カツ丼とカツライスの狭間

デミグラスソースの不思議

 今治地方のレストランでみかけるものに「カツライス」がある。ご飯の上にトンカツをのせ、デミグラスソースをかけたもの。ハヤシライスの野菜抜きソースがトンカツにかかっていると思えばいい。

 デミグラスソースを使った「カツ丼」というと岡山が本場だが、今治にもあるらしい。デミグラスソースを使うと洋風のイメージになるが、丼となるとミスマッチのような気もする。また、ある人の談では、香川県の食堂が四国ではじめて「カツライス」をはじめたともいう。
 「カツ丼」は、他にもさまざまなバリエーションがあり、例えば、福井県ではウスターソースの「カツ丼」、名古屋の味噌「カツ丼」など。ただ、カツは洋食から来ていることを考えると、ソースを使う方が正統のようであり、玉子とじは、あとから出てきたように思えるから不思議だ。

 話を戻そう。丼にのせると「カツ丼」となり、皿で供されると「カツライス」。このあたりの境界線も実に微妙である。

 今治では、「カツライス」の有名店に広小路の「タイガー」がある。ここは、一口カツに濃いめのデミグラスソースがかかっている。上品な味わいである。

 辰ノ口の「ごんべ食堂」は、切られたトンカツに、デミグラスソースがかかる。カツカレーのイメージだ。ご飯の脇にキャベツの千切りが添えられているのも興味深い。この店での喜びは、500円という安さである。

 もう一度、「カツライス」を食べて、この差が何かを考えてみよう。哲学的な命題が発見されるかもしれない。

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