第1回・どこにも出せない普通詰将棋作品展 第4番

出題:6月1日 たくぼんの解図日記

作者: 隅の老人A  

 命名:風車

【詰手順】

▲5六香  △5五香  ▲同 香  △同 飛  ▲6三馬 △6五玉  ▲6四馬 △同 玉  
▲5五角  △5四玉  ▲4四飛  △6五玉  ▲6四飛 △5六玉  ▲5九香  △5八香
▲同 香  △同 金  ▲6六飛  △4五玉  ▲4六香 △同 桂  ▲同 飛 △5四玉  
▲4四飛  △6五玉  ▲6四飛  △5六玉  ▲6六飛 △4五玉  ▲3七桂  △同 と
▲4六飛  △5四玉  ▲4四飛  △6五玉  ▲6四飛 △5六玉  ▲1六飛 △2六桂  
▲同 飛  △同 歩  ▲6六飛  △4五玉  ▲5七桂 △同 金  ▲4六飛  △5四玉
▲4四飛  △6五玉  ▲6四飛  △5六玉  ▲5七銀 △同 玉  ▲6八金 △5六玉  
▲6六飛  △4五玉  ▲4六飛  △5四玉  ▲4四飛 △6五玉  ▲7四銀  △同 銀
▲6四飛  △5六玉  ▲6六飛  △4五玉  ▲4六飛 △5四玉  ▲4三飛成△6五玉  
▲7六金  △同 玉  ▲4六龍  △6五玉  ▲6六龍 △4五玉  ▲3六金  △同 玉
▲3四龍  △4七玉  ▲3七龍  △5六玉  ▲4六龍 △6五玉  ▲6六龍  △5四玉
▲6四龍  △4五玉  ▲4四龍  △3六玉  ▲4六龍 △2七玉  ▲3七龍  △1八玉
▲1九歩  △同 玉  ▲1七龍まで 101手詰

作者の言葉(投稿時)

題して「風車」、出せない理由は「昭和29年風くるま1月号」発表の改作。
原図は「風みどりの玉手箱」いろはカルタ 回転追 に展示中ですが、この「風車」が
貴HPに載ったとして、解説時には原図も並記して頂けると嬉しいです。
詰将棋も50年以上昔の作品は古色を隠せず、原図は私の自信作とは言え、今見ると
古き時代を感じざるを得ない。
改作図は原図を今風にアレンジして、終盤の疵を消し、手数も自作の「風ぐるまU」の
101手詰に揃え、密かに納得している。
唯、この改作図は詰棋界に残すことが目的ではなく、せめて今回の企画に参加せねば、の思いです。


原作: 小川悦勇作 (風ぐるま1954年1月)

【詰手順】

▲5五角 △6五玉 ▲5六金 △5四玉 ▲4五金 △同 玉
▲4六飛 △5四玉 ▲4四飛 △6五玉 ▲6四飛 △5六玉
▲6六飛 △4五玉 ▲3四銀 △同 桂 ▲4六香 △同 桂
▲同 飛 △5四玉 ▲4四飛 △6五玉 ▲6四飛 △5六玉
▲6六飛 △4五玉 ▲3七桂 △同 と ▲4六飛 △5四玉
▲4四飛 △6五玉 ▲6四飛 △5六玉 ▲1六飛 △同 香
▲6六飛 △4五玉 ▲5七桂 △同 金 ▲4六飛 △5四玉
▲4四飛 △6五玉 ▲6四飛 △5六玉 ▲5七銀 △同 玉
▲6八金 △5六玉 ▲6六飛 △4五玉 ▲4六飛 △5四玉
▲4四飛 △6五玉 ▲7四銀 △同 銀 ▲6四飛 △5六玉
▲6六飛 △4五玉 ▲4六飛 △5四玉 ▲4三飛成 △6五玉
▲7六金 △同 玉 ▲4六龍 △6五玉 ▲6六龍 △5四玉
▲6四龍 △4五玉 ▲3六金 △同 玉 ▲3四龍 △4七玉
▲3七龍 △5六玉 ▲4六龍 △6五玉 ▲6六龍 △5四玉
▲6四龍 △4五玉 ▲4四龍 △3六玉 ▲4六龍 △2七玉
▲3七龍 △1八玉 ▲1九歩 △同 と▲2八龍 まで95手

★原作には91手目3七龍のところ4七龍でも詰むというキズがあった。
 今回の修正図ではそのキズを消し、全体的に現代風にアレンジされている。
 序も香合から入り、回転途中でも香合が入り、1六飛も直接の駒取りではなくなり
 桂合させての駒取りとなっている。知恵の輪の要素も楽しめる。
 駒配置もかなり洗練されたように感じられます。
 とはいえ手順は凄くノスタルジックな感じでありじつに楽しく解けるのではないだろうか。
 題名もまさにピッタリで盤面で回る「風車(かざぐるまと読みたいですね)」が目に浮かんできます。
 
 中原さんがスランプの時に、感動した言葉「かざぐるま 風が吹くまで 昼寝かな」
 私もときどきこの言葉を、思い出すことがあります。
 ただしスランプというのは良い時があった人が言うことだそうで、私の場合はそれが実力と言われます。
 話が逸れました。

