アンジェパロディー小説

金のがちょうの巻私が活躍するお話だ

 ある国に、生まれてから1度も笑った事のないお姫様がおりました。そのお姫様は恐ろしくむっつりした方で、誰にも笑わせる事ができません。王様は大変心配して「姫を笑わせた者には褒美をとらそう!」と、くにじゅうに知らせました。

 この国に、ランディという子がいました。ランディは、何でも人のいうとおりにする気のいい男の子でした。それで皆から「あの子ぬけているんだよ」と言って、いつもバカにされていました。ある日ランディがコーラを1本持って野山を駆け回っていると、「もしもし・・ランディさん」と、ひとりの人の良さそうな男が出てきました。頭にターバンを巻いたその男は、「昨日も今日も、何も口にしてないんですよー。お腹がペコペコで仕方がありません。何かお恵みいただけませんかねぇ・・・。「コーラしかないけど、これでよければほしいだけ飲んでくれ!」気のいいランディは、コーラを差し出しました。「何て優しいお方でしょう。では、いただいてしまいますね。ゴクゴクゴク・・・ヒィーック!」年寄りには刺激が強かったようで、ターバンの男は少しコーラを吹き出してしまいましたが、ノドが潤い穏やかな瞳になりました。無心に蝶を追いかけているランディに、「あなたは親切な方ですね。自分のコーラを全部私に下さるなんて」「そんなに誉められると困っちゃうなぁ」ランディは頭をかいて言いました。ターバンの男は、「御礼にいいことを教えてさしあげましょう。ランディさん、ほらっ、そこに大きなえのきがあるでしょう。あのえのきを、この斧で切り倒してみて下さい。きっと、何か出て来ると思いますよ。ランディは、ターバンの男に教えられたとおりえの木を切ろうとしましたが、えのきがどれだかわかりません「ランディさん、そこの右から十二番目の木ですよ」ターバンの男はコッソリ囁いてまた去って行きました。 「あっ、なぁーんだ!右から十二番目の木か。よーし・・・エッ?右ってどっちだったかな?・・・それに俺、十までしか数えられないや」頭の弱かったランディは、当てずっぽうにその辺りの木を切り倒しましたが、何も出てきません。「疲れたなぁー。今日はもうヤメだ!また明日探そう」と、キラキラ光る汗を拭いながらその場を去ろうとした時、苦悩にみちみちた声が、かすかに聞えてきました。「おいっ、私を1日ここに置き去りにするつもりか!明日など、見つけられる保証もないくせに・・・。早く出さぬと、いてまうゾー!」と、何やら慌てています。「今のは何の声だろう?まっ、いいかー。早く帰ろう!」その時です。ドカーンと大きなえのきが倒れたかと思うと、中から金色に輝くがちょうが飛び出し、仁王立ちになって言いました。「エーイ!いまいましい小僧め!さっさとえのきを切らぬかっ。いつまでも待たせおって・・・。たまりかねて自分で出てきてしまったわ!」と、息を荒げています。それを見てにこにこしているランディに、「もう、よい・・・。早く私を連れて、聖地へ行くのだ!」ランディは、きんのがちょうに言われたとおり、がちょうを抱えて聖地へ出掛けました。
 
