タラーウィー(Tarawih)の礼拝
1、タラーウィーの礼拝について
 タラーウィーの礼拝は、ラマダーン月の夜イシャーの礼拝からファジュルの礼拝の間に行われるスンナの礼拝で、ひとりで行っても、集団でおこなってもよいことになっている。
 
((アーイシャから、アッラーの使者は、ある夜マスジドで礼拝し、何人かの人々も彼に従って礼拝した。そして、さらにある部族も礼拝に従った。彼に従って礼拝するものが増えていき、3日目か4日目の晩には多数の人々が彼が来られるのを待っていた。その時、アッラーの使者はお出ましにならなかった。そして、翌朝おっしゃるに、「皆が何をしているのか見るに、私は出かけるのをやめたのだ。なぜならば、あなた方にファルド(義務)となることを恐れてのことだ。」と。これはラマダーンのことであった。))

 このハディースでわかることは、生前預言者は、ラマダーンの夜マスジドに姿を現し、礼拝に立ち、徐々に人々が集まりその礼拝に従った。毎日続けて礼拝に立つと人々の義務(ファルド)になってはいけないと、4日目には姿を現れされなかったとのことであり、この礼拝はスンナ(行えば報償を得るが行わなくてもよい)の礼拝ということになる。
 ただ、この礼拝は次のハディースにより、信仰と神のお喜びを願って礼拝に立つならば、過去の罪が許されるという効果がある。
((「アッラーへの信仰とお喜びを願って夜礼拝に立つ者は、過去の罪が許される。」と預言者がおっしゃったとアブーフライラが伝えている。(ブハリ))

2、タラーウィーフの意味
 tara:wihは、休む、休息などの意味があるの複数形である。この礼拝は長く立ちがちになるために4ラカアート終了ごとに、座って休むことなら名づけられたものであると言われている。

3、タラーウィーフの歴史
 預言者の時代には、ヘジラ後の後半に人々と共に礼拝に立った事があった。その後、ヘジラ暦14年、ウマルがカリフとなった2回目のラマダーンの時に、マスジドに人々を集め一人のイマームを立ててタラーウィーフの礼拝を行うようになった。

4、礼拝への呼びかけ
 
 義務の5回の礼拝以外は、アザーンやイカーマは行わず、イードの礼拝と同様、集団礼拝を行う場合には、(as-sala:tu ja:miah)とか(as-salatu ja:miah rahimakumu-lla:h)と呼びかけ集団で礼拝に立つ。(ただしハンバリー派だけはタラーウィーフの礼拝にこれらの呼びかけは行わない。)

5、ラカアの数
 一説に8ラカアート、一説に20ラカアなどが有力である。その後で3ラカアートのウィトル(奇数)の礼拝を付け加える。つまり、すべて行えば8+3=11ラカアまたは20+3=23ラカアということになる。

6、礼拝の単位
 2ラカアートごとにタスリーム(tasli:m アッサラームアライクムを述べ礼拝の一単位を終える)をし、4ラカアートごとに小休止を入れるのが一般的。

  
1、タラーウィーフの礼拝の仕方(ひとりで礼拝する場合)
 礼拝のささげ方は、通常の義務の礼拝の第1ラクア、第2ラクア同様、ひとつのラクアの中で、ファーティハ章(開端章)と任意の短章(3つ以上の節でも可)を読む。ただし、1回の礼拝は2ラカアート行い、その都度サラームを行い礼拝を終わり、また新たな礼拝として2ラカアート行うというように、2ラカアートずつ行っていく。前述のとおり合計8ラカアートで終わり、3ラカアート(または2ラカアート+1ラカア)のウィトルの礼拝を最後に行って合計11ラカアで全ての礼拝を終わる。
 また、20ラカアする場合も同様、2ラカアートずつ10回礼拝を行えば計20ラカアとなり、最後に3ラカアート(または2ラカアート+1ラカア)のウィトルの礼拝をして、合計23ラカアとなる。

