異常心理学
2005/8/24 うんむらふま
異常心理学
1 異常行動の診断は統計的な頻度、社会的基準、行動の適応性、その個人の苦痛を考慮してなされる。精神的健康の特徴としては、現実認識、行動の制御、自尊感情、情緒的関係形成能力、生産性が含まれる。
2 DSM-IVは精神障害を行動に表れた特定の症状をもとに分類する。精神障害の原因と治療に関する理論は、生物学、精神分析学、行動理論、認知理論のどの枠組みに基づくかによって大別できる。
3 生物学的で、精神分析的で、行動の、そして認識的な見解によると、精神障害の原因に関する理論とそれらを扱うための提案を分類することができる。脆弱性ストレスモデルは、人を特定の混乱に傷つきやすくする傾向(生物学的で心理学的)と、個人によって遭遇されたストレスが多い環境条件との相互作用を強調する。
4 不安障害には、全般的な不安(絶え間ない心配および緊張)、パニック障害(突然圧倒的不安に襲われる))、恐怖症(特定の対象や状況に対する非合理的な恐怖)、および強迫性障害(不必要な考えへのとらわれと、ある行動をせずにはいられない衝動が組み合わさったもの)などが含まれる。
5 その原因は、遺伝的素因、あるいは生化学的、神経的異常にそれらが起因すると考えられる。ほとんどの不安障害は遺伝し、特にパニック障害と強迫性障害には遺伝的な要素が存在することが双生児研究によって示唆されている。パニック発作のある人が過剰な反応を起こしやすいのは、大脳辺縁系のセロトニン欠乏が考えられる。強迫性障害は、脳内の原始的な衝動をつかさどる部分におけるセロトニン欠乏が考えられる。
6 認識的で、行動的な理論家たちは、不安障害を持った人々が認識力を壊し、堅く道義的な思考になる傾向にあることを示唆する。逃避的行動や、強迫のような不順応的な行動は、行動者が不安を和らげるような個人の異常が存在するとき、オペラント条件づけによって発生する。恐怖症は古典的条件づけによって起こりうる。精神力学の理論は、恐怖症、妄想あるいは強迫として偽られた無意識の矛盾に、不安障害が起因すると考える。
7 気分障害は、うつ病性障害と双極性障害とに分けられる。主要な症状は、悲しい気分、生の喜びが感じられなくなること、否定的な考え、意欲の減退である。
8 生物学的理論は、これを遺伝的要因と結び付け、神経伝達物質のセロトニンとノルエピネフリンの調節に問題があるとしている。認知理論では、抑うつは自身や外界、将来に対する悲観的見方と、不適応的な帰属スタイルの問題だと考える。精神力動的理論では、抑うつを他者からの承認に依存し、怒りを自分自身に向けがちな人の、親の愛情喪失に対する反応だと見なしている。
9 解離性同一性障害では、二つ以上の完成した人格が一人の人間の中で交互に出現する。多くの理論はこの障害を児童期の虐待に結び付けている。
10 統合失調症は、思考過程の混乱や妄想、洞察力の欠如などを含む思考の障害が特徴。他の徴候は、知覚障害(幻覚のような)、不適当な感情表現、奇妙な姿勢や運動、ひきこもりなどの症状がある。
11 統合失調症に遺伝的要素があることははっきりしており、患者はドーパミンの調整機能、前頭葉皮質の活動性の低さなどの問題を持つ。困難な環境は発症要因にはならないにしても、障害を悪化させて、再発しやすくさせると思われる。
12 人格障害は、未熟で不適切なストレスへの対処法や問題解決法につながる、永続的な不適応的行動様式である。反社会性人格を持った個人は衝動的で、罪悪感が薄く、自分の欲求しか考えておらず、法則と頻繁に掛かり合いになっている。反社会性人格障害には恐らく遺伝や生物学的背景も関係するが、親の無関心や敵意が反映された結果であるとも考えられる。
13 境界性人格障害を持った人々は、気分や自己概念、対人関係が不安定である。精神力動理論では、この障害の人は子どもが自分に依存することを求め、極端な愛情と敵意を交互に示すような養育者によって育てられたのではないかと示唆している。


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