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「よく行く焼鳥屋」であり、美味しい焼鳥屋ではない。行きつけの店の条件をアンケートした。
よく行く要因として「価格的要因」「味覚的要因」「人柄的要因」「店舗的要因」「関係的要因」「地理的要因」に分類した。
「価格的要因」とは安い、リーズナブルな価格である、ということ。「味覚的要因」はうまい、美味しい、◯◯がうまい、といった要因。「人柄的要因」は大将の面白さ、従業員の対応、人柄や素養に関係すること。「店舗的要因」はメニュー内容、店舗の広さ、雰囲気などの要素が関係したもの。「関係的要因」は知り合い、友人、無尽がある、といったもの。「地理的要因」とは場所が近い、職場の近所にあるなど行きやすい場所に焼鳥屋がある、ということである。
分析してみると、行きつけの焼鳥屋を選ぶのは味覚だけではないということが解る。
会社の帰りに寄りやすい場所、メニューの豊富な店、大将の人柄がよく雰囲気の良い場所、安いところ、美味しい店など複合的な価値で選ばれている。それだけ、焼鳥屋が身近な存在であることが解る。
よく行く焼鳥屋のトップに輝いたのは「八味鳥」。大将が身体を悪くして二年ほど休んでいたというハンデをものともせず、堂々のトップ。
今治大丸の斜め前という場所の利もさることながら、メニューの美味しさも評価されている。大将は鉢巻きをきりりと締め、法被を身にまとったいなせな人。口数は少ないが、焼鳥の味に信念を持った人である。
焼き方は鉄板。あっさりとした味わいで酢醤油で食べる野菜の焼物は人気が高い。勿論、今治鉄板焼鳥の象徴「皮」はナンバーワンの人気。
今治焼鳥四天王の一つである。
二位には鉄板焼鳥の元祖「五味鳥」が票を集めた。テレビなどの取材も多く、老舗として地元では有名。
今治焼鳥四天王の一つ。大将は今治鉄板焼鳥についてあれこれと親切に教えてくれる。壷にこびりつき、鍾乳石のようになったタレが積年の日々を感じさせる。やや甘口のタレが懐かしさを感じさせる。
人気メニューは「せんざんき」。値段の安さと表面がかりっと揚がったジューシーな味わいが評判を呼んでいる。「鳥ネギ」と「皮」の人気も高い。
三位は「風来坊」。女性を中心に票を集めた。
こちらは直焼き。名古屋の焼鳥スタイルを取り入れている。メニューの豊富さは定評があり、居酒屋と呼んでも差し支えないほどだが、ここでの人気は「風来揚」と呼ばれる手羽先の唐揚げ。スパイスがよく効いたカリッとした「風来揚」はビールに合う肴として人気である。
店内は広く、座敷にゆったりと座れることも人気の一因である。
四位は「世渡」。四天王「無味」の末裔。
大将の焼鳥に対するこだわりが尋常でない。食材に対する厳しい眼、料理への愛情が店のあちらこちらに顔を見せる。新しいアイデアの取り入れも行い、美味しい焼鳥料理を提供する。アンケート寸評での「鳥懐石とも呼べる料理」に全面的に同意する。
焼鳥への姿勢は広く評価されており、玉葱のスライスが上に乗った「せせり」、キャベツ・ネギのペーストをつなぎに使った「れんこん」、柔らかな食べ心地の「きも」。「手羽先」も人気が高い。
今治の郷土料理「いぎす豆腐」も時期により食べることが出来る。この「いぎす」は絶品。「いぎす」のイメージを変えてしまう美味しさである。
五位は「鳥林」。NTT横にある老舗。やや辛めのタレ、材料にこだわった美味しさに加え、大将の人柄、雰囲気に老若男女を問わずファンが多い。店に立ち寄ると、元気にあふれ、明日の元気を与えてくれる店。
「鳥林」の「皮」は絶品。親鳥を使い、こりこりとした食感と深い味は一度食べるとクセになる。女性の人気が七位と低いのが気になるが、立ち寄ってみてほしい。オヤジ御用達のようだが、中は温かい雰囲気。一度行くとやみつきになる。
