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日本酒利き酒師「おやじ」の日本酒講座
第2回「日本酒度?酸度?それってな〜に?」
皆さんも一度は耳にした事があるかもしれない、日本酒を深く理解するための尺度が「日本酒度」と
「酸度」です。今回はこの二つをご説明しましょう。
★日本酒度
皆さんご存知のように日本酒には「甘口と辛口」があります。この「甘さ、辛さ」を指し示す単位と
して日本酒度があるのです。
人によってまちまちな「甘さ、辛さ」をどうやって判断するのか、それは「比重」を使います。
「日本酒度計」と言う比重計を使い、お酒の液温15℃のもとで測定します。
アルコール度数が同じ酒の場合、エキス分の多少で比重が変わります。このエキス分の大部分を
「糖分」が占めています。つまり、比重が重いものほど糖分が多く、軽いものほど糖分が少な
くなります。
液温15℃の水の比重を±0とし、糖分の多い酒は重く、
水のほうが軽いのでマイナス
で表し、(右側)
反対に糖分の少ない酒は軽く、
水のほうが重いのでプラス
で表します。(左側)いずれも数値が大きくなるほど甘辛の度合いも強くなります。
ただし、厳密には酸などの他の成分の影響があるため、一概に日本酒度だけで甘辛を判断することはむ
つかしいと思います。(聞いた話ですが、アルコール分と酸度が同じ時、人間が感じ取れる日本酒度の
違いは5度以上と言われているらしいです。)
★酸度
日本酒10ml中に含まれる酸の総量を完全に中和するために必要な、1/10水酸化ナトリウム(苛
性ソーダ)溶液の量。
数値が大きいほど酸が多く、味の濃い辛口に感じます。反対に数値が小さいほど酸が少なく、味の薄い
甘口に感じます。
日本酒には約40種類ほどの酸が含まれているらしいですが、代表的なものは
- コハク酸・・・味を濃くする、旨味を出す成分
- リンゴ酸・・・すっきりとした香りを出す成分
この2種類の酸で全体の約80%を占めます。
コハク酸は温めて、リンゴ酸は冷やして旨味を発揮するため、それぞれの酸のバランスによって、味わ
いや飲む時の適温に違いがでてきますが、一般的には酸度の高いものほどお燗向きといわれています。
(聞いた話ですが、人が酸度で濃淡を判断できるのはアルコール分、日本酒度が同じ場合、0.2以上と
言われています。)
この日本酒度と酸度を組み合わせて、日本酒の味わいを分類したのが下の
「日本酒官能表」です。
・・・皆さん理解できましたか?日本酒度と酸度を理解するとそのお酒の大まかな味を予想する事が出
来ます。だからと言って日本酒度と酸度ですべてが決まるわけではありません。「日本酒は芸術」です。
化学方程式や数値で評価するものではありません。あくまでも参考のための「ものさし」として使って
くださいね。
それでは今回はこのへんで。
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