No.387

HARRY POTTER<9>

 さてラテン語の話がでたので、もう少しラテン語と英語の関係について話しましょう。

 ラテン語と英語の関係については、以前に少し話しました(英語の雑学、第327-328号)。

 ノルマン人のイギリス征服によって、支配階級がフランス人となり、上流階級ではフランス語が話されるようになったのでしたね。でも一般庶民は英語を話していました。
 こうして、教育が受けられる階級とそうでない階級とでことばが違うようになります。

 Shakespeare(この詩人については英語の雑学第147、293、294号参照)のAs You Like It(『お気に召すまま』--実は、この作品はぼくの大好きな作品のひとつなのです。Rosalindが好きなのです。)の中に道化が田舎者をからかう場面(V.i)があります。大修館書店版で引用します。


Therefore, you clown, abandon--which is in the vulgar leave--the society--which in the boorish is company--of this female--which in the common is woman--which together is: abandon the society of this female; or, clown, thou perishest; or, to thy better understanding, diest; or, to wit, I kill thee, make thee away, translate thy life into death, thy liberty into bondage.

訳文

さて、然るが故に、田吾作殿、この女性(俗に言ふ「女」)との、交際(平たく言へば「付き合ひ」)を、放棄する(詰り、下世話で言ふ「やめにする」)こと、以上、一口に續けて言ふと、「この女性との交際を放棄せよ」となる、然らずんば、田吾作殿、汝にとりては身の破滅、お前さんに解るやうに言へば、死ぬほか無いといふこと、更に言直せば、要するに、吾輩がお前さんを殺す、片付ける、お前さんの生を死に変へ、お前さんの自由を束縛に転ぜしめんといふ訳だ  (福田恒存訳)


  

 青の文字にした語がラテン語系の言葉です。一般庶民にはわからないから、よく分かる英語(緑にしている語)で言い直しています。

 こんなふうにして、外来語がたくさん英語に入ってきて、語彙が増えたことが英語を豊かにしたと同時に難しくした原因のひとつですね。ちょうど、日本語のやまとことばと漢語のような関係ですね。

 そして、ラテン語系の難しいことばを使おうとして、malapropism(英語の雑学、 第366号参照)のような現象が起きるのですね。

 さて、実はHarry Potterの中にもラテン語がたくさん出てきますが、覚えてますか?どんな語ですか?

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