沖縄の歌



「沖縄の歌」

 しばらく、トップページにりんけんバンドの「肝美らさ 雨上がいぬ 花ぬ如」を載せていましたが、沖縄の歌特に沖縄民謡に私がひかれるのは、その“言葉の美しさ”とその言葉に込められた“思いの真っ当さ”です。
 恋歌に込められた情感の深さ、神歌に歌われる神・自然と人との交流の親しさ、それらは“万葉の歌垣”を現前とするかのようで、私の沖縄への思いはその一点に集約されます。
 また、りんけんバンド・ネーネーズに代表される現代沖縄大衆音楽は、日本本土の精神文化におおらかに反省を促し、ディアマンデスに代表されるオキナワ・ラティーナは、異文化を包み込む日本の本来の姿を思わせます。

 ここには、私の“お気に入り”の歌たちを、歌詞と大意・訳詞を並べてご披露します。歌詞と大意・訳詞はその曲のCDに添付された歌詞カ−ドを転載したものです。


「白雲節」
〈原詩〉
 白雲ぬ如に みゆるあぬ島に
 飛び渡てぃ見ぶさ 羽ぬあとてぃ

 飛び島ぬ如に 自由に飛ばりてれ
 毎夜行じ行逢てぃ 語れすしが

 我が思る無蔵や 白雲ぬ如に
 見ゆるあぬ島ぬ なひんあがた

 我がや思み尽す だきに思ゆしが
 無蔵や顔見りば 思んでぃさぬ

 いかな渡海ひじゃみ 離りやい居てぃん
 白雲にぬしてぃ 思い知らさ

 我がや思み尽す だきに思ゆしが
 渡海ゆ隔じゃみとぅてぃ 思うたびけり

 一人淋々とぅ 眺む白雲ん
 無蔵姿なとてぃ 忘りかにさ

 いかな世の中ぬ 変わる事あてぃん
 二人が真心や 変わてくるな 

〈大意〉
 白雲のように見えるあの島に
 飛んで行きたい羽があれば

 鳥のように自由に飛べるなら
 夜毎あなたの元へ通うのに

 私の想い人は白雲のように
 見えるあの島のもっと向こう

 たとえ海を隔てていても
 白雲にのせて思いを届けよう

 独り淋しく眺める白雲が
 あの人の面影に見えて忘れられない

 たとえどんな世の中になっても
 二人の心の中は変わらないで  

*恋しいでしょう、愛しいでしょう。
 この想い、どうしたらばいいべな(青森弁)。

「肝美らさ 雨上がいぬ 花ぬ如」
〈原詩〉  肝美らさ雨上いぬ花ぬ如
 赤花 ゆうな 伊集 ディーグ
 はまゆう サンニン ダンダン花
 国や変わてぃん 咲ち勝てぃ 面白むん 面白むん
 今日や揃てぃ 揃てぃ遊ばな

  義理美らさ黒潮ぬ流りぬ如
 グルクン マグロ マクブ タマン
 ミーバイ カタカシ チンスルル
 世界までぃん 巡りぃ巡りぃ 面白むん 面白むん
 今日や揃てぃ 揃てぃ遊ばな

 枝美らさ 明太陽ぬ海ぬ色
 正雄 良雄 晴子さん
 金城 比嘉さん 新里さん
 何処に行かわん 互に光てぃ 面白むん 面白むん
 今日や揃てぃ 揃てぃ遊ばな
 今日や揃てぃ 揃てぃ遊ばな

〈訳詞〉
 心が美しいというのは、雨上がりの花のようだ
 赤花 ゆうな いじゅ でいご 浜夕 さんにん だんだん花
 遠い異国であっても、同じように美しく咲く花たちは、すばらしい
 今日は皆んなで遊びましょう

  真心は黒潮の流れのようだ
 グルマン マグロ マクブ タマン ミーバイ カタカシ チンスルル
 世界中の海を駆け巡り勇ましい
 今日は皆んなで遊びましょう

 生きる術は、朝日に輝く太陽のようだ
 正雄 良雄 晴子さん 金城 比嘉さん 新里さん
 どこに行っても輝いて生きている
 今日は皆んなで遊びましょう

*沖縄を離れて世界に散らばった人たちが沖縄に会した大会で、一般公募された歌。
 照屋林賢が審査員として、唯一ウチナーグチ(沖縄語)の歌として押して、採用された。 
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