愛媛県山岳・スポーツクライミング連盟 事務局 |
活動状況のご紹介
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1 目的
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愛媛県山岳・スポーツクライミング連盟(以下「当連盟」という)は、登山、スポーツクライミング及び山岳スポーツの健全な普及振興を通じて、愛媛県民の心身の健全な育成に貢献することを目的として活動しています。
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寒風山 |
黒森山 |
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2 歩み
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当連盟は、1948年3月に「愛媛山の会」として結成され、翌年4月には愛媛県スポーツ協会に加盟、1950年7月に「愛媛県山岳連盟」、新しい令和の時代を迎えた2020年4月から「愛媛県山岳・スポーツクライミング連盟」(略称:EMSCA)に改称して、新たな気持ちで再スタートしています。今年で設立77年を迎えます。また、
1960年4月には公益社団法人日本山岳・スポーツクライミング協会に加盟し、その地方組織としても活動しています。
なお、2020東京オリンピックに合わせて、スポーツクライミングがオリンピックの正式競技種目として公認されました。これを契機として、スポーツクライミングがマスコミを通じて国民に広く認知され、青少年を中心に競技愛好者が急激に増加してきました。愛媛県においても国体に向けた競技力向上対策、西条市、宇和島市に常設されたスポーツクライミング施設等により、大変な盛り上がりを感じています。
この流れを受けて当連盟においても、今まで長年取り組んできていた登山、自然保護活動に加えて、スポーツクライミングの普及拡大にも今まで以上に積極的に取り組み、両輪として新しい歩みを始めています。
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3 加盟状況
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現在の加盟団体は、一般8団体、高体連登山部顧問の合計8団体(約200名)と高等学校体育連盟登山専門部・スポーツクライミング部・スポーツクライミング同好会等合わせて10校(約50名)で構成されています。個人会員の高齢化が進み、シニア対象の「県民ハイキング」の開催を、昨年度をもって中止しましたので、会員数が激減したのは残念であります。
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4 活動状況
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(1)加盟団体、各登山団体及び一般登山愛好者に正しい登山を指導し、登山を通じて体育、文化の向上に寄与するとともに自然保護にも積極的に取り組んでいます。
2016年に制定された国民の祝日「山の日」には小学生(4年生から6年生)を対象とした環境啓発親子登山兼少年・少女登山教室を実施して、登山の楽しさ、自然保護の大切さと合わせて登山知識を啓蒙しています。
(2)山岳スポーツの普及振興、指導を通じて競技愛好者の発掘・競技力向上に積極的に取り組んでいます。
(3)スポーツクライミングの青少年への普及、競技者のレベルアップを図り、国体だけでなく、全日本大会、国際大会にも出場できる選手育成にも傾注しています。
特に、「えひめ国体」の会場となった「西条クライミングパークSAIJO」、2019年に開場した「宇和島スポーツ交流センタークライミングホール」を有効に活用して、ジュニアを中心とした県民にスポーツクライミングの楽しさを伝える取り組みを積極的に実施しています。
また、全国レベルの競技大会の招致にも全力で取り組んでいます。
(4)つぎの委員会を設置し上記の事業を推進しています。
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○指導委員会(登山関連)
登山技術の向上、安全登山及び山岳スポーツの指導方法研鑚、各種指導者の育成等のために組織し、安全登山・山岳スポーツの啓発を含めて活動しています。
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○指導委員会(スポーツクライミング関連)
スポーツクライミング技術の向上、指導方法研鑚、各種指導者の育成等のため組織し、スポーツクライミング啓発を含めて活動しています。
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○競技委員会
各種競技の派遣選手等の技術指導、育成強化、審判員、ルートセッター及びビレイヤーの研修等を担当しています。
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○スポーツクライミング委員会
スポーツクライミング人口が急増、それに伴い各種競技大会が新設・増加されたため、大会の競技内容の決定、会場の準備・設営、役員の手配、運営等の対応を競技委員会と連携して行っています。また、全日本レベルのスポーツクライミング大会の誘致等にも積極的に取り組んでいます。
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○遭難対策委員会
山岳遭難時の救助技術と救助組織の研修を実施し、愛媛県警察や地域団体との連携を強めて山岳遭難の予防と対策を実施しています。
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○海外登山委員会
