小魚の珍味

「二名煮」と「儀助煮」

 小魚の珍味は、小魚をどのようにすれば、美味しく食べられるかという方策からはじまったようだ。刺身は無理。天婦羅では骨がましすぎる。ならば、食べにくい小魚を煮て、辛味と甘味をつければいい。こうして、珍味はつくられた。

 この地方の珍味では、明治時代、博多の商人・宮野儀助が考案した「儀助煮」が有名だ。松前町では、浜田佐太郎氏の手により、小魚を調味して乾燥させた「儀助煮」の販売がはじまった。
 「おたたさん」と呼ばれる女性行商によって全国に広がり、戦前は満州、朝鮮、ハワイにまで販売ルートを拡大している。これを証明するように、珍味発祥の記念碑が松前町にある。現在、松前町のちりめん、いりこなどの小魚珍味は全国の約80%を占め、他には類を見ないシェアを誇っているという。

 この珍味は、松山で「二名煮」と呼ばれる。「「二名煮」は、松山市近海でとれる新鮮な小魚やエビ、ノリなどを乾燥させ、味付けして独特の風味をもたせたもの。明治二十年頃から製造されている。『古事記』に四国が二名島とあるのにちなみ、画家の富岡鉄斎が名づけた。

 「二名煮」も「儀助煮」も内容はほぼ同じもの。小魚を食べて、DHAとカルシウムを身体に取り入れるには、最適のおつまみだ。愛媛の日本酒は、かつてあまいものが多かったが、この肴は、若干の辛味があり、甘い酒をついすすめてしまうという魔術を使っていたようだ。

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