アインシュタインの罪と罰

「アインシュタインの脳」(ケビン・ハル監督)「アトミック・カフェ」(ケビン・ラファティ他監督)

 三年ほど前、古本屋へ出かけると、奇妙なタイトルのビデオがありました。「アインシュタインの脳」という題名、ピンクのケースに入っています。裏を見るとSAMPLEとあり、手に入りにくいものだと思い、購入。

 鑑賞してみると、天才物理学者・アインシュタインの脳を探し求める近畿大学助教授の杉元賢治氏の物語。しかも、イギリスの国営テレビBBCの製作でした。

 内容は「Looking for Einstein's Mr.Googbar」ならぬ「Looking for Einstein's Brain」とでもいうべきもの。アインシュタインの死後に脳が摘出され、プリンストン大学を皮切りに、その存在を探し求めていくというドキュメントです。
 杉元氏は、あまり上手とは思えない英語を駆使して、アインシュタインの脳を捜しまわり、ついに手に入れます。感動といいたいところですが、入手する意味はあるのだだろうかと、突っ込みたくなってしまいます。

 このドキュメンタリーの面白さは、杉元賢治氏の存在感に尽きます。

 アインシュタインというと、ルーズベルト大統領に原爆をつくるよう、手紙を出したことが、核兵器製造の発端だった」といわれます。のち、彼はこのことを後悔し、平和運動に身を捧げます。

 ビデオ棚の中に、原水爆をテーマに反核を打ち出したドキュメンタリーがあったことに気づきました。その題名は「アトミック・カフェ」。
 原水爆実験の実写や放射能に関するアメリカ政府のプロパガンダ・フィルムを集めて、いかにいい加減な洗脳が行われていたかを告発するものです。強面に反対というのではなく、馬鹿げたことがいかに行われていたかを、わかりやすく見せてくれるため、心に残ります。

 例えば、原爆が落とされたときは、身を伏せて爆風をかわわせば大丈夫との政府報道。間違った考え方を、大真面目にPRしている証拠のフィルムが列挙されています。

 レイモンド・ブリッグスの「風が吹くとき」を見たとき、核の脅威を知らない老夫婦を無知だと思っていたのですが、放射能の危険を知らせることなく、大丈夫とプロパガンダされていれば、私たちもそう信じたかもしれません。

 アインシュタインに関係した2本のビデオ。1本は「おたく」について、もう1本は「本当と嘘」を私たちに教えてくれます。

「アインシュタインの脳」
EINSTEIN'S BRAIN

カラー・65分
1994年イギリスBBC
監督/ケヴィン・ハル
製作/アンソニー・ウォール
  /ナイジェル・フィンチ
プロデューサー/ケヴィン・ハル
  /ポール・グルーベル・リー
撮影/アラン・パーマー
編集/ジェームス・ハイ

リポーター/杉元 賢治

「アトミック・カフェ」
THE ATOMIC CAFE

カラー・90分
アメリカ映画
製作・監督
  /ケヴィン・ラファーティ
  /ジェイン・ローダー
  /ピィールス・ラファーティ

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