屈折・調節とその異常
1.屈折と調節
a.屈折
光線・・・角膜で強く屈折され、房水ではあまり屈折されず、
水晶体ではかなり屈折され、硝子体ではわずかに開散
b.調節
調節・・・毛様体筋の働きによって水晶体の厚さを変え、屈折を変化させて、
網膜に鮮明な像を結ぶ目の機能
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毛様体筋 |
チン小帯 |
水晶体 |
近くを見る時 |
収 縮 |
弛 緩 |
厚くなる |
遠くを見る時
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弛 緩
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緊 張
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薄くなる
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静的屈折・・・調節を休ませた時の本来の屈折状態
動的屈折・・・調節をしている時の屈折状態
近点・・・調節を最大に働かせた時にはっきり見える点
遠点・・・調節を休ませた時にはっきり見える点
調節力・・・近点と遠点の距離(調節域)をレンズの単位:ジオプター
(diopter,D)で表したもの
近点距離:acm 遠点距離:bcm 調節力:AD
AD=100/a−100/b
※調節力は年齢によって違い、小児では大きく、年をとるに従って小さくなる。
これは水晶体の弾力性が年とともに低下するためであり、42・3歳になって
近くのものが見にくくなる → 老眼
2.近視
a.近視・・・調節を休ませた時に平行光線が網膜の前で像を結ぶ屈折状態
・眼軸が長い → 軸性近視
・屈折が強い → 屈折性近視
b.種類
c.単純近視
眼底に変化なく学校在学中に発生することが多いため学校近視とも言われる
d.病的近視
幼児から発生・進行 → 眼底に萎縮や変性、硝子体液化
→ 網膜剥離、失明の危険
e.偽近視
中毒や外傷、近業を続けたため毛様体が痙攣をおこし、調節痙攣となり、
一時的に近視の状態になったもの

3.遠視
a.遠視・・・調節を休ませた時に平行光線が網膜の後で像を結ぶ屈折状態
・眼軸が短い → 軸性遠視
・屈折が弱い → 屈折性遠視
b.遠視があると近い所を見る時はもちろん、遠い所を見る時でも、
常に調節をしないとはっきり見ることはできない
軽度の遠視の人は調節することにより、裸眼視力は良好である
・潜伏遠視・・・調節により良好な視力が得られる部分
・顕性遠視・・・調節してもなお凸レンズで矯正される部分
潜伏遠視+顕性遠視=全遠視(調節麻痺剤の点眼により得られる)
・調節により良好な視力が得られる遠視を随意遠視
調節しただけでは良好な視力が得られない遠視を絶対遠視という
c.遠視の症状
1)眼精疲労・・・調節の努力のために眼が疲れる → 調節性眼精疲労
2)視力障害・・・度が強くなると調節してもよく見えない
小児では視力の発達が停止し弱視になってしまう
→ 片眼の場合・・・不同視弱視
→ 両眼の場合・・・屈折弱視
3)内斜視 ・・・度が強くなると調節に伴う輻湊のため内斜視になる
→ 調節性内斜視

4.乱視
a.乱視 ・・・調節を休ませた時に平行光線がどこにも像を結ばない屈折状態
b.種類 ・・・正乱視、不正乱視
・正乱視 ・・・角膜の湾曲が方向によって違うもので、円柱レンズで矯正
・不正乱視・・・角膜表面が凸凹になっているもので、
コンタクトレンズである程度矯正
c.正乱視・・・経線によって屈折力の異なる眼
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主経線
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屈折力の最も強い経線・・・強主経線 |
屈折力の最も弱い経線・・・弱主経線
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・強主経線と弱主経線は互いに直交
・焦線 ・・・強弱各主経線ごとに集光する位置
強主経線の焦線・・・前焦線
弱主経線の焦線・・・後焦線
・最小錯乱円
前焦線と後焦線との光学的中心点で、各経線の集光によって作られる、
円が最小になる位置
d.主経線の屈折状態による分類
1)単乱視
主経線の一方が正視である乱視
┌ 他方が近視・・・近視性単乱視
└ 他方が遠視・・・遠視性単乱視
2)複乱視
主経線がいずれも近視又は遠視である乱視
┌ 近視・・・近視性複乱視
└ 遠視・・・遠視性複乱視
近視性単乱視+近視性複乱視 → 近視性乱視
遠視性単乱視+遠視性複乱視 → 遠視性乱視
3)混合乱視(雑性乱視)
主経線の一方が近視で、他方が遠視である乱視
e.主経線の方向による分類
1)直乱視(正乱視)
主経線が90゜と180゜にあり、垂直の主経線の屈折力が、
水平の主経線の屈折力より強い乱視 → 正乱視の90%
2)倒乱視
水平の主経線の屈折力が、垂直の主経線の屈折力より強い乱視
3)斜乱視
2つの主経線が斜めの方向で直交している乱視
f.乱視の症状
1)視力障害・・・遠い所も近い所も見にくい
2)単眼複視・・・片眼でも1つのものが2つに見えることがある
3)眼精疲労・・・調節の努力のため眼が疲れる → 調節性眼精疲労