ニーヤ(意思表明)は、2ラカアートの礼拝の前に最初に次のように述べる。
أُصَلِّي سُنَّةَ التَّرَاوِيحِ رَكْعَتَيْنِ للهِ تَعَالَى
Usalli: sunnata_t-tara:wi:hi rak'ataini li-lla:hi ta'a:la:
ウサッリー スンナタッ-タラーウィー ラカアタイニ リッラーヒ タアーラー
意味:アッラーに対して、2ラカアートのスンナ=タラーウィーの礼拝を行います。 
タラーウィーの礼拝が終われば、次にウィトルの礼拝となる。ただし、ウィトルの礼拝のやり方は2通りあり、一度に3ラカアート行う場合と、2ラカアート行い続けて1ラカアート行い合計3ラカアート行う場合である。
 まず3ラカアート1度に行う場合のニーヤは、 
أُصَلِّي سُنَّةَ الْوِتْرِ ثَلَاثَ رَكَعَاتٍ للهِ تَعَالَى 
Usalli: sunnata_l-witri thala:tha raka'a:tin li-lla:hi ta'a:la:
ウサッリー スンナタル ウィトリ サラーサ ラカアーティン リッラーヒ タアーラー
意味:アッラーに対して、3ラカアートのスンナ ウィトルの礼拝を行います。

 また、2ラカアート、1ラカアートを2つに分けてウィトルの礼拝を行う場合のニーヤは 
أُصَلِّي سُنَّةَ الْوِتْرِ رَكْعَتَيْنِ للهِ تَعَالَى 
  Usalli: sunnata_l-witri rak'ataini li-llahi ta'a:la:
ウサッリー スンナタル ウィトリ ラカアタイニ リッラーヒ タアーラー
意味:アッラーに対して、2ラカアートのスンナ ウィトルの礼拝を行います。

 そして、続けて1ラカアのウィトルのニーヤは、
   أُصَلِّي سُنَّةَ الْوِتْرِ رَكْعَةً وَاحِدَةً للهِ تَعَالَى
Usalli: sunnata_l-witri rak'atan wa:hidatan li-llahi ta'a:la:
ウサッリー スンナタル ウィトリ ラカアタン ワーヒダタン リッラーヒ タアーラー
意味:アッラーに対して、1ラカアのスンナ ウィトルの礼拝を行います。
 
 このどちらかの方法でウィトルを行いラマダーンの夜の礼拝は終わる。
 この礼拝は『タラーウーの礼拝』と一般的に呼ばれているが、『ラマダーンの夜の礼拝』と呼ぶこともあるので覚えておこう。
 この説明では主にニーヤ(意思表明)を詳しく述べたが、実はニーヤの大切なことは、これらのアラビア語を覚えることではなく、今自分が何の礼拝を行うのかはっきり意識付けることにあるので、日本語で行ってもよいし、声に出さなくても、はっきりとした意思を持っていればよいのである。
 ウィトゥルの礼拝については、さらに詳しく後で説明することにする。

2、タラーウィーフの礼拝の仕方(集団で礼拝する場合)
 預言者の時代でも、タラーウィーフの礼拝はマスジドで集団礼拝で行うことが多かった。ここで、マスジドではどのような礼拝のやり方をやっているのか紹介しておこう。ただ、このやり方はさまざまでどのようにしなくてはならないというものは厳密には決められていない。
 ここで紹介するのは、マレーシアで行われている一例である。イマームになる方以外は、細かく覚える必要はない。マッムーム(イマームに従って礼拝する一般礼拝参加者)としてイマームに従って行えばよい。
1、イシャーの礼拝終了後、ムアッジン(アザーンやイカーマを行う人)が、タラーウィーの始まりを次のように告げる。
assala:tu ja:mi'ahまたはassala:tu ja:miah rahimakumu_l-la:h
2、それに応えて、参加者は次のように述べる。
لَا إلهَ إلاَّ اللّهُ مُحَمَّدٌ رَسُولُ اللَّهِ صَلَّى اللَّهُ عَلَيْهِ وَ سَلَّمَ
 La: ila:ha illa_lla:hu, Muhammadun rasu:lu_llahi salla_lla:hu 'alaihi wa sallam
ラーイラーハ イッラッラーフ ムハンマドゥン ラスールッラーヒ サッラッラーフ アライヒ ワ サッラム
3、そして、全員立ち上がり、イマームが前に出て、礼拝がスタートすることになる。
ここで、イマームもマッモーム(イマームの後ろについて礼拝する人)もニーア(意思表明)をすることになる。マッモームのニーア(意思表明)例:
أُصَلِّي سُنَّةَ التَّرَاوِيحِ رَكْعَتَيْنِ مَأْمُومًا لِلَّهِ تَعَالَى 
 Usalli: sunnata_ttara:wi:hi rak'ataini ma"mu:man lilla:hi ta'a:la:
ウサッリー スンナタッタラーウィーヒ ラクアタイニ マッモーマン リッラーヒ タアーラー

