第4回・アンチキルケばか詰作品展
長編の部
長2  もず 作 (登場5回)  アンチキルケばか詰 125手                      



【投稿時のコメント(3作セット)】

 最初が一致しているのがどうかと思いますが、配置の左右対称性を強調してみました。1つ目(101手)を入れたのもどうでしょうか。いかにもfmに見つけてもらいました的ですので、おそらく一番解きにくいと思います。 

【評価】 

 自力正解者・・・3名
 A・・・2、B・・・1、C・・・0  平均点・・・2.67(5位) 
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【解説(のようなもの)】

 (解説のしやすいように3部作の順番を入れ替えて長2から解説します。)
今回の経緯を説明しておきましょう。
まず12月の初めにもずさんより”と金追い”123手の図が投稿されてきました。そしてその次の日に七郎さんより長4が投稿されてきました。(驚きました) 同一趣向ということで両作者に経緯を説明して出題の許可を頂き、その後もずさんが3部作として改良されて再投稿され一挙4作の出題ということになった次第。
 もずさんの3部作は盤面は全く同じで持ち駒の歩の数だけが違うという過去に類を見ない(?)3部作です。手順もオーソドックス〜破調までバラエティに富んでおり楽しめた(苦しめられた?)のではないでしょうか。
 では解説のようなものを始めましょう。

 まずはオーソドックスな長2です。
 初手5二歩〜5一歩成からのと金追い趣向は王手がこれしかないのですぐに分かります。またそのと金を取る手が無いのも(取れば玉が5一に戻るだけですから)分かります。
 ここで詰上り型を考えてみると、と金で玉方の駒を王手で取るのは無理なのでと金だけの詰上りしかないことに気付きます。つまりと金2枚での詰上りです。1枚のと金は5一を抑えないといけないので41か61ですね。そして初形の左右非対称な2二角と8二馬の存在を見て41と 21玉 12との形が1つの詰上りとして見えてきました。
 ではこれに向けて順に駒を動かしてみることにしましょう。

 52歩 61玉 51歩成 71玉 61と 81玉 71と 91玉 81と 92玉
 91と 93玉 92と 94玉 93と 95玉 94と 85玉 95と 75玉 
 65金 同玉/51玉 (22手)

実は2手目に大きな岐路があります。右へ行くか左に行くか?解説の都合上左に行きます(私は最初左に行きました・・・結果右に行くと手数内では詰まないんですね。これは22角と82馬の違いによるものです) 玉が75まで来たらもう先にはいけませんので55金を捨て玉を51まで戻します。(途中図1)

途中図1

 (途中図1より)
 52歩 61玉 51歩成 71玉 61と 81玉 71と 91玉 81と 92玉
 91と 93玉 (34手)

ここで再び、右へ行くか左へ行くか悩みます。でもどうせここでは分からないから95とに近づく左に行くことにします。そして玉が93まで来たとき問題の場面となります。(途中図2)

途中図2

 実はこの問題の場面は3部作を解く上での大きなポイントの地点です。この場面では94と 同玉/51玉 と進める手と 92と 同馬 94と と進める手がある分岐点なのです。素直な私はオーソドックスな初めの手段を選んで手順をとりあえず進めていきます。

  (途中図2より)
94と 同玉/51玉 (36手)

 そして再び、右か左かの場面です。(途中図3)

途中図3

この場面は左に行くと81と 同馬が必然となり王手が続かなくなりますので右に行きます。

 (途中図3より)
 52歩 41玉 51歩成 31玉 41と 21玉 31と 11玉 21と 12玉
 11と 13玉 12と 14玉 13と 15玉 14と 25玉 15と 35玉
 25と 45玉 35と 55玉 45と 65玉 55と 75玉 65と 85玉
 75と 94玉 85と 93玉 (70手)

さてまた悩ましい所にきました。(途中図4)

途中図4

 次の92とを玉で取るか馬で取るか・・・しかし途中図2を見れば途中図4もほぼ同じですので、前と同じように玉で取ることにします。玉を51に戻し再び右左の悩みですが、左に行くと途中図4に戻りますので右に行きます。

 (途中図4より)
 92と 同玉/51玉 52歩 41玉 51歩成 31玉 41と 21玉 31と 11玉
 21と 12玉 11と 13玉 12と 14玉 13と 15玉 14と 25玉
 15と 35玉 25と 45玉 35と 55玉 45と 65玉 (98手)