 初手は香打から香を奪い、6三〜6四馬と捨ていよいよ飛追いによる回転に入ります。
 5九香と打ち金を5八に移動させます。次に4六香からの駒交換で桂を手に入れます。
 取った桂を3七に打ち2六とを移動させます。と金が移動したので1六飛と出て2六桂で
 再び桂を入手します。次に5七桂と打ち同金とさせ銀で取れる形にします。
 次に5七銀と金を奪い、6八金と打ちます。6八金で6七の地点に逃げられなくなったので
 7四銀が可能になりました。同銀と取らせて7六への利きがなくなったので、7六金と出られます。
 ただしこの前に4三飛成と成っておくのがポイントです。
 7六金を同玉と取って4六龍と引きここから逆周りです。そして次の3六金が素晴らしい攻手。
 同とは3四龍!以下早いので同玉ですが、同じく3四龍から廻って収束へいきます。
 最後は1九地点での両王手で詰め上げます。文句なしの構成です。

 それにしても原作は私が生まれる6年も前の発表。そしてこの内容ですから驚きですね。
 そして再び蘇ったのは53年後の今年。きっとこの詰将棋君も驚いていることでしょう。
 そして解答者は絶賛の嵐。まさに蘇った傑作。



短評

加賀孝志
風車とはピッタリ目が廻る。なかなかの力作です。駒交換が面白い。
 駒交換も味があるように写ります
隅の老人B
これも、ある日のメ−ル。
Aさん、
前日の「原石」では軽すぎるかな?
もう一題投稿しよう、題名は何にしよう? 考えてください。
「風くるま 昔と今」 は変だ、昔は無い、強いて言うなら「現代版 風くるま」だろう。
「どこにも出せない詰将棋」の追加1作(風くるま)は題名が決まったら送ります。
「現代版 風ぐるま」は変かしら?
Bの返メ−ル
私なら、たんに「風ぐるま」、いろいろと考えました。
 例えば、「風に乗って」、「若き日の感傷」、「世に連れて」等々。
 私がAさんの立場なら、どんな文章を書くのかな。
 この題名を3題噺?で書いてみる、作品の手順解説、これは書きませんね。
 世に連れて、千の風、風車は巡る。されど、誰か思う若き日の感傷、風車の心を。
 すこし、大袈裟かな。
 そう言えば、石黒先生の3題噺は立ち枯れですか?楽しみにしていたのに。
決まった題名は、「風車」です。
「創った、出来た」、即、投稿。これは良くないよ。
暫くは手元に置いて、推敲しましょう。更に良くなる可能性は大。
発表してから修正しても、今度は誰も見てくれません。
そこで、泣き泣き、この作品展に出す羽目になる。
おまけ、西脇順三郎氏の詩の冒頭。

旅人は待てよ このかすかな泉に 舌を濡らす前に 考えよ人生の旅人。

 私は泉に舌を濡らしてから人生を考える
DISABLED
とても美しい構成だと思います。途中で駒が足りないと気付くことが出来たら初手が浮かんだのでしょうが、55香に固執してしまい、断念しました。
 並べて鑑賞するだけでもいい作品はいいですね。
利波偉
作者が代表作の一つと言うだけあって傑作。先日の詰工房でもこの作品は解かないと損をすると宣伝しておきました。
序盤と収束を作りなおしたこのリニューアル作品は、全く古さを感じさせない名作で、良い作品は色褪せないものだと解らせてもらえた。今パラで出題されても文句無く半期賞は取ると思う。この名作がこういう形で詰将棋界に残せただけでも、今回の企画は大成功であったと言っても過言では無い。
詰将棋を解いて良かったと思ったのは何時以来だろうか?逆にパラにはこういう作品が載らなくなったということの裏返しなんでしょうね。
 私も同感です。デパートでもっとこんな作品を載せて欲しいと思います。詰工房での宣伝活動今後もよろしくお願いします。
小峰耕希
無解です。
おかもと
これは楽しい。ちょっと古さを感じさせるところもあるけど、この作品に関してはそれがマイナスにはなっていないと思います。収束の両王手も光る。
 収束が本当に上手いですよね。これ。
KUMA
(コンピュータに解いてもらったので略させてもらいます)  詰工房で利波さんが絶賛していたので、解こうとあがいてみました・・・、途中で挫折しましたが。ぱっと見、馬知恵の輪かと思ったら飛車知恵の輪でしたね。一番単純な形の飛車の回転追いなのに100手を超えるとはすごいです。知恵の輪の鍵と構図がとてもうまく組まれていますねぇ。
 利波効果がこの辺で利いてますね。どうもです
風みどり
原作を知っているので、簡単でした(特に中盤以降ちゃんと検証していませんが101手になったので…)が、改めて中心部分の論理の緻密さに感動しました。6七金の動きもよくなり傑作がさらに磨き上げられましたね。
風ぐるまと風みどり。う〜んなんだか良いコントラスト感。原作は風みどりさんのホームページからkifファイルを頂いております。ありがとうございます。
冬眠蛙
個々のキーの意味づけの明確さがモロに好みです。浪漫の香り漂う傑作です。
 最近浪漫派と言われる作家っていないですよね。時代が違うのでしょうか?