 ランディが、がちょうを抱いて歩いていると、マルセルが嬉しそうにやってきました。「うわぁ〜きれいながちょうー。金色に輝いてる!触っていい?」「美しくて当然だ!少しなでるだけならよかろう」と、がちょうが言うが早いかマルセルの手ががちょうにピタリとくっついてしまいました。「少しなでるだけ・・・と言ったではないか!早く私から離れるのだ!」きんのがちょうが強い口調で言うと、マルセルは、「だってー、手がくっついて離れないんだもん・・・」と、泣き出してしまいました。「まーた、泣いてんのかよぉー。いい加減成長しろよな・・・って、おっ金のがちょうじゃねぇかよ。丸焼きにでもして食うか!
」ゼフェルの目が、獣を見る目に変わったのを察知して、きんのがちょうは、「あっあっちへ行け!行けというのに・・・。気安く触るでないぞ。私は光の守護聖ジュリアスだ!」びっくりしたゼフェルの手が、マルセルの体にすいつきます。「なっなんなんだよー、これは!」ゼフェルの興奮をよそに、きんのがちょうは、「助かった・・・。これで年少組勢ぞろい揃いというわけか」と、少しホッとしています。「ゼフェルにマルセルまでどうしたというのです。そんなに走り回って騒がしいですよ」リュミエールがゼフェルを止めようとして、またまたピッタンコ。「何となく展開が見えてきた・・・」がちょうが呆れ顔で呟きます。「やっだぁ〜、何やってんのー。私もまぜて!まぜて!」しなやかなオリヴィエの手が、リュミエールの髪に触れたとたん、すいつくようにくっついてしまいました。「あーーーれーーー」そこへ、デート中のオスカーとアンジェリークがやってきて、「何だ、何だ!今日は、運動会なのか?オリヴィエ、そんなに汗びっしょりかいて、化粧とれてるぜ」ハンカチでオリヴィエの汗を拭おうとしたオスカーは、アンジェリークと手をつないだままくっついてしまいました。 「お嬢ちゃあーーーんーーー!」「オスカーさまぁぁーーーー!」こうして、きんのがちょうを抱いたランディの後ろにマルセル。マルセルの後ろにゼフェル。ゼフェルの後ろにリュミエール。リュミエールの後ろにオリヴィエ。オリヴィエの後ろにオスカー・アンジェリーク・・・教官・・・協力者・・・次々と続き、長い行列になりました。「あははは・・・おほほほ・・・かっかっかっかっ・・・」聖地の中は大騒ぎです。面白い行列は、姫の住む城の庭までやってきました。お城のお姫様は、何事かとバルコニーに出るなり、この面白い行列を見て、「フッ・・・フッフッフッフッふわぁーーーはっはっはっ」と、笑い出しました。「あっ、お姫様がお笑いになった」「はじめてお笑いになった」「たいしたことだ」お姫様が笑うと、今までくっついていた守護聖達の手がするすると離れました。王様は大変喜び、ランディときんのがちょうをお城に迎え入れ、ランディとお姫様は幸せに暮らしたということです。ただし、お姫様ときんのがちょうは、とても仲が悪かったらしい・・・。「私の好意で、この城に住まわせてやっているのだぞ」と、お姫様が言えば、「そなた、私のおかげで笑ったのであろう!」と、きんのがちょうは言い、押し問答を繰り返すのでした。そして、ランディはお姫様と手をつなぎ、「しあわせになろう」と「エバーグリーン」を熱唱し、幕を閉じるのでありました。めでたし、めでたし・・・ってことで〜。

こぶとりじいさんの巻私の生きざまを見るがよい!!
 