 ここまで追えばここでは75としかありません。(途中図5)

途中図5

 玉を51に戻してここでも左行けば途中図5に戻りますので再び右へ行きます。

(途中図5より)
 75と 同玉/51玉 52歩 41玉 51歩成 31玉 41と 21玉 31と 11玉
 21と 12玉 11と 13玉 12と 14玉 13と 25玉  (116手)
 
 と金を13まで持って来れば初めに想定した詰上りがやっと見えました。(途中図6)

途中図6

ここから収束です。

 35と 同玉/51玉 52歩 41玉 51歩成 31玉 41と 21玉 12と 迄 125手

詰上図


やっと想定した詰上りにたどり着いて125手です。破調も無くオーソドックスな手順で一番美しい手順といえましょう。作者以外の自力正解者は3名でした。

                        *
橋本孝治
 
「たぶんこれがこの連作の端緒だと推測します。(馬が動かないので。)とはいいつつ、最初は35手目94との所で、92と 同馬 … と進めて手数オーバーしてました。A」 
若林
 「6枚あればと金の再利用が必要なのは最後だけ。長3を解いているうちにほぼ同時に解けました。B」
もず
 「これが最初に想定した手順。途中から逆回りになるところを気に入っています。」
隅の老人B
 「Bから解いたので、これは意外と簡単でした。A」
 
長3  もず 作 (登場6回)  アンチキルケばか詰 167手                      



【評価】 

 自力正解者・・・3名
 A・・・3、B・・・0、C・・・0  平均点・・・3.00(1位) 
 お気に入り投票 : 0


【解説(のようなもの)】

 さて引き続きは持駒歩が長2より1つ減った長3です。持駒の歩が長2より少ないので125手では詰まないことはわかります。長2を解図しているとポイントとなる点はいくつか在りました。その場面が途中図2(34手目)の場面。(本作は持ち歩の数が1枚少ないので途中図2aとします。)

(途中図2a)に至る手順

 52歩 61玉 51歩成 71玉 61と 81玉 71と 91玉 81と 92玉
 91と 93玉 92と 94玉 93と 95玉 94と 85玉 95と 75玉 
 65金 同玉/51玉 52歩 61玉 51歩成 71玉 61と 81玉 71と 91玉
 81と 92玉 91と 93玉 (34手)

途中図2a(歩は1枚少ない)

ここで長2では94歩 同玉/51玉と進めましたが本作は同様に進めると詰まない?気がしますのでもう一つの手段 92と 同馬 と進めることになります。

 92と 同馬 94と 82玉 93と 71玉 82と 61玉 71と 51玉 (44手)

このまま周りを追っていっても意味が無いので、2枚目のと金で追ってみます。(途中図8)

途中図8

 (途中図8から)
 52歩 41玉 51歩成 31玉 41と 21玉 31と 11玉 21と 12玉
 11と 13玉 12と 14玉 13と 15玉 14と 25玉 15と 35玉
 25と 45玉 35と 55玉 45と 65玉 55と 75玉 65と 85玉
 75と 94玉 85と 93玉 94と 82玉 (80手)

さて1周追ったところで、考えどころがやってきました。(途中図9)

途中図9

 93と 71玉 と行くのは(途中図8)から71と金で追っていくのと同じ(持ち歩が1枚得)なので無いとしても、93と 同馬(飛)や81ともあって悩ましいところです。正解は「93と 91玉 82と 同馬 81と〜」と馬を元に戻して左回りにと金追いをすることになります。
一度動かした馬をまた元に戻す。実に巧です。左回転する為には馬は82でないといけないのです。

(途中図9より)
 93と 91玉 82と 同馬 81と 92玉 91と 93玉 92と 94玉 
 93と 95玉 94と 85玉 95と 75玉 85と 65玉 75と 55玉
 65と 45玉 55と 35玉 45と 25玉 35と 14玉 25と 13玉
 14と 12玉 13と 21玉 12と 31玉 21と 41玉 31と 51玉 (120手)

 そのまま左回転して玉を51まで運んだら、2枚目のと金を作り、そのまま左回転で追います。(途中図10)

