鉄板焼鳥

 今治の焼鳥は、鉄板で焼かれます。重しを使い、上から押さえつけると、鉄板の熱で蒸され、中まで火が通ります。鳥の脂で肉も揚げたようにカリッとなり、脂の旨味が美味し差を引き出すのです。鉄板にも秘密があります。ちょっと斜めに作り、肉の脂を切るようにつくられているので、カラッとできあがります。

 鉄板焼鳥が誕生したのは、昭和30年代。「五味鳥」がその発祥です。鉄板で焼いた理由は、せっかちな今治人に対応するためといいます。注文してもたもたしていたら、帰ってしまうために、考えだされたといいます。

 値段はというと、店により差がありますが、ひと皿250〜300円。鉄板で焼かれるため、「皮」は、串を使いません。「早い・安い・旨い」という一昔前の洋酒の宣伝コピーのよう。軽く食べて呑んでひとり2000円前後ですみます。

 安さの理由は、自分でつくれるため、調理人などの人件費を少なくできます。また、鳥をさばくことも、自分で行うことで、原材料費をカットできます。また、設備投資も少なくてすみ、店の改装も頻繁に行う必要もありません。しかも、のんびりくつろぐ店ではないため、回転率は高く効率的です。これらがも焼鳥の値段に反映されています。

 炭焼と鉄板焼の違いが大きく出るのは「皮」です。今治鉄板焼鳥の名物。炭焼の「皮」は串に刺され、柔らかい食感を楽しむ。鉄板焼の「皮」は皿で出され、表面はカリッと硬く、中は柔らかくジューシー。気になる脂分をほとんど感じさせません。材料と名前は同じでも、鉄板焼と炭焼では、「皮」はまったく別ものと考えたほうが良さそうです。

 今治では、焼鳥の作法として「皮にはじまり、せんざんきで〆る」という言葉があり、今治独自の鉄板焼鳥がすみずみまで浸透しています。他の地方では見かけない鉄板焼鳥。今治の食文化を肌で体験してもらう絶好の機会です。

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