我が天下

我が天下の人々。
  • 電車で当たり前のように携帯電話を使用する人々。
  • 順番に並んでいても、当たり前のように割り込んでくる人々。
  • 自然を満喫するため自家用車を使用して、山を切り崩し海を埋め立てた広い道路を利用して大自然の中に出かける人々。
  • 自然を大切にと言いながら、大型自家用車しか購入しない人々。
  • 自然を守ろうと言いながら大量輸送手段を棄て自家用車を増やす手段を選ぶ人々。
  • リサイクルと言いながら捨てる文化を棄てられない人々。
  • 「自分だけは...」「これくらい...」といつのまにか皆が同じことを考えていることに気付かない人々。

言っていることとやっていることがまったく違っていても恥じることもなく、まして自分の言動に相反していることさえ気づかない。

ある人が講演で良い話を聞いて、『他人の悪口は言わない。その人の気持ちにになって考える・・とても良い話だった』と知り合いの人に講演の話をして、すぐに他人の非難中傷するような悪口をヒソヒソと話をしている。
『良い話』はどこに置いてきたの?

ある交差点で左折をしている時に、交差点の左側は見えないので徐行しながら左側ギリギリに曲がっていると、対向車が左いっぱいになって猛スピードで現れた。相手は交差点を左折しようとして対向車領域まではみ出したようだ。そのまま進めば正面衝突になるので直ぐに止まったが、相手の助手席に学生服を着た子供を乗せたお母さんは、こちらが悪いかのようにこちらをにらみつけ、そのまま過ぎ去った。
詫びることもなく、にらみつけることしかできなかったお母さんの顔を思い出すと、もし衝突していたら「私は悪くない。この人が悪い。」とこちらが一方的に悪者になってしまうのではないかと、背筋がぞーっとしてしまう。
なぜそう思ったのか、ずーっと前に友人と単車で九州を旅行していたときのこと、友人が交差点を直進中に対向車が急に右折してきてぶつけられたことがあった。私は後ろから一部始終見ていたのだが、自動車を運転していた若い女性は車から降りるなり「どこを見ているの!」と友人が一方的に悪いように言ってから「弁償してもらうから!」と続けて言っていた。近くにいた男友達が出てきて話は更にややこしくなり、女性は私たちが県外の旅行者だと言うことと、男友達が来てくれたこともあり益々喋る言葉に力が入っていく。嫌な思い出。
結局、うまく喋れる人間が得をする。そして、うまく喋れない、もしくは説得することが不得手な人間は損をする。うまく喋ることができる、または話術が上手なら、権力・地位を利用してどんなに悪いことをしても許される社会になってしまったのではないか。

  • 何時の頃からか、ある時は弱い人間を装い保護されることを求め、ある時は『××の権利』を盾に利用するようになった。
  • 何時の頃からか、どんなに真面目にルールを守ったところで感謝や尊敬されることがなくなった。
  • 何時の頃からか、他の人が見ていなければ何をしてもよくなり、説得力のある言葉だけで自分の正しさを主張して、間違っていても正論としてまかり通るようになった。
  • 何時の頃からか、真面目にルールを守っている人を馬鹿にして、本当に思いやりのある人を利用するようになった。
  • 何時の頃からか、親達は子供達に人間としての道徳を教えなくなり、賢く生きていく悪賢い知恵を与えるようになった。
  • 何時の頃からか、飾り言葉で紙切れに書くことのできる人間性と、紙切れに書かれた知識で人間としての優劣を付け、区別するようになった。
  • 何時の頃からか、人権、人権と言いながら他人の気持ちなど考えなくなった。
  • 何時の頃からか、偉い人たちも権力という力を利用し自分が正義で天下人だと思い始めた。
  • 何時の頃からか、当たり前といわれたマナーやルールがなくなり無法化した。
  • 何時の頃からか、当たり前のルールを守るように注意をすると逆に叱られ、時々ナイフで刺されたりするようになった。
  • 何時の頃からか、悪いことや、昔だったら恥ずかしいこととされることでも誰も恥じることはなくなった。

ほんの些細なルール破りが、ほんの些細な甘えが、いつのまにか規則や法律さえ破ってもそれが当たり前で、誰も恥じることはなくなったのではないだろうか。
本当は、ほんの些細な思いやり、いたわる心から人権が生まれ、そして法律が生まれるのではないだろうか。
今、私たちにできることは、自然や動物、そして人間へ、ほんの小さな思いやりといたわりを持つことではないだろうか。
たとえ他人の犠牲になることはよくないと指摘されても、そのことに指をさされ笑われても、「損をするから止めろ」と言われても、「お前だけいい恰好するな」と叱られても、いつの日にかきっと思いやりに溢れた世界になることを信じて、身の回りから小さな行動を起こそう。

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