【アンチキルケ入門編・第1回】
Onsite Fairy Mate でアンチキルケと言う新しいルールが出題されています。
これがなかなか面白いルールであるにもかかわらずイマイチ敬遠されているように
思われます。OFMの101回出題はそんなに難しくなく楽しめる内容だったのですが、
解答者は私を含めて4名とはちと寂しいようです。
確かに私も始めは分かりにくいと思ったのですが慣れるにつれてなかなか面白い
と感じるようになりりました。乗りかかった船ですので簡単な入門編として
「アンチキルケ入門講座」と題して基礎の基礎を勉強することにしましょう。
ルール説明
ここではアンチキルケ(正式には日本式アンチキルケと言います)のルールを勉強します。
内容はYOMUKA
Fairyさんのところのルール説明に準じてやっていきます。
1.駒取りを行った場合、駒取りをした駒は最も近い初期位置に戻る。
キルケルールでは取られた駒が指し始め位置に戻されますが、アンチキルケでは駒を取った方が指し始め位置に戻されます。
では図面で見てみましょう。
図1
図1の場面、3三金で玉方の2二歩を取ってみましょう。普通の詰将棋ではこれで詰みですね。
ところがアンチキルケではルール1で駒を取った方が指し始め位置に戻されますから2二歩を取った金は図2のように4九へ戻されてしまいます。
この時取った歩は持駒になります。この時の表記は”2二金/4九金”のように書きます。
図2を見れば分かりますが2二金(/4九金)は王手ではありません。
図2
2.5筋の金銀桂香は取った側が戻る位置を選択できるが、片方にのみ戻れる場合は強制的にそちらに戻る。
では5筋の駒を取った場合です。図3を見てください。
図3
この場面で5三金が玉方の5二歩を取ってみます。
するとルール1に準じて駒を取った金は指し始めの位置へ戻されますが指し始めの位置は4九と6九の2ヶ所ありますね。
この場合は取った側が選択します。図3を見てみますと6八に玉がいますので6九に戻れば王手とすることが出来ますね。(図4)
但し6九の地点に攻方、玉方問わず駒がある場合は4九にしか戻ることが出来ません。
金の他にも銀、桂、香も同様です。
図4
3.成駒は成ったまま戻る。
図1で3三の”金”が”と金”だとしてみましょう。そのと金が2二の歩を取れば
と金のまま一番近い指し始めの位置2七に戻されます。(表記は22と/27と)
では今度は2三の歩で2二の歩を取ってみましょう。
攻め方は”成る”と”不成”の2通りの取り方がありますね。
成った場合は、2二歩成/27と
不成の場合は、2二歩不成/27歩 ということになります。共に王手ではありません。
4.初期位置に駒があり、戻れない駒は戻らない。
たとえば図5の場合。4九金がありますね。
図5
この場合に5三の金で4二歩を取るとします。ルール1に準じて駒を取った金は指し始めの位置へ戻されますが、
指し始めの位置(4九)にすでに駒がある場合(攻め方・玉方問わず)は戻ることが出来ません。
ですからこの場合は、4二金までで詰みとなります。(歩が一枚余りますが)
5.駒取りの発生時、駒が戻るまでを一手と見なす。
そのため、例えば11歩生/17歩は許されるが、11歩生は許されない。
図6
この場面で1一歩生と歩を取れば1七に戻されます。取った瞬間は1一歩生は
行き所の無い駒ですが、1七に戻されればそうではなくなります。アンチキルケでは
駒取り時は駒が戻されるまでを1手と見なしますので禁手ではありません。
1一歩生が駒取りでない場合や1七に駒があり戻ることが出来ない場合は、
もちろん1一歩生とは出来ません。
6.詰みの概念はフェアリーに準ずる。同玉→51玉等、アンチキルケによって逃れる場合は不詰。
これは図7を見てもらいましょう。
図7
普通はこれで詰みですよね。しかしアンチキルケでは違います。
玉方は1二玉と金をむしり取る防手がありました。つまり1二の金を取ることで
玉も指し始めの位置へ戻ることが出来ます。1二玉/5一玉で逃れです。
図8は詰みです。
図8
玉が1二の金を取っても攻め方5二歩がいるので指し始めの位置に戻っても
玉が取られてしまいます。よって1二金を取ることはできません。
(5二歩がなく51に何かの駒があって玉が戻れない場合でも詰みですね)
【宿題】
第1回のルール説明は以上です。基本の基本ですのでしっかり頭に入れておきましょう。
第2回はいろいろな手筋を見ていくことにします。(いつになるかは分かりませんが)
では宿題です。簡単な問題ですので気軽に考えてみてください。
アンチキルケばか詰 3手