひどい腫れ、高熱、ひきつけなどの症状があったら、とりあえずの救急処置をした後、市町村担当課まで連絡して下さい。 

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予防接種に行く前のチェック

1 子どもの体調はよいですか。

2 今日受ける予防接種について理解していますか。

3 母子健康手帳はもちましたか。

4 予診票の記入はすみましたか。

5 着衣など清潔にしていますか。

 さあ出かけましょう!

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