 昔々のお話です。ある所にちょっと派手めなおじいさんと、緑茶の大好きなおばあさんが住んでいました。おじいさんの左のほっぺには、大きなこぶがぶぅらぶら。「きゃははっ。またゆれたよー、ばあさん!」とっても明るく朗らかなおじいさんは、踊りが大好きです。子供を集めては、歌ったり踊ったりして暮らしておりました。ある日、派手めなおじいさんは、こぶのお手入れをしようとエステサロンへ出掛けました。こぶもピカピカになり、「さ〜ぁ、ばあさんにようかんを持って帰ってやろっか」と、家路に向かう途中、大粒の雨が落ちてきました。「いやだー、せっかくお手入れしたこぶが汚れてしまうじゃなーーい!」とっても美意識の高かったおじいさんは、近くの洞穴に身をひそめました。夜になっても雨は止みません。「しょーがないねえ。今夜はここに泊まっていこうかな?」おじいさんが眠ろうとすると、どっしどっし・・・と足音が。「だ〜れなのよー。睡眠不足は美容の敵よ!」そうつぶやいて外をのぞいたおじいさんは、びっくり仰天。気取った赤鬼や、聖母の様な青鬼、やんちゃな白鬼に、おぼこい緑鬼。気の強そうな金色鬼までもがやって来るではありませんか。そして、洞穴の前で酒盛りを始めました。「それ歌え、それ踊れ」踊りの大好きなおじいさんは、見ているうちに踊りたくてむずむずしてきました。「ちょっと〜鬼さんたちぃー。私にも踊らせてちょうだいよ」派手めなおじいさんは、サンバにジルバ、ディスコダンスにエアロビまではじめてしまいました。もう誰も、おじいさんを止められません・・・。ついでにセクシーボイスの歌まで披露し、鬼たちは大喜び。「おじいちゃん、うまいぜ!」「素敵な踊りでございました」「やるじゃねーかよ、じいさん!」「上手だねっ。おじいさん!」「素晴らしい芸であった」と、口々に誉め称えました。鬼のかしらは「おいっ、お前!明日の晩もここへ来て踊るのだ。それまでそなたのこぶを預かっておくとしよう」と言うと、光のサクリアでスポン!とこぶをとってしまいました。派手目なおじいさんは、夢かとばかり喜び、勇んで家へ帰りました。「やっほ〜。こぶがとれたんだよぉ、ばあさん」「あれまっ、おじいさん。とってもいいかんじですねぇ」その様子を物陰からこっそりとうかがっていた隣に住む暗いおじいさんがおりました。「フッ・・・私もこのこぶをとってもらうか・・・」洞穴へ出かけ、鬼の前で恥かしそうに踊ってみせました。「何という下手な踊りだ!どうしたというのだ・・・。酒盛りがすっかり暗くなってしまった」金色鬼が眉間にしわをよせ、けげんそうに言います。「・・・っざけんじゃねぇーーぞ!くそじじい!」白鬼の率直な気持ちのようです。赤鬼は顔を真っ赤にし、今にも火をふきそうですし、緑鬼は大きな瞳に涙をいっぱいためて震えています。「皆さん、お待ち下さい。踊りは向かなくとも、歌はお上手かもしれません。私の奏でるハープの音色に合わせて歌っていただきましょう!」青鬼の言葉に助けられ、暗いおじいさんは恐る恐る歌いはじめました。「・・・闇の中・・・お前の瞳に・・・私をとらえてはなさない・・・心の氷河・・・」「こっ・・・こりゃひでぇーや!けっ・・・じじい、詩吟じゃねぇんだぞ!」白鬼に言われては、暗いおじいさんもたまったものではありません。「え〜い、下手くそな歌!二度と人前でそんな歌を歌うでない。預かったこぶは返してやる!」金色鬼は、そう言ったかと思うと、持っていたこぶを暗いおじいさんめがけて投げつけました。こうして暗いおじいさんは、両方のほっぺにこぶを持つ事になりました。「世の中とは、こんなものか・・・。フッ・・・。だが、これで素顔のままでぶりぶりざえもんに挑めるというものだ。フッフッフッフッフッ・・・」不敵な笑みを浮かべ、暗いおじいさんは闇の中に消えていったそうな。その後、暗いおじいさんは一層暗くなり、金色鬼とたいそう仲が悪くなったとさ。
  
踊る大捜査線〜アンジェワールドは大騒ぎ重要キャストだ!

 
 「事件は会議室じゃない!アンジェワールドで起こってんだ!」けたたましい叫び声とともに、青島がshake!ツアーから舞い戻ってきた。彼、青島俊作。「都知事と同じ名前の青島です」って、今となっては使えなくなってしまった古々しい紹介はさておき、おぼっちゃま大学を卒業後、シンバシマイクロシステムに入社。営業課に身を置いたが、脱サラして刑事となる。今や、湾岸署きっての名物刑事である。「青島くん、自分ひとりで楽しんでんじゃないわよ。・・・で、アンジェワールドって何?」窃盗犯を威嚇しながら、冷静に質問する気丈な女性。彼女こそが湾岸署刑事課の紅1点、恩田すみれである。一瞬静まり返った部屋に電話の音が鳴り響く。検問に出ている真下からだ。「守護聖と、女王候補のリスト出ました。そっちに送ります。」真下正義。検問をさぼってホームページを調べていたらしい。日本一の大学を卒業した、いわゆるキャリアであるが、部下の青島を慕うかわいい男である。青島とすみれは、真下の席のパソコンで、電送されたデータを開いてみた。画面に名前のリストが並ぶ。・・・ジュリアス・・・クラヴィス・・・リュミエール・・・オスカー・・・ルヴァ・・・「なんか異国の名前」すみれが険呑な視線で画面をのぞきこみ呟く。「この、アンジェリーク・リモージュって子が意識不明の重体だって」青島がそう口火をきった途端、和久の声にならないうなり声を聞く事となった。和久平八郎。おやっさん・・と呼ぶにふさわしい、熟年の域に達した男。かなりの博学者である。いわば、亀の甲より年の功。ベテラン刑事だった和久も退職し今は指導員として湾岸署を仕切っている。「ねぇ、青島くん。アンジェリークって魚住係長の奥さんの名前と同じじゃなかった?」「すみれさん、それを言うなら・・・フィンランド人のアンジェラでしょ」辺りに寒ーい空気が流れて・・・・・凍った。「いっいきますか!」とにかく、3人は飛空都市に向かうことになった。・・・ラララ LOVE SOMEBODY TONIGHT ラララララ〜・・・・・・・・・

