National CF-610 HiFi

 昔我が家にあった懐かしい昭和31年頃の5球スーパーHiFi高級ラジオである。私が当時中学1年頃まで使われていたが、興味を示した私が分解したままあえなく粗大ゴミとなってしまった。当時はFM放送が主流になっており、「このラジオは何故FMが受信できないのだろう」と悔しい思いをした記憶が蘇ってくる。
 本サイトのリンクにもある「アンティークラジオ展示会」でこのラジオと再会したときは、是非手元に置きたいと憧れた一品である。幸い待つ事約半年、改造されていないオリジナルのCF-610をヤフーオークションで落札する事が出来た。オークションの紹介文では不完動品であったが無事オリジナルどうり修復する事が出来た。
音質は極めて良好である。再生帯域が広くクリアーである。私が所有する中で1番高品位なラジオ放送を楽しむ事が出来るラジオである。


正面から


     


リア View

 ケースは木製、フロントパネルは樹脂製である。当時の家庭用高級機種と思われる。使用スピーカーは18cmフルレンジで音質は抜けも良く、パワーもあり、受信時の選択度も良好である。整備は比較的簡単に進行したが、8個あるランプの配線材を全て交換し、ボリュームは分解掃除を行った後、躍動子を調整したので音量調節も「ガリ」一つなくスムースである。真空管は左から6WC5・6D6・6ZDH3A・6V6GT、80Kの構成である。

  

裏蓋及びケース角部分の加工



 本来フロントパネルのエンブレムとツマミ2つに金色で印刷さているのだが、前オーナーの手入れが良かったせいか、かすれて見えなくなっている。今回は金色ペイントでオリジナルどおり修復を行った。


 天板

 古いラジオはこの天板のように大なり小なり時代による小キズがあるが、私の考え方としては基本的に清掃に留めるようにしている。本ラジオのエンブレムのように擦れてしまっては致し方ないが、小キズ等は時代を経て現在に生き延びた風格であると受け止めている。



前面化粧パネル

 昭和30年当時、家具に「デコラ」?が盛んに使われていた記憶がある。確か、私の母の嫁入り家具にもこれと同様なデザインの「デコラ」?をふんだんに使用している。この当時の流行だったのかも知れない。ラジオのケースに家具調なイメージを取り入れて高級感をだしていたものと思われる。


  

シャーシ                            シャーシ裏面

 画像にはないが、後日「ガサゴソ」と異音が出だしたため、ブロックコンデンサー(これは正常)を除く全てのペーパーコンデンサーを現在のフィルムコンデンサーに交換した。心理的なものかもしれないが、心なしかヌケが良くなりクリアーになった感じがする。

  

電力増幅管はラジオとしては珍しい6V6GT、大型の整流管80Kが使用されている。


  

駆動図及び回路図