ウチョウランについて

 

1 自生状況  

  鹿児島県から青森県の標高100m から2000m地帯の日当たりの良い涼しい岩場に自生する。自生範囲は全国的であるが、隔離的に分布する。そのため変種や亜種がある。変種としてクロカミラン(佐賀県)、アワチドリ(千葉県)、サツマチドリ(鹿児島県甑島)がある。地方種(全て学名はウチョウラン)としてクロシオチドリ(長崎県平戸島)ショウドシマ(香川県小豆島)テバコチド,オオウチョウラン(愛媛県石鎚山系)などがある。

 

サツマチドリの自生状況(鹿児島県下甑島)

 

アワチドリ(桃色花)

クロカミラン

サツマチドリ

テバコチドリ

オオウチョウラン

2 最近の状況

  以前より山草として山草マニアの人たちに愛培されていた。昭和40年代の野生ランブームにより栃木県において盛んに栽培され自然界から多くの特徴ある品種が選抜された。それと同時に関西においては、エビネランブームがあった。関東でのウチョウランブームが徐々に関西にも広がり、日本中でいろいろな品種が選抜された。しかし一本が数十万円する物もあり一般的にはなかなか普及しなかった。

現在、培養の技術が進み増殖法も確立され以前数十万円の物も数千円で購入できるようになった。さらに人工交配により新しいタイプの品種が開発されるようになり愛好者も増えてきている。

 

紅一点花

霧点花

赤花

仁王系

白紫点花

3 培 養 法

 用土は鹿沼土、赤玉土、ボラ土などの砂を用いる。(水を与えてすぐに鉢から水がでるような植え方)

 置き場所は、午前中日があたる風通しの良いところが望ましい。(夏期の蒸れで根元から腐る事が多い)

 夏場は、遮光を十分にし、風通しをよくして水やりをやや控えめにする。

 水のやりは、枯れないように育てるには、用土が乾いたらやるようなやり方がよ望ましい。大きく育てるには、水を十分与えるのが望ましいが夏場に過湿で枯れる可能性が強い。(成長期に球根を形成し、秋に枯れるので枯れてからは、春までは (3月上旬)水をひかえる。

 

*休眠期(冬場)の管理

 植物体の上部が11月頃に枯れるが、枯れてからの管理にはいろいろな管理法がある。愛媛においては、方法2が望ましい。春の潅水は、3月上旬(啓蟄)の晴天の日にたっぷりと行いその後通常の管理を行う。潅水が多いと芽が枯れる可能性がある。

 (方法1)

 ただちに球根を堀上げてゴミなどを取り除きベンレート溶液(1000倍程度)に10分程度浸して新聞の上に並べて陰干しをする。その後紙などで包み、冷蔵庫など、高温にならないところで保管をし保存をする。

         *冷蔵庫内で保存をすると乾燥し過ぎる場合がある

         *植え出しを忘れる可能性がある

         *室内で保存した場合冬場でも芽が出る可能性がある

 

 (方法2)

  ただちに球根を堀上げてゴミなどを取り除きベンレート粉末にまぶす。その後すぐに新しい培養土に植え変えたっぷりと潅水をする。その後の潅水は晴れた日に月に2回程度行う。(春まで行わなくても余り問題はない・水の量は夕方までには乾く程度)

         * 植物体が早く枯れた場合には望ましい(菌に犯されている可能性があるから)

     

 (方法3) 春までそのまま放置し2月下旬に方法2を行う。

        *秋に菌が入っていた球根が腐る可能性がまれにある。