海外登山技術研究会の参加や研修を行い、海外登山を安全に遂行するための啓発を行っています。
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○自然保護委員会
山岳地域の自然保護についての研修・指導および清掃登山等を実施しています。
また、愛媛県自然保護課、西条市・久万高原町等行政機関とも連携し、自然保護活動に取り組んでいます。
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○ハイキング委員会
昨年度まで実施していた「県民ハイキング」に変わって、「ジュニア対象のハイキング」を年間数回企画し、募集、実施、指導を担当します。
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参考
★スポーツクライミング競技とは
スポーツクライミング競技には、クライミングウォールを使用した「リード」、「ボルダー」及び「スピード」の3種目があります。国体では、各都道府県2名の選手が「リード」、「ボルダー」の2種目に挑戦し、その合計点で争う団体競技です。
【リード競技】
高さ12m以上(ルートの長さ15m以上)、幅3m以上のクライミングウォール(人工壁)を制限時間内(6分間)によじ登り、到達した高さを競います。到達した高さが
同じ場合は、所要時間で順位を決定します。
【ボルダー競技】(「ボルダリング」から名称変更)
高さ5m以内、幅6m程度の比較的低い人工壁をロープによる確保なしに、与えられた4課題を登り、その完登した課題数を競います。(途中ボーナスポイントがあります。)
【スピード競技】
高さ10メートルもしくは15メートルのクライミングウォール(人工壁)で、予めホールドの配置が周知されているコースをどれだけ早く登るかを競う種目です。選手はロープの繋がったハーネスを装着しますが、トップロープ(ロープが終了地点付近で予め支点確保されている)スタイルで行うため、途中の支点確保は必要ありません。
【参考:オリンピック競技】
パリオリンピックから、「スピード競技」が独立した個人競技になり、国体の「リード競技」と「ボルダー競技」の複合種目の合計点で争う競技の2種目となりました。
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クライミング |
県民ハイキング |
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5 「山の日」記念登山について
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2016年から8月11日が国民の祝日「山の日」として制定されました。
趣旨は「山に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝する」ことです。当連盟ではこの「山の日」には、愛媛県等と協力して、毎年「環境啓発 親子登山兼登山教室」を企画し、次世代の子供たちにふるさとの自然の良さを伝えて行こうとしています。
昨年度は、8月11日(日―山の日)に石鎚山系瓶ケ森((1,897m)で実施しました。
新年度も、8月11日(月―山の日)に石鎚山系での実施を予定していますので、楽しみにしていて下さい。
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6 石鎚クライミングパークSAIJO
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2017年に開催されたえひめ国体山岳競技の実施のため、西条市の「西条西部公園」内に常設の山岳競技施設が2015年5月に開場しました。施設名は、「石鎚クライミングパークSAIJO」です。
また、2018年にはスピード競技場が追設され、JOCから、国内3カ所の一つとなるスポーツクライミングの競技別強化センターの認定を受けました。当連盟は、西条
市と協力してこの立派な施設を有効利用して、ジュニアを中心に競技力向上に取り組みたいと思っています。この施設を全日本規模の大会、合宿会場を誘致する努力を継続したいと思います。
山岳競技施設の概要は次の通りです。
○リード競技場
リード壁:高さ15メートル、幅4メートルを2基設置
○ボルダー競技場
鉄骨造平屋建 建築面積約420平方メートル
ボルダー壁:高さ4.5メートル、幅20メートルを1基設置(4面)
○リード競技場
スピード壁:高さ15.9メートル、幅6.5メートルを2基設置
スピード練習壁:高さ8.35メートル、幅3メートルを2基設置
○付属設備(アイソレーションエリア)等
ボルダー競技場と併設
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7 西条クライミングクラブについて |
「石鎚クライミングパークSAIJO」が常設されたのを機に西条市民のスポーツ・健康づくりを推進し、クライミング競技等の選手育成並びに子供たちの健全育成に寄与することを目的として「西条クライミングクラブ」が設立され、「西条市山岳・スポーツクライミング協会」の管理下で運営し、この山岳競技施設を有効利用して、多くのジュニア育成事業を目指しています。是非多数の方の応募をお待ちしています。
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8 宇和島市スポーツ交流センターについて
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「宇和島市スポーツ交流センター」のクライミングホールには、リードクライミング壁、ボルダー壁が屋内に設置されており、南予のジュニア選手を中心に競技力向上に励んでいます。
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ご挨拶