 日の曜日、飛空都市の木々は明るい日の光りに照らされ、緑黄色に光り輝いている。青島とすみれ、和久の3人は、アンジェリークが何者かに襲われたと思われる現場、森の湖へと急いだ。「あっ、先輩。こっちです」
すでに真下が現場検証にあたっていた。無機質な車の騒音も、人家の喧騒もとどいてこない、幻想的で夢のような森の湖。真っ青な青空の下には、風に揺れるセピア色の草花と、コバルトブルーの湖が美しいコントラストを映し出していた。その中に、一人の金髪の少女が横たわっている。その傍らに、泣き崩れる一人の少年の姿があった。「僕の・・・僕の・・・アンジェリーク・・・」「第一発見者のマルセルくんです」「僕ってもしかして、男だったりする?」青島は、お人形さんのようなマルセルをまじまじと見ながら、悲しげな瞳で佇むリュミエールに尋ねた。「はい。今、飛空都市にいるものは、ロザリアを除き、全て殿方でございます。」「・・・というあなたも、もしや男?」もう何が何だかわからなくなってしまった青島は、すみれの方を二度三度振り返り、「どう見てもすみれさんより色っぽいよな」と口をついて出てしまった。すみれは皮肉たっぷりの顔をしたかと思うと、携えていたレインボーブリッジもなかをわしずかみにし、青島の悩天めがけて投げつける。「ビンゴ!」真下がすぐにいいつっこみをいれた。「僕、エンディミオンのお手入れにきたんだ・・・そしたらアンジェリークが倒れていて、僕びっくりして・・・涙が止まらなくて・・・そこへリュミエール様がいらして元気づけてくれたの」 マルセルの妄想は回転を止めず、いまだ白昼夢の膨張を続けていた。「なんなんだよー。おめえは!明日、森の湖で会いましょうね・・・ってこういうことだったのかよーふっざけんじゃねぇ!」怒りで髪が逆立っているわけではなさそうだが、怒りと悲しみににうち震える鋼の守護聖ゼフェルがそこにいた・・・。「俺はよー、アンジェリークの心が本当に俺のところにあるのか、たまらなく不安だったんだよ。不安にかられてストーカーロボットなんて作っちまう情けねえやつさ。おまけにそれをよりにもよって、起動させるなんてよー」「・・でこの湖にやってきたわけですね」「そうだよ!俺もバカだよな。こんな姿になったアンジェリークを見つける為のロボットを作っちまうなんてよ。ばっかみてーだぜ」荒々しい口調の中にも、今なお脳裡の片隅にアンジェリークとの鮮烈な画像を結んでいるゼフェルの憤りを感じた。「そうでもなさそうですよ、ゼフェルくん。先輩、そのロボットのデータを見れば、何かわかるかもしれません」「少し時間かかりそうだけど、いっちょやってみるか!あぁでも、やっと男と判別できる人と逢えたみたい俺・・・」青島は、安堵感に浸りながら、先程投げつけられたモナカの赤ワイン味の1つを和久に差し出した。「すまんな。それより、この飛空都市内にいる者に事情聴取をしたいが、よろしいかね」「ええ、もちろんそれは構いませんが、ここの3人以外はまだアンジェリークの事件を知りません・・・。なるべく皆の気持ちを察して下されば・・・と思います」「その点は、お任せ下さい。でもひとつ言わせてもらえるなら、ゼフェルくん、ストーカーはダメよ・・・ストーカーだけは・・・」すみれにとって『ストーカー』とは、とても重みのある言葉であった。「じゃっ、俺は、ロザリアの部屋いくわ!」「すぐそうやって、女の尻追うのよね・・・君は・・」「だって人間だもの」「またもめるといけませんから、すみれさんは庭園、先輩は執務室、和久さんは占いの館、お願いできますか?僕はここの3人の事情聴取と、ロボットのデータ再生にあたります」「はぁーっ、俺っていつも貧乏くじ・・・」「かわいそっ。ババ引いちゃって」心なしか足取りの重い二人の背後に、救急車の音を確認した。

