マンモグラフィ(乳房X線撮影)

 マンモグラフィとは乳房のX線撮影のことです。乳房の組織は柔らかいため、専用の撮影装置を用います。圧迫して撮影するため、少し痛みを伴いますが、乳がんの診断にとても有用で、被爆の影響もほとんどありません。乳腺組織が多いと病変の描出が悪くなるため、若い方の検査には不向きです。この検査を受けるには、生理終了前後がよいと言われています。欧米ではマンモグラフィの普及により、乳がんの死亡率が減少しています。現在日本でも40歳以上の乳がん検診には、視診・触診とともに2年毎のマンモグラフィが推奨されており、今後早期乳がんの発見率が向上し、乳がんの死亡率が減少するものと期待されています。ちなみに、乳がん検診で精密検査が必要となる確率は100人に5人程度ですが、実際に乳がんと診断されるのは1000人に2人程度です。
 マンモグラフィの撮影方法は、内外斜位方向(MLO)撮影と頭尾方向(CC)撮影の2つが代表的です。40歳代の方にはこの2つの撮影法を、50歳以上の方には内外斜位方向(MLO)撮影のみを実施するのが一般的です。どの撮影方法でも1枚のフィルムに左右の乳房を並べて表示します。異常が発見された場合には、他の撮影方法を追加することになります。
 マンモグラフィで発見される異常では、腫瘤(しこり)、石灰化、構築の乱れが重要になります。腫瘤では形、辺縁の性状、濃度を、石灰化では形態、分布を、構築の乱れではその種類と程度を検討することにより、以下のように判定を行います。カテゴリー3以上では、超音波検査、細胞診や針生検などの精密検査が必要になります。

  カテゴリー1 異常なし
  カテゴリー2 良性
  カテゴリー3 良性、ただしがんを完全に否定できない
  カテゴリー4 50%以上の確率でがんが疑われる
  カテゴリー5 ほぼ100%がんと考えられる

 マンモグラフィの判定には、良い写真と正確な読影技術が必要です。このため、撮影や読影の能力向上を目的にして、医師や放射線技師を対象にした講習会や認定試験が全国各地で開催されています。

矢印のところです

 マンモグラフィの写真をお見せします。この症例では、向かって左側の乳房(患者さんの右乳房)に石灰化、スピキュラ(棘状の突起)を伴った腫瘤が認められ、カテゴリー5の判定となります。

【乳がんの早期発見に役立つサイト】
J.POSH
乳房健康研究会 

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