四国文明圏

 

「真鍋 博展」
図録集に掲載されている関係者の方々のメッセージを紹介します。(スペースの都合で一部分のみ掲載)

「未来の新たな創造のきっかけに」
展覧会を通じて、真鍋の作品が、真鍋という個人の軌跡であることよりも、20世紀後半の日本社会や、
20世紀における21世紀観を振り返るきっかけになってくれればうれしく思います。そして、それは
過去を懐かしむものではなく、現代を考え、未来の新たな創造のきっかけとしてくれるかもしれないこと
を期待しています。
                         真鍋 麗子、真、由

図 版
T章 なつかしくも新鮮な未来画
1.風土と未来の出会い 2.SF小説にみる未来 3.星新一との未来 4.筒井康隆との未来 
5.SF小説以外の未来像
U章 本との出会いを導く表紙とイメージを形作る挿絵
1.ミステリマガジン 2.アガサ・クリスティー 3.ミステリー(単行本) 4.本の仕事
V章 現実を夢の世界に描き、夢を現実化する
1.デザインを中心とした仕事 2.真鍋の自筆を中心に

「真鍋 博のタブロー時代」 ”再発見”の油彩の紹介を兼ねて
イラストレーター真鍋 博の出発点が、タブローにあったということを知る人は少なくなってきているだろう。
だが、真鍋は1950年代当時、新進の油彩画家として注目を集める存在であった。・・・中略・・・
                                         愛媛県美術館学芸員 西田 多江

真鍋 博作品を収蔵する”図書館”
愛媛県立図書館では、真鍋 博のイラスト、著作、その他の諸活動を掲載した図書や雑誌などの資料に
より「真鍋博コレクション」を構築している。
・・・中略・・・
イラストレーターの業績が、美術館ではなく図書館に保存されることはあまりみられない事例であるが、
このコレクションが形成されたのは、「イラストは、印刷物となって作品となる」という真鍋の考え方
によるところが大きい。
・・・中略・・・
コレクションを分類整理する過程で、真鍋 博の仕事がいかに多方面にわたっていたかを知り、その量の
多さに圧倒され、さらにはその分野の知識がなければとうてい描けないであろうイラストが、どのように
発想され制作されたのかを考えると、日々驚愕の連続であった。そして、資料を一枚一枚手に取りつつ、
人間、生活、未来、自然、調和、融合、風刺、ユーモアなどといったキーワードが次から次へと浮かんで
くるのである。
                                      愛媛県立図書館専門員 吉見 八重