 すみれは、庭園に足を踏み入れる。木々のざわめき、小鳥のさえずり・・・空を仰ぎ見ると、枝葉を通してゆっくりと動く白い雲。そんな自然の中で、実にさわやかな青年が、キューティクルいっぱいの美しい髪をなびかせやって来た。「おかま初号機・弐号機に、やっばーい男だけじゃなかったんだ。来てよかったかも」首をひょこっと竦めて笑ったその顔は、とても男まさりな恩田すみれとは思えない屈託のなさだ。だが、一歩足を踏み出した瞬間、再びきりりとした恩田刑事の顔になっていた。「あのー、練習中ごめんなさい。湾岸署の者だけど・・・」「はい。何でしょうか?」眩しい程の笑顔に、さすがのすみれもたじろぎそうになったのだが、そこは何とか踏みとどまって事の概要を説明した。一部始終を聞いた風の守護聖ランディは、ジャニーズばりの容姿を歪めた。「うっ・・・うそだろー、アンジェリークが・・・。俺は君のナイトになる為に、こうして体を鍛えてきたんだよ・・・あぁ・・・」恨めしそうに奥のベンチに目をやったかと思うと、汗の香りを残し、走り去ってしまった。「ちょっと・・・ランディくん・・・お姉さんが遊んであげようと思ったのに・・・ナ」すみれの恋は儚くも散った。半ばヤケになって、奥のベンチに進む。そこには、ロザリアとオスカーが楽しそうに語らいのひとときを設けていた。「お嬢ちゃん、今日のデートは楽しかったかい?どんな時も俺は、全身全霊お嬢ちゃんを愛しぬく・・・この熱いパッションが燃え続ける限り・・・永遠に・・・」「まぁ、オスカー様ったら。おほほほほ。私ならオスカー様の愛を受け止める自信ありますわ。これから、森の湖へ行きませんこと?二人で永遠の愛を誓いましょう」「うむっ、森の湖もいいが、俺はどっちかというと、お嬢ちゃんの部屋で甘美なムードに浸りたいんだが」「よろしくってよ!よろしくってよ!オーホッホッホッホッ〜」「あぁ、こりゃイッちゃってるわ。事情聴取するだけ無駄ね」失恋の痛手冷め遣らぬすみれには、少々きつい試練だったようだ。すみれは、精紳の高陽を沈静化するべく、元きた道を帰った。

 整然とした宮殿に足を踏み入れた青島は、東京見物に出てきた修学旅行生のように暫くぽかんと見つめていた。「何かお探しですか?」
救急車の音を聞きつけて、大地の守護聖ルヴァが執務室から出てきた。「いや〜すごいっすね。こんな所で仕事ができるなんて、守護聖冥利に尽きるってやつですか。あっ申し遅れました、湾岸署の青島です。確かルヴァさんでしたね。ホームページで見ましたよ。人気ナンバーワンなんですねっ。何となくキャラクターかぶる所が気に入りました!」「いえいえ・・・そんなことありませんよ〜。いつもボーっとしてますから差し障りがないのでしょう。でも、皆様に慕われるなんて嬉しいことですねぇ。・・・で、クリーニング屋さん、何の御用でしょう?」「エッ?俺?クリーニング屋・・・?富樫クリーニング店でーす!」「では、そろそろ私は失礼させていただきます・・・ごきげんよう・・・」
おいおい、本当に天然ボケだよ・・・これじゃあ。多分、真下の所に行くんだろうな。泳がせよっか。コンコン・・・「誰だ・・・」「弁護士協会の高岡です」「用などない!帰れ!」天然ボケの次はお代官さまかい?・・・ほんと大ババ、ビンゴ!コンコン・・・・・「はぁ〜い?どなた〜?」「天真楼病院の司馬です」「うっわぁ〜、しっぶぅーーい!遠慮なく入っちゃって〜」これまたハジけた守護聖だな。「ちわーーーっ」「ちわーって挨拶するドクターって聞いた事ないけど、まっいいわ〜。こっちきて一緒にキムチラーメン食べようよ〜」「キムチラーメンすかー。ありがたいな・・・1度キムチラーメン食べて、キムチいーーッって叫んでみたかったもんで」「そーなのよ〜。これって結構美容にもいいからさ〜、キムチイーッって叫びたくなるよね〜」なんか、すっごく濃っいーやつら。さしずめ、飛空都市のスリーアミーゴーズって所か・・・。だけど、こんな事してていいのかな俺。ひとまずキムチラーメン食べたら、森の湖に戻ってみよ。

