その9


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 先月祖母が倒れて入院中で、それまで余り祖母の部屋には入らせなかったのだが、最近は主がいない部屋に我が物顔で出入りしている。障子を開けるとガラス戸越しに庭が見えるのが気に入ったのか終日ガラス戸の前に座って外を眺めている。花が風で揺れたり、時々小鳥が庭先に飛んできて遊んでいるのが気になるようだ。そのくせ抱いて外に連れ出そうとすると必死でしがみついて震えている。
 夜になって外が真っ暗でもジッと身じろぎもしないで眺めているので、家族のみんなから「うちの猫は馬鹿じゃない?」と言われている始末だ。