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愛媛県山岳・スポーツクライミング連盟 会長 峯本 典寛 |
「愛媛県山岳・スポーツクライミング連盟」に改称し、新たな気持ちで再スタートしてから6年が経過しました。登山普及、自然保護、遭難対策等の山岳対応と愛好者が急増しているスポーツクライミング対応を両輪として運営していくことを目指してやってきました。
しかしながら、「新型コロナ」、「会員の高齢化問題」等のため、大会の中止、県民ハイキングの中止等多くの活動の制限を受け、順風満帆ではありませんでした。
その中で、工夫をしながらの、国体予選会、全国大会の誘致、「大亀カップ大会」・「親子登山」の開催等徐々に普通の活動に戻ってきていることにほっとしています。
また、昨年のパリオリンピックには残念ながら出場できませんが、スピード競技日本記録保持者の「大政涼」君が地元愛媛に残り、3年後のロサンゼルスオリンピックを目指すことを宣言して頂き、感激しています。当連盟も強く支援をしていますが、県民の皆様の熱い応援を是非お願いします。
さて、当連盟は今年で創立77周年を迎えることになります。これもひとえに、加盟団体、支援団体の皆様、登山愛好者、スポーツクライミング愛好者の並々ならぬご厚情の賜物と心から感謝しております。当連盟の使命は、登山の普及発展、自然保護、登山道の整備、遭難防止・救助活動、スポーツクライミングの普及発展等を先頭になって推進することを通じて、自然への畏敬、自然との共生、スポーツクライミングの楽しさを次世代へ伝承することだと確信しています。
「石鎚山公衆トイレ休憩所」、「瓶ケ森避難小屋・トイレ」、「石鎚クライミングパークSAIJO」・「宇和島スポーツ交流センタークライミングホール」の設立等関係者の皆様の温かいご支援のお陰で徐々にではありますが、登山およびスポーツクライミング環境も良くなってきていることに心より喜んでいます。このご支援に応えるよう努力してまいります。
その一方で、登山を志す若者が激減している事は誠に寂しい限りです。高校生登山部員・、大学の山岳部員の減少に憂慮しています。連盟会員の高齢化問題も避けて通れません。今年から、個人会員対象の「県民ハイキング」の定期的開催も中止せざるを得なくなりました。
今年から、ジュニア対象のハイキングを企画して、シニアと一緒にハイキングを楽しむ機会を作ろうと思っています。また、スポーツクライミングと登山と両方を愛する若者を育てる組織ができないかと夢を見ています。
また、最近、中高年の遭難事故も増えています。自分の登山能力を過信せず、単独行を避けて、しっかりしたリーダーの下で山登りを楽しんで欲しいと願っています。当連盟としても、指導者の養成、安全登山教室等も開催していますので是非ご参加下さい。
好評の「親子登山」も8月11日に「石鎚山系瓶ケ森」にて実施する予定です。子供たちに「故郷の山を知り、親しみ、感謝する心」を伝えて行きたいと思っていますので、是非親子でご参加下さい。
ご指導、ご支援、ご協力をよろしくお願い致します。
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石鎚山(夜明かし峠より) |
瓶ヶ森 |
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「県民ハイキング」のご案内
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愛媛県山岳・スポーツクライミング連盟
ハイキング委員会 委員長 渡部 孔三 |
愛媛県山岳・スポーツクライミング連盟では、広く県民に“自然”に親しんでいただくと共に安全登山への啓発を兼ねて毎月「県民ハイキング」を実施してきました。昭和63年10月30日を初回として、この3月で431回(途中、台風・大雨注意報・雷注意報等のため中止になった回もあります。)を迎えました。
新年度からは、今年度まで実施していた個人会員対象の「県民ハイキング」は会員の高齢化、会員の減少等もあり中止することにしました。苦渋の選択です。
長年「県民ハイキング」に参加していただいた方、指導者として参加していただいた方に厚くお礼申し上げます。
新年度からは、「ジュニア対象のハイキング」をメインにして、シニア方も参加できる山を対象に年間数回企画し、愛媛新聞に募集要項を掲載して頂き、実施したいと考えています。
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安全登山のお願い
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愛媛県山岳・スポーツクライミング連盟 遭難対策委員会 |
1 安全登山の最低限のマナー
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登山者の遭難事故を防止するために、最低限つぎのことを守って登山を楽しみ、自然に親しんで下さい。また、登山者へご教示頂きますようお願い致します。
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○無理のない計画で、余裕のある登山をすること。
パーティ・自分の体力・技術に合っているか、日程は十分か
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○季節、目的の山に合った服装、装備、食糧を持参すること。
日帰り登山でも、雨具・ヘッドランプは必需品。荷物を軽くしても、必要装備を減らさない
※平成21年7月に、北海道「トムラウシ山」で発生した大量遭難事故も、各方面の専門家から気象遭難(悪天候による低体温症)によるものだと言われています。
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○天候、体調など状況の急変時の冷静な判断をすること。