 和久が赴いた先は、占いの館。しんとして、底知れぬ静寂を湛えるその神秘さに、心の汚濁を淨められ、仰ぎ見る者として尽きぬ興味と奇異の感に等しく打たれ、魂を奪われる。宇宙の深遠さに心洗われて、真情に浸るに十分な程、示唆に富んだ空間である。その中に、全てのエネルギーを不気味なまでに吸収し、凄まじい魂を秘めてその姿をあらわす闇の守護聖、クラヴィスがいた。和久は、その威圧感にただならぬものを感じとったが、アンジェリークの身に起こった事をぼそぼそと話し始めた。「私は昨夜、アンジェリークと会っていた・・・だが、それだけだ。私の愛は、アレにはとどかなかった・・・」ともすれば無力感にとりつかれるクラヴィスは、必死にそれと戦い続ける。彼に絶望は許されない。彼が無に帰する時は、即ちこの宇宙にとっても無である以上、彼は全能であり続けなければならないのだ。彼は苦慮の末、それを克服し得る意思の再構築こそが、自分の心を助けるものと、一筋の結論に辿りつこうとしていた。流れる時との競争は、前途の多難を思わせる。クラヴィスは、平然たる態度を崩さずゆっくりと席を立ち、つかつかと扉に向かった。「私には、もう何も話すことはない・・・」そう静かに言葉を残し、重い扉を閉めた。和久は考える。アンジェリークは、ゼフェルといい仲だった。アンジェリークを愛するあまり、手をかけてしまった・・・とは考えられないだろうか?性質の正直なあの男ならやりかねない。・・・やっと、刑事ものらしくなってきたな・・・。

 突然空が薄暗く曇り、強い風が吹きはじめた。時々降る細い雨が、湖の水面に水玉模様を作り、だんだん大きな輪になり交錯している。守護聖達の心の中にも氷のような冷風が吹き、身の置き場のない悲哀に苛まれていた。アンジェリークは湾岸病院に運ばれ、いまだ死の淵をさまよっている。「あっ和久さん。何かわかりましたか?」「いや、何もわからん」「そうですか。すみれさんと先輩も、何もつかめなかったそうです。僕の方も、有力な手がかりも得られなくて、ストーカーロボットの巻き戻し作業を続けていました。」「何かわかったの?」「はい、土の曜日の夜、森の湖へと足を運ぶアンジェリークを映し出しました。日中はゼフェルくんと、庭園を散歩していたようです。」「じゃあ、見てみましょうか・・・」

