咬まれたとき


まむし咬傷

われわれをとりまく毒蛇にはマムシハブヤマカガシがいます。
マムシは小型の蛇でせいぜい60cm以下で、胴体は太く、頭は長三角、黒褐色の銭形斑点が背面に並んでいます。マムシに咬まれた患者さんの話を聞きますと、咬まれた瞬間チカッと激痛が走りその直後から燃えるような灼熱感を訴えて来院します。私の地域では患者さんは、咬まれた傷よりも体にちかい部分を堅く縛り現場で毒を吸うといいます。これは生活の知恵で、正しい処置ですが、堅く縛りすぎますと指などの血液の循環が悪くなりますので注意しましょう。柔らかく縛ったままですぐに医師を受診します。20〜30分経過しますと激痛とともに腫張(はれ)がみられますが、1時間経過しても腫張がない場合は他の無毒蛇か無毒咬傷が考えられます。また2個の平行した鋭利咬み傷が特徴です。
医師はそれらを考慮に入れて、まむし咬傷と判断した場合、マムシ抗毒素(血清)のテストを開始しますが、抗毒素が体質的に合わない場合には抗毒素を投与しません。その判断は医師にまかせます。血清を投与しないために死亡するケースはごく希で、むしろ抗毒素を無理に投与した場合の副作用の方が危険なのです。マムシ咬傷で正しく受診した場合、比較的毒保有量が少ないために、死亡するケースはほとんどなく、その死亡率は0.1%とされています。
 ハブは奄美沖縄地方に生息し性格もどう猛で、その毒保有量はマムシの約20倍といわれ注意が必要です。
 ヤマカガシはふつうに水田、水辺に生息し体長1メートル背面に黒斑が並び全体が黒く感じられます。性格もおとなしく掴まない限り咬みません。ただちょっと咬まれたぐらいでは安全ですが、しっかり咬まれた場合、毒が入り全身的に出血傾向がでて重症となりマムシより恐いとも言えます。やたらに蛇に触れないようにしましょう。 


イヌ、ネコの咬傷

犬猫に咬まれた場合は、直ちに医師の治療を受けましょう。動物の口の中、歯には細菌が多く容易に感染します。
 イヌの場合、日本では狂犬病の心配はありません。
ネコの場合、あとで微熱が続いたり、リンパ節がはれて症状が長引く場合があります。また、いずれも破傷風の予防が必要です。

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