行動中の天候、体調の急変時等には、判断を早く。場合によっては勇気ある撤退も
山は逃げません、無理と思ったら、引き返して、再挑戦すること
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○早立ち、早着きは登山の基本である。
できるだけ早い時間に行動開始、目的地には早い時間に到着。途中のアクシデントも考慮した、余裕ある計画を
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○単独登山の自粛をすること。
過去の遭難事例でも、小さなトラブルで重大な事故に繋がっていることを教訓に
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○下山に注意(事故は、圧倒的に下山中に発生)
道迷い、転倒、転・滑落事故のほとんどは下山中に起きています。
特に、道迷い事故の防止には、足元だけに気を取られず周囲の景色にも気を配り、分岐では地図・コンパス・携帯電話等で確認を《悪天時には必ず》
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○登山計画書の提出を忘れないこと。
緊急時の早期救助の手掛りになり、家族も安心《現在は携帯電話でも作成可能》
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○山岳保険の加入をすること。
何時何が起こるかわからない山。万が一のとき、家族のため
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○自然保護とゴミの持ち帰りをすること。
一木一草に愛情を。自分のゴミはすべて持ち帰りを
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瓶ヶ森 |
石鎚山(瓶ヶ森より) |
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2 ミニ情報
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○遭難発生状況(令和5年度)
@ 過去10年間の山岳遭難発生状況をみると、増加基調で推移していた中で、令和元年から2年連続で減少したものの、令和3年以降は増加に転じ、昨年に引き続き統計の残る昭和36年以降最多となった。(令和6年度の統計は令和7年6月に発表予定)
- 発生件数 3,126件(前年比+111件)
- 遭難者数 3,568人(前年比+62人)
うち死者・行方不明者335人(前年比+8人)、負傷者1,400人(前年比+94人)、無事救助 1,833人(前年比−40人)
★全遭難者数の79.9%を中高年者(40歳以上)、このうち60歳以上が49.4%を占めています。
★態様別にみると、道迷いが33.7%と最も多く、次いで滑落が17.3%、転倒が16.9%を占めている。
A 愛媛県内での遭難発生状況(令和5年)
- 発生件数 19件(前年比−14件)
- 遭難者数 21人(前年比−4人)
うち死者・行方不明者0人(前年比−2人)、負傷者7人(前年比−5人)、無事救助者11人
★全遭難者数の90.4%が中高年者(40歳以上)。
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○万一の場合に役に立つ小道具
- ライター(マッチ)、手鏡、笛、自動車用の発煙筒
(ヘリ救助には、煙、光が有効。地上の救助には、音が有効)
- さらし(4〜5m位)
負傷者を背負う帯に、包帯に、ヘリ救助の目印等幅広く活用可能
- 携帯電話(スマホ)
現在地確認、家族、関係者への連絡。但し、山の中は不感地帯も多く、電池の消耗が激しいので、事前に充電しておくこと
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○万一遭難したら
あわてず、落ち着いて(できれば、見通しの良い場所まで引き返す)
- ヘリコプターの呼び掛けには、煙を出す、布(着衣)を振る、手鏡で光を送る。
- 地上の救助隊には、大声を出す、笛を吹く、物をたたく(音を出す)。
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○山では自力救助が基本
登山中の事故は、自パーティで対応しようとする行動が基本。
(自力・自パーティで無理だと判断したら、躊躇なく早期の救助要請を)
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○最近の登山者意識の変化
- 体力不足、軽い捻挫などで、安易にヘリコプターを要請する登山者が増加
(日頃から、トレーニングなどで体力をつけて登山しましよう)
- 相互扶助の気持ちに欠けた、観光気分のグループ登山者が増加
(登山は、観光地の旅行とは違います。ツアー登山参加者でも、目的の山が自分に合っているか、事前調査・トレーニングなどで準備を万全に。団体行動をするグループは、助け合いの気持ちが必要)
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3 登山情報
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最新の山情報は愛媛県警察のホームページで手に入れて下さい。
アドレス http://www.police.pref.ehime.jp/
「生活安全部・地域課」の「愛媛県警察山岳情報」を参照のこと。
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愛媛県山岳・スポーツクライミング連盟に関するお問い合わせ先
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