途中図10

(途中図10より)
 52歩 61玉 51歩成 71玉 61と 81玉 71と 91玉 81と 92玉
 91と 93玉 92と 94玉 93と 95玉 94と 85玉 95と 75玉
 85と 65玉 75と 55玉 65と 45玉 55と 35玉 45と 25玉
 35と 14玉 25と 13玉 14と 12玉 13と 11玉 21と 同玉/31玉(160手)

 と金が13に来たら収束です。(途中図11)

途中図11

(途中図11より)
 52歩 41玉 51歩成 31玉 41と 21玉 12と 迄 167手

詰上図

この作品のポイントは馬を動かしてまた元に戻すところでした。実際に解くには変化順などの手数を数えながらの解図になりますので結構大変でが解けたときに喜びは格別です。長2に比べると破調(鍵といいましょうか)が入っている分謎解きとして面白いのではないでしょうか。作者以外の自力正解者は3名でした。

                        *
橋本孝治
 
「持歩の数の違いだけで異なる手順が成立する面白い連作でした。特に最後を飾るこの作は論理がスッキリしていて、単品で見ても立派な作品だと思います。A」 
若林
 「まずこれから解きました。意外にと金が派手に動くので面白かったです。A」
北村太路
 「すいません。FMに並べて貰いましたが、さっぱりわかってません。鑑賞もしてません。なぜ、歩7だと、左で詰むのに、歩6、歩5だと右で詰むのか・・・FMに並べてもらいましたが、さらにさぼって解説に期待しよう。」
もず
 「これも途中で逆回りが生じます。1つははじめから逆回りする手順を作りたかったのですが、うまい筋が見つかりませんでした。」
 隅の老人B
 「姉妹局3題で手数は長いが、持駒は最少。この方が、変化紛れは少ない?と、このBから解く。先ず、収束図を考える。それから駒を動かす。こんな方法で解きました。A」
 
長1  もず 作 (登場4回)  アンチキルケばか詰 101手                      


【評価】 

 自力正解者・・・2名
 A・・・3、B・・・0、C・・・0  平均点・・・3.00(1位) 
 お気に入り投票 : 1


【解説(のようなもの)】

 歩の数が多いので早く詰むことは分かるが実は本作が一番筋が読みにくく難解でした。
 とりあえず長3と同じく34手目の場面まで進めてみます。(長2・途中図2より歩が1枚多いので途中図2bとします)

(途中図2b)に至る手順

 52歩 61玉 51歩成 71玉 61と 81玉 71と 91玉 81と 92玉
 91と 93玉 92と 94玉 93と 95玉 94と 85玉 95と 75玉 
 65金 同玉/51玉 52歩 61玉 51歩成 71玉 61と 81玉 71と 91玉
 81と 92玉 91と 93玉 (34手)

途中図2b

長2では94と〜、長3では92と 同馬 94と 82玉 93と 71玉〜と行きましたが、本作はここからかなり強引に進みます。

(途中図2bより)
92と 同馬 94と 82玉 93と 同飛!83歩! (41手)

歩の数が多いので歩の利く8筋に打つ8三歩が強打です。(途中図12)

途中図12


ここから右回転へと入っていきますが、71にと金を置いて2枚目のと金で追います。

(途中図12より)
 71玉 82歩成 61玉 71と 51玉 52歩 41玉 51歩成 31玉 41と
 21玉 31と 11玉 21と 12玉 11と 13玉 12と 14玉 13と
 15玉 14と 25玉 15と 35玉 25と 45玉 35と 55玉 45と
 65玉 55と 75玉 65と 85玉 75と 94玉 85と 83玉 94と 
 82玉 (82手)

ここで途中図13ですが。ここからの手順が秀逸です。

途中図13

(途中図13より)
 83歩 同馬 81と 92玉 91と 82玉 92と 同飛 93と 同王/51玉 (92手)

 なんと手がかりと思えると金を全て消してしまうんですね。驚きの手順です。この収束が見えないと暗算では分かりませんね。(途中図14)

途中図14

さてここから収束です。

(途中図14から)
 52歩 61玉 51歩成 71玉 61と 81玉 82歩 91玉 81歩成 まで 101手

 全3作の内一番解きにくいと思います。多分何か鍵があるとすれば左上なんですが飛馬の位置を替えてと金を一旦消してしまう手順にたどり着くのはそう容易いことではありません。強引といえば強引なんですが、見つけたときの喜びが一番大きいのは本作かもしれません。