「れんこん」「えのき」はこの店が今治の元祖。「えび」や「いか」「なごや(ふぐ)揚」と海の味の焼物も豊富で地物を使っているため、安くて新鮮なのがうれしい。梅干しと紫蘇が入った「梅チューハイ」も試してみる価値がある。
今治鉄板焼鳥、四天王の一つ。
六位は「はち八」。
今まで紹介した店が市内繁華街にあるのに比べ、この「はち八」は郊外の立花郷地域。広くておしゃれな店。約二○年余りの歴史を持つ。以前は郷組合マーケットの隣で営業していた。現在の場所に移転したのは六年前。
女性・二○歳代の人気が高く、清潔で広々とした店内は焼鳥屋のイメージを一新している。お客様に合わせて、美味しいものを出していくという姿勢。押しつけでない、真の満足感をお客様に提供したい、と大将。焼鳥だけでなく魚や刺身も多彩に揃えているのもそのためという。色々な人に喜んでもらうためにメニューを豊富にしている。
「皮」はネギと一緒に焼かれてあり、ネギの香ばしい香りとカリカリした皮の味が溶け込んで独特の風味を出している。鉄板焼鳥。
七位は「ういち」。
この店も郊外にある。今治南校の近く。炭焼の店である。
内装は和調でシンプル。こぎれいな内装で店内は清潔。掃除も行き届いている。一二席ほどのカウンター以外に座敷があり、思いの外広い。大将は四○歳前後と若く、従業員も活気がある。
きびきびした姿勢に好感が持てる。今治ではこうした炭焼の焼鳥屋が珍しく、新鮮であり、若い人たちで繁盛している。女性が多い店である。
八位は「南蛮亭」。
繁華街にあるが、ビルの二階と場所は悪い。こちらは東京六本木の焼鳥屋の流れを汲む。直焼の店。二○年の歴史を感じる大人の雰囲気の店。
大将は代替わりで一六年前から営業している。寡黙な人。会話を楽しんでもらいたい、との考えから、話の邪魔をせず最小限の会話に留めている。今治の多くのガヤガヤした焼鳥屋と比べれば、こちらは落ちついた雰囲気で飲める静かな店である。
鉄板と直焼の人気度を探る
鉄板と直焼。今治での人気度を比較してみた。アンケートに登場する「よく行く店」(今治以外の焼鳥店は除く)の焼き方を男女別、年代別に分類する。
結果は全体で鉄板六二%、直焼が二六%。女性になると鉄板が五三%、直焼が三六%に変わる。直焼のヘルシーなイメージに加え、直焼の店はインテリアが広くて清潔なところが多いことが女性の人気を呼んでいる、と考える。
年齢別に見ると、二○歳代では鉄板五三%、直焼が三九%と、直焼の人気は高いが、四○歳代・五○歳代以上になると鉄板が七割、直焼が一割と圧倒的に鉄板焼鳥が支持されている。
ヤング・女性は直焼、オヤジは鉄板焼鳥というアンケート結果となった。
今治の焼鳥の今後の問題は直焼勢力に対抗し、鉄板焼鳥をいかに若年層にアピールするか、にかかっている。女性に好まれるインテリア・メニュー開発などが必至であり、鉄板焼鳥でありながら女性に人気の高い、「世渡」さんの方向がこれからの今治鉄板焼鳥の指針となるのではないか。
焼鳥新店の鉄板・直焼の折衷方式がどう発展していくかが気になる。この二・三年にオープンした焼鳥店はこの折衷方式となっている。「皮」「野菜」の旨さを追求しながら、直焼のさっぱり味を追求したもの。
鉄板焼鳥の発展を促した早いメニュー提供が今治人にとって問題にならなくなったのも直焼の焼鳥が増えた一因かもしれない。今治人のせっかちさがだんだん薄れてきたのだろうか。
オヤジとヤングの二極化が進む今治の焼鳥屋。鉄板焼、直焼それぞれの味を覚えた今治市民のテイストがどのように変化していくのだろうか。また、架橋時代を迎え、今治を訪れた人々が果たしてどちらの焼鳥に軍配を捧げるかが楽しみである。
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