4、ここから礼拝が始まることになるが、礼拝は先にも述べたように2ラクアごとに、サラームをして礼拝が終わり、また、立ち上がって礼拝が始まるという具合である。そして4ラカアート単位で、少し休息を入れることになる。もともとタラーウィーフという言葉の意味は『休息』という意味があって、休息をはさみながら礼拝を続けていくことをイマームは心がけなければならない。
 タラーウィーフの礼拝回数は一般的に8ラカアートか20ラクアである。イマームが20ラクアを目指して礼拝をしている時、8ラカアート目を過ぎてからは区切りのいいところで、マッムームの列から離脱しマスジドから出ることも可能である。
 さて、では、2ラクア終わるごとに一般的に読む事柄をここに紹介しよう。ただこれは一例なので、必ずしもこれと同じように唱える必要はない。イマームの指揮に任せるようにしよう。もしもイマームをする場合は覚えておかなければならない。また、あらかじめ、マッモームたちに配っておいてもよい。
●2,6,10,14,18ラクア目が終わった後読む言葉
ムアッズィン فَضْلًا مِنَ اللهِ وَ نِعْمَةْ
  fadlan mina_lla:hi wa ni'mah 
マッモーム وَ مَغْفِرَةً وَ رَحْمَةً
  wa maghfiratan wa rahmah 
ムアッズィン اَللَّهُمَّ صَلِّ عَلَى سَيِّدِنَا وَ نَبِيِّنَا وَ حَبِيبِنَا وَ شَفِيعِنَا وَ ذُخْرِنَا وَ مَوْلَانَا مُحَمَّدٍ 
  alla:humma sayyidina: wa nabyyina: habi:bina: wa syafi:'ina: wa zhukhrina: wa maula:na: muhammad
マッモーム   صَلَّى اللهُ وَ سَلَّمَ عَلَيهِ
  salla_llahu wa sallama 'alai:h 
●4,8,12,16,20ラクア目が終わった後読む言葉
ムアッズィン سُبْحَانَ الْمَلِكِ الْمَعْبُودِ
  subha:na_l-maliki_l-ma'bu:d 
マッモーム سُبْحَانَ الْمَلِكِ الْمَوْجُودِ , سُبْحَانَ الْمَلِكِ الْحَيِّ الَّذِي لَا يَنَامُ وَ لَا يَمُوتُ وَ لَا يَفُوتُ أَبَدًا
سُبُّوحٌ قُدُّوسٌ رَبُّنَا وَ رَبُّ الْمَلَائِكَةِ وَ الرُّوحِ, سُبْحَانَ اللهِ وَ الْحَمْدُ لِلَّهِ وَ لَا إِلَهَ إِلَّا اللهُ وَ اللهُ أَكْبَرُ، وَ لَا حَولَ وَ لَا قُوَّةَ إِلَّا باللهِ الْعَلِيِّ الْعَظِيمِ
   
ムアッズィン اَللَّهُمَّ صَلِّ عَلَى سَيِّدِنَا مُحَمَّدٍ
   
マッモーム   صَلَّى اللهُ وَ سَلَّمَ عَلَيهِ
   
ムアッズィン اَللَّهُمَّ صَلِّ عَلَى سَيِّدِنَا مُحَمَّدٍ وَ عَلَى آلِ سَيِّدِنَا مُحَمَّدٍ 
   
マッモーム صَلَّى اللهُ وَ سَلَّمَ عَلَيهِ 
   
 ムアッズィン اَللَّهُمَّ صَلِّ عَلَى سَيِّدِنَا وَ نَبِيِّنَا وَ حَبِيبِنَا وَ شَفِيعِنَا وَ ذُخْرِنَا وَ مَوْلَانَا مُحَمَّدٍ 
   