詰上図


 この3つの作品は各々の作品1つ1つも素晴らしいのですが、3つ集まって1つの傑作という気がします。解けなかった人も是非盤に並べてみて下さい。

                        *
橋本孝治
 
「これが2番目に解けました。左辺が駒の入替えパズルみたいで面白いです。駒不足にならないように、結構細かい注意が必要な作。A」 
若林
 「最後まで残った。逆説的に歩が多いほど難しい。解けたときはこれが一番嬉しかった。82を強引にこじ開けるという発想に思い至ったとき感激。A」
もず
 「左右対称を意識した三つ子です。これはfmに見つけてもらった手順でしたが、蛇足だったかもしれません。」
隅の老人B
 「白籏〜右往左往に追っかける。どうしても、手数を101手に短縮出来ない。解答発表が楽しみ。A」
 
長4  神無七郎 作 (登場4回)  アンチキルケばか詰 291手                      



【投稿時のコメント】

 凝るときりがないネタですが、とりあえず良しとしました。

【評価】 

 自力正解者・・・3名
 A・・・5、B・・・0、C・・・0  平均点・・・3.00(1位) 
 お気に入り投票 : 1


【解説(のようなもの)】

 もず作に引き続きと金追いの趣向です。微妙な配置がもずさんと似ているのは、一流の人が考えることは同じということか・・・。まず初形からは詰型が見えてきませんのでとりあえず進めてみることにしましょう。初手は絶対ですね。何故こんな序奏が付いているのでしょうか?まあ気にせずいきましょうか。

 85と 同玉/51玉 52歩 41玉 51歩成 31と 41と 21玉 31と 11玉
 21と 12玉 11と 13玉 12と 14玉 13と 15玉 14と 25玉
 15と 35玉 25と 45玉 35と 55玉 45と 65玉 55と 75玉
 65と 85玉 75と 94玉 85と 93玉 94と 92玉 93と 81玉 
 92と 71玉 81と 62玉/51玉 (44手)

とりあえずと金追いで右1周して62香を消去します。途中いろいろな駒でと金を取る手はありますが、どれもすぐ切れてしまいますのでここまではすんなり行くことでしょう。(途中図1)

途中図1(62香が消えました)

さてここからまた右回転でと金追いします。

(途中図1より)
 52歩 41玉 51歩成 31と 41と 21玉 31と 11玉 21と 12玉
 11と 13玉 12と 14玉 13と 15玉 14と 25玉 15と 35玉
 25と 45玉 35と 55玉 45と 65玉 55と 75玉 65と 85玉
 75と 94玉 85と 93玉 94と 92玉 91と 同玉/51玉 (82手)

 と金で玉を92まで追ってきて、ここで3手段あります。
 1.93と 同金
 2.93と 81玉/51玉
 3.91と 同玉/51玉
 1の手段は同金が61へ復活できないので詰まない感じです。2と3を比較すると玉が51に戻った時点のと金の位置が違うだけ(93か94か)ですが、この違いは93と型は玉が周ってきたときに95まで来て「94と 同玉/51玉」となりますが、94と型は85まで来れば次に94玉/51玉となって手数を短縮できますので3を選択します。(この辺は本当はしっかり読まないといけない) (途中図2)
 
途中図2(81と→94と)
 
 さてここでまた右回転でと金追いします。

(途中図2より)
 52歩 41玉 51歩成 31と 41と 21玉 31と 11玉 21と 12玉
 11と 13玉 12と 14玉 13と 15玉 14と 25玉 15と 35玉
 25と 45玉 35と 55玉 45と 65玉 55と 75玉 65と 85玉
 75と 94玉/51玉 (114手)

 と金で玉を85まで追ってきたら次の一手が問題です。
 1.75と 94玉/51玉
 2.95と 同玉/51玉
 果たして玉が51へ行った時、と金の位置は65がいいのか?75がいいのか?
 この時点では分かりませんので作意どおり1を選択して先に進みます。(途中図3)

途中図3(94と→75と)

さてここでまた右回転でと金追いします。

(途中図3より)
 52歩 41玉 51歩成 31と 41と 21玉 31と 11玉 21と 12玉
 11と 13玉 12と 14玉 13と 15玉 14と 25玉 15と 35玉
 25と 45玉 35と 55玉 65と 同香/91香 (140手)