 小さなディスプレイに、アンジェリークが映し出された。誰かを待っているようだ。5分程経った頃だろうか?クラヴィスが闇に紛れてやって来た。「アンジェリーク、待たせてすまぬ・・・」「いいえ、クラヴィス様。でも、夜の湖は薄気味悪くて恐かった・・・。元々、心臓があまり丈夫な方じゃないんです私。だからホラッ、今もまだドキドキしてる!」「それは悪かった・・・話が話なので夕刻になってしまったが、話というのは他でもない。もうすぐ、女王試験も幕を閉じる。そなたは一体どうするつもりだ。もし進むべき道がわからぬと言うのであれば、私が何とかしてやるのだがな・・・」「クラヴィス様、私の事を心配してわざわざこうして足を運んで下さつたのですね!ありがとうございますっ。でも大丈夫。私、ゼフェル様の事が大好きです。明日、思い切ってこの湖で告白してみようと思ってます。答えがノーだったら、女王になると決めました。ですからクラヴィス様、そんなに心配なさらないで・・・」「・・・・・。私ではダメなのか・・・私ではダメなのだな・・・・」「クラヴィス様・・・・・」
「ダメだとわかっているが、言わせてくれ・・・。私の最後の告白だ。ついてくる気がなければ、黙っていてくれ。私はそのまま消える・・・」そう言うとクラヴィスは、アンジェリークに背を向け、大きな体を強張らせ下を向いた。・・・・・・・・・・・・・・・・緊張の一瞬・・・・・・・・・・・・・・・。
「アンジェリーク、私といっしょに永眠せぬか・・・」このシチュエーションにこの言葉は、アンジェリークの脈をある意味で波立たせる。けいれんが始まるのに、さほど時間は必要なかった。身動きのとれなくなったアンジェリークは、ゆっくりと森の湖を後にするクラヴィスの後ろ姿を悲痛な面持ちで見送った。そして、その場にパタリと倒れこむ・・・。

 「そういうコトか・・・・」「ショックによる心臓マヒね」「だが、皆が被害者みたいなもんだな。これじゃあ」「何て言ったらいいか・・・だけど永眠はマズイでしょ」「そうね、一応任意同行してもらいましょうか」そう言ってクラヴィスの執務室へ向かおうとした青島とすみれの前に、クラヴィスを連れた室井が立ちはだかる。「確保ォーー!」「むっ室井さん、おいしいとこ持っていきますねーいつも・・・・。相変わらずカッコイイけど」
「お前は相変わらずだな・・・」「ハイ!」しばしみつめあう二人に業を煮やしてか、すみれが発する。「青島くん、行くよ!」「それじゃっ、室井さん!またっ」「さっき湾岸病院から連絡が入った・・・アンジェリーク・リモージュの意識が戻ったそうだ」「よっしゃぁーーーー!」ゼフェルの声がひときわ嬉しそうに、森の湖にこだました。(・・・おわり・・・)


         *わからない方の為の親切ひとことメモ*   
●事件は会議室じゃない・・・【踊る〜のスローガンにもなっている台詞】●Shake!【青島=織田裕二今世紀最大のコンサートツアータイトル】●LOVE SOMEBODY【言わずと知れた、踊る〜のテーマソング。さまざまなバージョンが存在する】●レインボーブリッジもなか 【架空のお菓子が踊る〜の大ヒットにより実現。歳末では、れいんぼうかすていらも登場した。】●ビンゴ!【使用頻度の高い真下の決め台詞。ユースケのバンド「ビンゴボンゴ」からきているらしい。】●ストーカー【踊る〜第5話で、すみれとアニメの美少女キャラクター「ピンクサファイア」をだぶらせてしまった男にストーカーされた事件あり】●ババ引いちゃって【栄転していく同僚や、結婚が決まって幸せの絶頂にいる友人に使うと効果大。すみれは本店行きの決まった青島にもらした】●初号機弐号機【エヴァンゲリオンからのパクリ。弐号機は初号機よりパワーアップしてますよ!と広く使える用語】●富樫クリーニング店【ドラマ「真昼の月」での織田君の家】●高岡【ドラマ「正義は勝つ」の織田君の役どころ】●キムチラーメン【和久やすみれに食べられた苦い思い出の一品】●スリーアミーゴーズ【踊る〜を語る上で今やなくてはならないおとぼけトリオ。アドリブのはいった会話・コミカルな芝居は超一級品】●永眠【クラヴィスがお役立ちメッセージ集の中で発した言葉。アンジェリーカーを震え上がらせた一言】●確保【逮捕ではなく確保というところが室井らしさ。自分のお気に入りを見つけた時にみんなで叫ぼう】

あかずきんちゃん 〜サマーバージョン〜(近日UP予定)

俺が活躍するぜ!やけどするなよっお嬢ちゃんっ