 マッモーム صَلَّى اللهُ وَ سَلَّمَ عَلَيهِ 
イマームのドアー بِسْمِ اللهِ الرَّحْمَنِ الرَّحِيمِ
اللَّهُمَّ إِنَّا نَسْأَلُكَ رِضَاكَ وَ الْجَنَّةَ، وَ نَعُوذُ بِكَ مِنْ سَخْطِكَ وَ النَّارِ.
اللَّهُمَّ إِنَّكَ عَفُوٌّ كَرِيمٌ تُحِبُّ الْعَفْوَ فَاعْفُ عَنَّا وَ عَنْ وَالِدِينَا وَ عَنْ جَمِيعِ الْمُسْلِمِينَ وَ الْمُسْلِمَاتِ بِرَحْمَتِكَ يَا أَرْحَمَ الرَّاحِمَينَ
وَ الْحَمْدُ لِلّهِ رَبِّ الْعَالَمِينَ
 ●4ラクア目の時に、上のイマームのドアーの後、引き続き、次の言葉を述べる。
ムアッズィン الْخَلِيفَةُ الأَوَّلُ أَمِيرُ الْمُؤْمِنِينَ سَيِّدُنَا أَبُو بَكْرٍ الصِّدِّيقُقُ
   
マッモーム رَضِيَ اللهُ عَنْهُ 
   
 ●8ラクア目の時に、上のイマームのドアーの後、引き続き、次の言葉を述べる。
ムアッズィン الْخَلِيفَةُ الثَّانِي أَمِيرُ الْمُؤْمِنِينَ سَيِّدُنَا عُمَرُ ابْنُ الْخَطَّابِ
   
 マッモーム رَضِيَ اللهُ عَنْهُ  
   
 ●12ラクア目の時に、上のイマームのドアーの後、引き続き、次の言葉を述べる。
ムアッズィン الْخَلِيفَةُ الثَّالِثُ أَمِيرُ الْمُؤْمِنِينَ سَيِّدُنَا عُثْمَانُ ابْنُ عَفَّانَ
   
 マッモーム رَضِيَ اللهُ عَنْهُ  
   
 ●16ラクア目の時に、上のイマームのドアーの後、引き続き、次の言葉を述べる。
ムアッズィン الْخَلِيفَةُ الرَّابِعُ أَمِيرُ الْمُؤْمِنِينَ سَيِّدُنَا عَلِيُّ ابْنُ أَبِي طَالِبٍ
   