 と金で玉を55まで追ってきたら、いい手段が見えました。「65と 同香/91香」です。
このために途中図3でと金の位置は75じゃないといけなかったんですね。(納得)
とりあえず玉の回転の邪魔になっていた61香が移動してくれたので先に進めそうです。
(途中図4)

途中図4(61香→91香、75と→35と)

そのまま左にと金追いします。

(途中図4より)
 45と 65玉 55と 75玉 65と 85玉 75と 94玉 85と 93玉
 94と 92玉 93と 81玉 92と 71玉 81と 61玉 (158手)

そのまま今空けた61の地点まで玉を追います。61の地点には何かいいことがあるのでしょうか?(途中図5)

途中図5(72飛→62飛へ)

そうです62には歩が打てるんですね。同飛と取らせることによって72の地点が空きますから73歩が動けるようになります。それに向けてまた右回転です。

(途中図5より)
 62歩 同飛 71と 51玉 61と 41玉 51と 31玉 41と 21玉
 31と 11玉 21と 12玉 11と 13玉 12と 14玉 13と 15玉
 14と 25玉 15と 35玉 25と 45玉 35と 55玉 45と 65玉
 55と 75玉 65と 85玉 75と 94玉 85と 93玉 94と 92玉
 93と 81玉 92と 71玉 (202手)

さてぐるっと回って空いた72の地点からの歩生で攻めを続けます。(途中図6)

途中図6(73歩消去へ)

(途中図6より)
 72歩生 61玉 71歩成 51玉 61と 41玉 51と 31玉 41と 21玉
 31と 11玉 21と 12玉 11と 13玉 12と 14玉 13と 15玉
 14と 25玉 15と 35玉 25と 45玉 35と 55玉 45と 65玉
 55と 75玉 65と 85玉 75と 94玉 (238手)

 2枚目のと金で玉を94まで追います。(途中図7)

途中図7

 このあと93とに対して同金/61金や同香/91香もありますが、共に右回りの追い方になるので手数オーバーになります。ということで同金/51玉から左回りに攻めます。

(途中図7より)
 93と 同玉/51玉 52歩 61玉 51歩成 71玉 61と 72玉 71と 73玉
 72と 同飛右/82飛 (250手)

がよく見ると72〜73の玉の逃げ道が空いているではないですか〜。73歩は邪魔駒だったんですね。(あとから気付く) (途中図8)

途中図8(秘密のルート73へ)

そしてこんな絶好の位置にと金がいる〜。

(途中図8より)
 64と 72玉 63と 71玉 72歩 61玉 71歩成 51玉 61と 41玉(260手)

ここでのポイントはと金を63に持ってくること。今までの手段はそべてこの63と実現の為の手順ということになりますね。つまり収束で51を抑えると金(61と)を置いたまま、もう一つのと金で玉を追おうとすれば52と〜41とが絶対なんですね。(途中図9)

途中図9(いよいよ収束)

では収束です。

(途中図9より)
 52と 31玉 41と 21玉 31と 11玉 21と 12玉 11と 13玉
 12と 14玉 13と 15玉 14と 25玉 15と 35玉 25と 45玉
 35と 55玉 45と 65玉 55と 75玉 65と 85玉 75と 95玉
 85と まで 291手

詰上図

見事ですね。初形と詰上図が見事に呼応しています。あの2手の序奏が付いている意味もよく分かります。
 まさに推理小説のように一つ一つの鍵を解いていくかのような組み立てが見事に表現されています。この機構を利用してもっと長手数の作品も生まれるような気がしてきました。アンチキルケにはまだまだ素晴らしい趣向が眠っていると確信します。

                        *
橋本孝治
 
「評価は厚かましくAにしておきます。」 
若林
 「超手数化のお手本のような作品。駒を動かしてみると意外にロジカル。73歩を世に出すと何が嬉しいかを吟味することで収束が想像できる。A」
北村太路
 「おおー。こちらはなんとなくやってることはわかりました。徐々に駒の位置をずらすのに1周しないといけないんだ。還元玉、初手と最終手が同じ、5二歩に対する途中の破調?の6一玉。むむむー。A」
もず
 「これは傑作ですね。73を経由する手順でこのように限定できるとは思いませんでした。A」
隅の老人B
 「白籏〜いくら考えても、収束図が考え付かない。解答発表が楽しみ。A」
 