5.調節異常
a.老視・・・中年になって水晶体の弾力性が弱まって、
近い所を見る時に必要な調節ができなくなった状態
・発生・・・読書等に適当な距離は30〜35cm
42才の人の調節力はおよそ3D
正視ならば 近点=100/3=33cm
※距離を離さないと、33cmより近くがはっきり見えない
・屈折状態と老視
近視:(cf)42才で−2Dの人の近点
100/3−(−2)=100/5=20cm
遠視:(cf)42才で+2Dの人の遠点
100/3−(+2)=100/1=100cm
※同じ42才でも−2Dの近視の人は眼鏡を装用せずに近い所がよく見え、
+2Dの遠視の人では眼鏡を装用しなければならない。
・症状
@近い所の物が見えにくくなる
A近い所を見ると目疲れる
B本を読むとき目から離す
C薄暗い所で本が読みにくい
・矯正・・・近い所を見る時に適当な凸レンズの眼鏡を装用
b.調節麻痺
1)原因・・・毛様体筋、あるいはこれを支配する動眼神経の麻痺
瞳孔散大筋の麻痺が同時におこった時 → 内眼筋麻痺
散瞳剤点眼、胃腸薬内服、外傷、種々の脳疾患等
2)症状・・・近い所の物がよく見えない、物が小さく見える
3)治療・・・原因疾患治療、近い所を見る時に凸レンズ眼鏡
c.調節衰弱
1)原因・・・毛様体筋が疲労しやすい状態で、全身衰弱の時
2)症状・・・近い所を長く見ていると、目が疲れて見にくくなる
近点を繰り返し測定すると、次第に遠ざかる
3)治療・・・原因疾患の治療
d.調節痙攣
1)原因・・・毛様体筋の痙攣、あるいはこれを支配する瞳眼神経の興奮
瞳孔括約筋の痙攣で収縮をおこすこともある
縮瞳剤点眼、外傷、脳疾患等
2)症状・・・一過性の近視状態、いわゆる仮性近視
3)治療・・・原因疾患の治療、対症的に調節麻痺剤点眼
6.不同視
不同視・・・両眼の屈折度の違いの大きいもの
・両眼を矯正すれば両眼視できるはずであるが、両眼の映像の大きさが
異なるため、不等像視(アニサイコニア)がおき、両眼視できなくなる
・一般に2D(8%)以上の不同視では、完全矯正の眼鏡は装用しにくい
(小児では2D以上でも装用可能な場合がある)
7.眼精疲労
眼精疲労・・・目が疲れるという症状
(疲れ、痛み、かすみ、羞明、充血、流涙、頭痛、
肩こり、吐き気等)
種類
1)調節性眼精疲労・・・屈折異常や調節異常によりおこる
・屈折異常・・・遠視、乱視及び眼鏡の不適当(近視の過矯正)等
・調節異常・・・老視、調節麻痺、調節衰弱、調節麻痺
2)筋性眼精疲労・・・眼位の異常や輻湊の異常でおこる
・眼位異常・・・斜視、斜位、眼筋麻痺
・輻湊異常・・・近見反応として調節と関係するため、調節異常が加わる
3)症候性眼精疲労・・・緑内障の初期や角膜の疾患
4)不等像性眼精疲労・・・融像の努力のために目が疲れる
5)神経性眼精疲労・・・身体(全身疾患、衰弱)と、
精神(神経質、精神的疲労)の両面の異常
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