 マッモーム كَرَّمَ اللهُ وَجْهَهُ 
   
5、タラーウィーの礼拝の中で読む章について
 タラウィーの礼拝は、普通の2ラクアの礼拝をひとつの単位として、8ラクアのタラーウィーの礼拝の場合、2ラクアX4回、20回の場合は2ラクアX10回ということになる。
 また、通常の義務の礼拝の第1ラクア、第2ラクア同様、ひとつのラクアの中で、ファーティハ章(開端章)と任意の短章(3つ以上の節でも可)を読むようになっている。でも、たくさんのラクアをするタラーウィーの礼拝ではどんなものを読むのか、あらかじめ何らかのルールを作っておいたほうがいいだろう。それでおすすめの短章とその読む順番を、ひとつの例として紹介しておこう。
 ●ラマダーン月前半(1日~15日)にファーティハ章の後に続けて読む章
ラクア    
1.2 蓄積章 أَلْهَاكُمُ التَّكَاثُرُ 純正章 قُلْ هُوَ اللَّهُ أَحَدٌ
3,4 時間章 وَالْعَصْرِ 純正章 قُلْ هُوَ اللَّهُ أَحَدٌ
5,6 中傷者章 وَيْلٌ لِّكُلِّ هُمَزَةٍ لُّمَزَةٍ 純正章 قُلْ هُوَ اللَّهُ أَحَدٌ
7,8 象章 أَلَمْ تَرَ كَيْفَ 純正章 قُلْ هُوَ اللَّهُ أَحَدٌ
9,10 クライシュ族章 لِإِيلَافِ قُرَيْشٍ 純正章 قُلْ هُوَ اللَّهُ أَحَدٌ
11,12 慈善章 أَرَأَيْتَ الَّذِي 純正章 قُلْ هُوَ اللَّهُ أَحَدٌ
13,14 潤沢章 إِنَّا أَعْطَيْنَاكَ 純正章 قُلْ هُوَ اللَّهُ أَحَدٌ
15,16 不信者たち章 قُلْ يَا أَيُّهَا الْكَافِرُونَ 純正章 قُلْ هُوَ اللَّهُ أَحَدٌ
17,18 援助章 إِذَا جَاء نَصْرُ اللَّهِ 純正章 قُلْ هُوَ اللَّهُ أَحَدٌ
19,20 棕櫚章 تَبَّتْ يَدَا أَبِي لَهَبٍ 純正章 قُلْ هُوَ اللَّهُ أَحَدٌ
 ●ラマダーン月後半(16日~30日)にファーティハ章の後に続けて読む章
ラクア    
1.2 みいつ章 إِنَّا أَنزَلْنَاهُ 蓄積章 أَلْهَاكُمُ التَّكَاثُرُ
3,4 みいつ章 إِنَّا أَنزَلْنَاهُ 時間章 وَالْعَصْرِ
5,6 みいつ章 إِنَّا أَنزَلْنَاهُ 中傷者章 وَيْلٌ لِّكُلِّ هُمَزَةٍ لُّمَزَةٍ
7,8 みいつ章 إِنَّا أَنزَلْنَاهُ 象章 أَلَمْ تَرَ كَيْفَ
9,10 みいつ章 إِنَّا أَنزَلْنَاهُ クライシュ族章 لِإِيلَافِ قُرَيْشٍ
11,12 みいつ章 إِنَّا أَنزَلْنَاهُ 慈善章 أَرَأَيْتَ الَّذِي
13,14 みいつ章 إِنَّا أَنزَلْنَاهُ 潤沢章 إِنَّا أَعْطَيْنَاكَ
15,16 みいつ章 إِنَّا أَنزَلْنَاهُ 不信者たち章 قُلْ يَا أَيُّهَا الْكَافِرُونَ
17,18 みいつ章 إِنَّا أَنزَلْنَاهُ 援助章 إِذَا جَاء نَصْرُ اللَّهِ
19,20 みいつ章 إِنَّا أَنزَلْنَاهُ 棕櫚章 تَبَّتْ يَدَا أَبِي لَهَبٍ
3、ウィトゥルの礼拝の仕方(集団でする場合)
 先にウィトゥルの礼拝の説明をしている。ここでは、集団で2ラクア+1ラクアで行うことを例にとり説明していこう。
1、タラウィー終了後(つまりイマームがドアを終わった後)からの導入の一例
ムアッズィン أَوْتِرُوا وَ مَجِّدُوا وَ عَظِّمُوا ( وَاقْنُتُوا ) شَهْرَكُمْ شَهْرَ الصِّيَامِ رَحِمَكُمُ اللهُ
  *()内の言葉は、ラマダーン月の後半、クヌートを入れるようになってから唱えよう。なぜならば、()内の言葉は『クヌートをしよう』という意味である。 
マッモーム الصَّلَاةُ لَا إِلَهَ إِلَّا اللهُ
   
 ムアッズィン اَللَّهُمَّ صَلِّ عَلَى مُحَمَّدٍ 
   
 マッモーム صَلَّى اللهُ وَ سَلَّمَ عَلَيهِ  
   
 ムアッズィン اَللَّهُمَّ صَلِّ عَلَى سَيِّدِنَا مُحَمَّدٍ 
   
 マッモーム صَلَّى اللهُ وَ سَلَّمَ عَلَيهِ 
   
 ムアッズィン اَللَّهُمَّ صَلِّ عَلَى سَيِّدِنَا وَ نَبِيِّنَا وَ حَبِيبِنَا وَ شَفِيعِنَا وَ ذُخْرِنَا وَ مَوْلَانَا مُحَمَّدٍ 
   
 マッモーム صَلَّى اللهُ وَ سَلَّمَ عَلَيهِ 
 ムアッズィン صَلَاةُ الْوِتْرِ أَثَابَكُمُ اللهُ  
   