長5  神無七郎 作 (登場5回)  アンチキルケばか詰 157手                      



【投稿時のコメント】

 思った以上にうまく仕上がりました。

【評価】 

 自力正解者・・・6名
 A・・・6、B・・・0、C・・・0  平均点・・・3.00(1位) 
 お気に入り投票 : 2


【解説(のようなもの)】

 本作謎解きプラス玉の軌跡で魅せる作品といって良いでしょう。ところどころにある鍵が上手く手順を限定させていてまさに職人芸といった感じです。作者が思った以上にうまく仕上がったというだけある傑作です。
それでは手順を進めていきましょう。

スタートからはと金で玉を追っていきます。取る手は王手が続かなくなりますので玉は逃げる一手です。

87と 67玉 77と 57玉 67と 47玉 57と (7手)
途中図1


最初のポイントはここです。7手目57とに対して同金しかありませんが、問題は41か61どちらに復活するか
?です。でも良く見ると78に金がいますのでが復活先の61を空けていたほうがよさそうです。で金は41に復活します。そして今度は右からと金で追います。

(途中図1より)
37と 57玉 47と 67玉 57と 77玉 67と 87玉 77と (16手)

途中図2

 やっぱり〜先ほど61に復活していれば、にっちもさっちも行かなくなる所でした。こちらの金を61へ復活させて今度は左から金で追います。

(途中図2より)
 同金/61金 97金 77玉 87金 67玉 77金 57玉 67金 47玉 57金
 37玉 
(27手)

途中図3

悩める場面に遭遇してしまいました。27とか?はたまた47金か?玉を作意どおり98へ運ぶことだけを考えれば27との方が実は早いのですが・・・そこには大きな落とし穴が・・・それは後ほど分かるので作意どおり47金と進めていきます。そしてこれを取る銀は成るのか不成か?これも最後にならないと分からないのでとりあえず不成でいきましょうか?間違っていたら最後にひっくり返せばいいですもんね。そしてと金で右から追っていきます。

 47金 同銀生/31銀 27と 47玉 37と 57玉 47と 67玉 57と 77玉
 67と 87玉 77と 97玉 87と
 (42手)

途中図4

 さて第1趣向での悩める場所はこれが最後です。角は成るのか不成か?これも例の作戦で不成で取りますね。まあ、ばか系では不成のほうが可能性は大ですからね。
そあいて金で左に追って、同龍ととらせて(これは悩まなくていい)と金で左に追っていきます。

(途中図4より)
 同角生/22角 96金 87玉 97金 77玉 87金 67玉 77金 57玉 67金
 47玉 57金 37玉 47金 27玉 37金 17玉 27金 同龍/82龍 16と
 27玉 17と 37玉 27と 47玉 37と 57玉 47と 67玉 57と
 77玉 67と 87玉 77と 97玉 87と 98玉
 (79手)

途中図5

ここまでで第1趣向は終了です。玉方の駒がほとんど自陣に戻っていったのですっきりしました。途中43手目から96金 98玉と行く手もありますが18の龍はあとあと邪魔になりそうですので消去しておくのがいいでしょう。でも本当は98玉を追う駒は金ではダメなのが大きな理由なんですね。ここからは持ち歩を上手く使って玉の逃げ道を空けながら追っていきます。

(途中図5より)
99歩 同と/93と 97と 99玉 98と 89玉 99と 78玉 89と 87玉 (89手)

途中図6

まず歩を打ち同歩と取らせて93に戻して玉の逃げ道を作ります。そしてここからと金で玉をくるくる追いかけます。あれ?いつまでもくるくる回って堂々巡りか?おっとここでアンチキルケ特有の手筋がありました。!79と/77と! 
玉方のと金を取り、玉の逃げ道を空けつつ77までワープする一石三鳥の手です。これにより桂の周りを回りながら右へ追っていき(落ちている銀を拾いますます。ここまでが第2趣向です。

(途中図6より)
 79と/77と 97玉 87と 98玉 97と 99玉 98と 89玉 99と 78玉
 79歩 同と/73と 89と 69玉 79と 58玉 69と 67玉 59と/57と 77玉
 67と 78玉 77と 79玉 78と 69玉 79と 58玉 59歩 同と/53と
 69と 49玉 59と 38玉 49と 47玉 39と/37と 57玉 47と 58玉
 57と 59玉 58と 49玉 59と 38玉 39歩 同と/33と 49と 29玉
 39と 18玉 29と 27玉 19と/17と 37玉  
 (146手)

途中図7

持ち駒に銀が手に入りましたので、今度は玉を51に戻らせても大丈夫です。17との場面で同玉/51玉でもいいように思えますし、27とに対して同玉や周りの4枚の駒どれを取っても51へ戻れますよね。ここが最後のチェックポイントです。玉を51に戻して銀と歩の持駒で収束を考えてみると答えが出てきます。ではその手順を見てみましょう!

