ストレス、健康およびコーピング
2005/8/24 うんむらふま
ストレス、健康およびコーピング
1 人間の通常の経験を超える心的外傷体験になるような出来事は、たいていストレスとみなされる。これらは、自分の力では制御することができず、予測することも不可能で、自分の能力の限界に挑戦してくるものであると認識され、競合する目的の内的葛藤を引き起こす。
2 ストレスに対するよく見られる心理的反応は、不安、怒りと攻撃性、無気力と抑うつ、認知的障害がある(集中できなくなったり、何かを実行することが困難になったりする、など)。
3 体はストレスに対して闘争=逃走反応を示す。交感神経系は心拍数の増加、血圧の上昇、瞳孔の拡張、肝臓からの余分な糖分放出を引き起こし、副腎皮質系は、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)を出し、それが刺激となって血中にコチゾールが分泌される。これらの反応は、汎適応症候群の一部で、ストレスを経験するすべての有機体は同じように反応する。この症候群は、警告期、抵抗期、疲幣期の三つの段階をたどる。
4 ストレスは、自律神経系の交感神経や副腎皮質系を慢性的に興奮させることで、あるいは免疫系に損傷を与えることで、直接的に健康に影響を与えることがある。また、ストレスを体験している人は、健康によい運動をしなくなり、そのことで間接的に病気になりやすくなる。
5 人が出来事をどのように評価するかによって、病気へのかかりやすさが変わってくる。よくない出来事を内的・不変的・全体的要因に帰属させる傾向のある人は、その出来事を体験した後に学習性無力感に陥りやすく、病気にもかかりやすい。
6 タイプA行動様式を持った人々は、敵対的、攻撃的で、イライラしやすく、仕事にのめりこんでいる。男性と女性に関する研究では、このパターンを示す人々が冠状動脈性心臓疾患にかかる危険性が大きいことがわかっている。
7 対処方略(コーピング・スキル)は、問題焦点型と情動焦点型に分けられる。問題解決のために積極的に動く人々は、否定的な出来事の後でもうつ病や身体の病気になることが少ない。否定的な情動を対処するためにあれこれと反芻思考する人、または回避方略を使用する人は、その後、より長期にわたって深刻に苦悩する。精神分析学的理論は、否定的な感情に対処するためのたくさんの無意識的方略(防衛機制)を説明しており、抑圧、反動形成、否認、投影などがその例である。
8 認知行動療法は、人に生理的/情動的症状を生じさせるようなストレスの状況の種類を認識できるように手助けし、対処方法を修正させ、否定的な思考を変えていけるようになることを目的としている。タイプA行動も、これらの技法を用いて修正することができ、その結果、冠状動脈性心臓疾患にかかる危険性を減らすことができる。


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