 マッモーム الصَّلَاةُ لَا إِلَهَ إِلَّا اللهُ  
2, ここで全員立ち上がり、ニーヤ(意思表明)を行いウィトゥル2ラクアの礼拝がスタートする。 
 最初2ラクアの礼拝のニーヤは
 أُصَلِّي سُنَّةَ الْوِتْرِ رَكْعَتَيْنِ مَأْمُومَا للهِ تَعَالَى 
 usalli: sunnata_l-witri rak'ataini ma'mu:man lilla:hi ta'a:la:
(アッラーのために、マッモームとして、2ラクアのウィトゥルのスンナの礼拝を行います。)
 そして、通常の義務の礼拝の第1ラクア、第2ラクア同様、ひとつのラクアの中で、ファーティハ章(開端章)と任意の短章(3つ以上の節でも可)を読むが、一例として次の短章を読むことをお勧めする。
ラクア    
1 至高者章(アル・アアラー) سَبِّحِ اسْمَ رَبِّكَ الْأَعْلَى
2 不信者たち章(アル・カーフィルーン) قُلْ يَا أَيُّهَا الْكَافِرُونَ  
3、新たに立ち上がり、ウィトゥル1ラクアの礼拝がスタートする。
 その1ラクアの礼拝のニーヤは、
 أُصَلِّي سُنَّةَ الْوِتْرِ رَكْعَةً مَأْمُومَا للهِ تَعَالَى 
 usalli: sunnata_l-witri rak'atan ma'mu:man lilla:hi ta'a:la:
(アッラーのために、マッモームとして、1ラクアのウィトゥルのスンナの礼拝を行います。)
 そして、ファーティハ章(開端章)と任意の短章(3つ以上の節でも可)を読むが、一例として次の3つの短章を続けて読むことをお勧めする。
ラクア    
1   純正章(アル・イフラース) قُلْ هُوَ اللَّهُ أَحَدٌ
黎明章(アル・ファラク) قُلْ أَعُوذُ بِرَبِّ الْفَلَقِ 
人々章(アン・ナース) قُلْ أَعُوذُ بِرَبِّ النَّاسِ 
 ラマダーン前半では、これでサラームをして礼拝は終わるが、ラマダーン後半になると、最後のロコー(立礼)の後、ドアー・クヌートを行う。
ドアー=クヌート
 両手を肩幅に開いて、図のように手の平を上に向けて、下のドアー=クヌートを朗唱する。ただ、ここでは集団礼拝のマッモームとして礼拝しているので、イマームに任せて、声を出さずずに聞いているだけにしよう。
اللَّهُمَّ اهْدِنِي فِيمَنْ هَدَيْتَ
alla:humma_hdini: fi: man hadaita
وَعَافِنِي فِيمَنْ عَافَيْتَ
wa 'a:fini: fi: man 'a:faita
وَتَوَلَّنِي فِيمَنْ تَوَلَّيْتَ
wa tawallani: faiman tawallaita
وَبَارِكْ لِي فِيمَا أَعْطَيْتَ
wa ba:rik li: fi: ma: a'ataita
وَقِنِي شَرَّ مَا قَضَيْتَ
wa qini: sharra ma: qadhaita
فَإِنَّكَ تَقْضِي وَلَا يُقْضَى عَلَيْكَ
fa innaka taqdhi: wa la: yuqdha: 'alaika
وَ إِنَّهُ لَا يَذِلُّ مَنْ وَالَيْتَ
wa innahu: la yazilu man wa:laita
وَلاَ يَعِزُّ مَنْ عَادَيْتَ
wa la: ya'izzu man 'a:daita
تَبَارَكْتَ رَبَّنَا وَتَعَالَيْتَ
taba:rakta rabbana: wa ta'a:laita
فَلَكَ الْحَمْدُعَلَى مَا قَضَيْتَ
fa laka_l-hamdu 'ala: ma: qadhaita
أَسْتَغْفِرُكَ وَ أَتُوبُ إِلَيْكَ
wa astaghfirka wa atu:b ilaika
وَ صَلَّى اللهُ عَلَى سَيِّدِنَا مُحَمَّدٍ النَّبِيِّ الْأُمِّيِّ وَ عَلَى آلِهِ وَ صَحْبِهِ وَ سَلَّمَ
wa salla_lla:hu 'ala: saiyyidina: muhammadin_in-nabiyyi_l-ummiyyi wa 'ala: a:lihi: wa sahbihi: wa sallam
この後、すぐにスジュード(叩頭姿勢)を行い、サラームをして、ウィトゥルの礼拝は終わる。
 

参考文献:
1、『Jenis Sembahyang sunnah(マレーシア語)』Abu Bakr Yaakub。1976Pustaka Melayu Baru
2、『Al-mausu:at ul-fiqhiyyah(アラビア語)』
3、『Faiqh us-snnah(アラビア語)』Syyid Sa:biq
4、『Wirid dan Doa(マレーシア語)』Hajj Jamaluddin Ha:shim.。1982ジョホール州宗教事務所
5、『Panduan Puasa』(マレーシア語)Abdullah,2001 Perniagaan Jasabersa
6, "Panduan Ilmu Fiqh"(マレーシア語)Sheikh Omar al-Khatib,7/2001,SAH publication