(途中図7より)
27と 46玉/51玉 62銀 42玉 43歩 32玉 42歩成 21玉 32と 11玉 21と 迄 157手

62銀 42玉に43歩!これを打つためには46歩を消しておく必要があったのです。以下11まで玉を追って行き21とまで。この詰上図を見れば序盤の銀と角の復活が不成でなくてはならなかったことが分かります。参りました。

詰上図

と金(金)で玉を追いつつ、玉方の駒を限定復活させることで収束の舞台づくりを行なうという2つの趣向の裏にもう一つの趣向を凝らしてあったとは・・・傑作!

                        *
橋本孝治
 
「評価は厚かましくAにしておきます。」 
伊達 悠
 「結局は1九の銀を取りに行くのが目的で、まずは八筋の敵駒を全部もとの場所に移動させ、次に1枚のと金と持ち駒に首尾よく入ってくる歩を駆使し、八筋の桂馬の周りを回って、銀を取って1七ととしたところで145手目だったはず。収束は四筋の歩を取らせて5一に戻し、詰め上がりは6二銀と2一とと、その他大勢の仲間たちを自陣に残して、雪隠で詰め上げます。収束で四筋の歩が取られるとは思いませんでした。 評価:A」
若林
 「長い序というか、一つめの趣向というか、8段目をお掃除してさてどうしよう、と思ってからのと金の追い回しによる銀の入手が非常に華麗です。さりげなく46と26の歩のどちらで51に戻るかが限定されているのかも美しい。A」
北村太路
 「・・・・・。なんだ!この魔術は!きつねに化かされたみたいだ。舞台装置をセッティングして、しかも復活した駒で最後の玉復活後のルートまで決まるとは。二歩禁の関係で玉が取る駒は4六歩だし。というか問題図見て、玉が復活するためにとる駒が4六歩だなんて誰も気づかないでしょ。いやいや、七郎さんにとってはこんなものは序の口なのかも。恐ろしすぎる。。。A」
もず
 「左右の往復からと金はがしへ。端正な趣向でした。収束でどう詰ますのか迷いましたが、角銀が生限定のはずというところから4筋の歩を消すことに気付きました。A」
 隅の老人B
 「一見、趣向作。収束図は全く解らない。ひたすら追っかけてみる。11玉での詰上がりは、驚き。感心しました。A」
 
長編の部 総評&解答成績                      
【総評】

橋本孝治
 「お気に入り:長5.神無七郎作(すみません、やっぱり自作は贔屓目で見てしまいます…)」
伊達 悠

 「お気に入り作、長編、5番(というかここもこれしか解けていない)。
100手以上の詰め将棋が解けたのは初めてです(最高の気分!)。今度は普通の詰め将棋が解けるように頑張ります。」
若林
 「お気に入り:長1
長5と非常に迷ったのですが、「解く」という立場では1かなあ、と。「鑑賞」という意味では長5の綺麗さも捨てがたいです。」
北村太路

 「長編:5 これを見るまでは、中篇1が一番気に入ってたんですが。いやー、何度見ても恐ろしい。」
もず
 「お気に入り:長4」

                        *
【解答成績

解答者名 1 2 3 4 5
橋本孝治
伊達 悠
若林
北村太路
もず
隅の老人B
はFM使用解答

解答者数 6名 うち全題自力正解者 2名

全題自力正解者は2名でした。

【お気に入り投票・結果】
今回のお気に入り投票は投票総数・・・・4

順位表
順位 No. 作者名 お気に入り 無解 A B C 平均点
1 5 神無七郎 2 1 6 0 0 3.00
2 4 神無七郎 1 4 5 0 0 3.00
3 1 もず 1 3 3 0 0 3.00
4 3 もず 0 2 3 0 0 3.00
5 2 もず 0 2 2 1 0 2.67
※順位はお気いりポイント順(同点の場合は平均点上位順)

 今回の作品群は順位を付けるのが失礼なほどの内容の濃いものでした。