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大阪人語る篇

 ワシな、大阪から来よんねや。でもな、今治では商売やりにくいで。

 今治の人間かいな。えげつないで、ホンマの話。ワシら、大阪人はな、ケチや。そやけどな、人情はあるんや。ここまでしたらあかん、ちゅう線引きはきちんとしとる。
 例えばやで、正札では物は買わんけど、ここまで値引いたら相手先は完全に赤やと思うときはやな、「あんたとこもちょっとは儲けや」ゆうて引くがな。長いお付き合いやさかいな。
 ところがやな、今治はとことん値引けゆうて聞かん。お前の損なんか知るかい、てなもんや。いややで。お付き合いでけへんがな。
 そやから、今治への出張、いやや。何とか儲けよ思て、頑張るんやけどな。さっぱりわややわ。

 でもな、今治の喰いもん、美味しいがな。魚も活きがええ。ぴちぴちしよる。大阪は喰いだおれゆうけどな、今治には負けるわ。

 それと焼鳥な。皮が美味しいわ。パリパリっとしててな、食いついたら、旨味が染み出てきよんねん。今治の商人は嫌いやけど、食べもんはええわな。

 こないだな、うちの得意先、資材の人が奢ってくれた。珍しいな、雨でも降るんと違うか思たら、ホンマに雨や。濡れながらな、焼鳥屋へ行ったんや。
「いつも無理ばかりいうてすまんな」
 そこでな、その人そんなこというんや。
「遠慮せんと何でも食べてや」
 ワシ、見直したがな。ええ人やったんやな、思うて。どんどん食べた。
 勘定払うときや。その人の払い、こっそり見たんや。安い、安い。焼鳥屋やもんな。

 そのとき、ワシ思うた。この人、やっぱりケチやわ。今治の人や、と。

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