第1回・どこにも出せない普通詰将棋作品展 第7番

出題:6月1日 たくぼんの解図日記

作者: 斎藤夏雄  

a:

【詰手順】

▲3六飛  △1五玉  ▲2四銀  △1四玉  ▲1三銀成△2五玉  ▲3五馬 △1五玉  
▲2四馬  △同 龍  ▲同 角  △2五玉  ▲3五飛打△2四玉  ▲3三飛成 △1五玉
▲1四成銀△同 玉  ▲3四飛  △1五玉  ▲2四龍 まで 21手詰

b:

【詰手順】

▲2五飛  △同 玉  ▲3五馬  △1五玉  ▲2四銀 △同 龍  ▲同 馬 △2六玉  
▲2五飛  △3六玉  ▲4六馬  △2五玉  ▲3五馬 △1五玉  ▲2四銀  △1四玉
▲1三銀成△1五玉  ▲1四成銀 △同 玉  ▲2四馬 まで 21手詰

作者の言葉(投稿時)

どうしようか迷っていましたが、昔創ったツイン作を「どこにも出せない普通詰将棋」に投稿しておこうと思います。
それぞれの作品は、詰将棋としてはこれ以上はないという絶連で手順的には全く見るべきものはありません。あくまで2作セットです。詰め上がりに一応ある種の対照を持たせたつもりですが、果たして見る人がそう感じてくれるかどうか。ともあれこのまま捨てるのも何なので、お送りしておきます。よろしくお願いします。


★この作品展を開催するにあたり、私の頭にあったのが実はこのツイン作でした。
 かつて詰備会で見せていただいた時に、余りに見事な対比にずっとどこかに発表できる場はないだろうか?
 と思っておりました。今回ひょんな所から開催しました本作品展に作者から投稿された時には、
 とても嬉しく思いました。natsuoさんありがとう。

 手順は、1つ1つ見れば多分普通の手順です。
 しかしa題の図に玉方35銀を置いただけでどうしてこのような対比された手順が生まれるのか。
 私には不思議でしょうがありません。
 過去山田康平さんのツインの作品展があったと思うのですが、現時点でのツインの最高傑作ではないか。
 ちょっと褒めすぎと言う気もしますが、私はそう思っています。

 詰上り図を並べてみます。

 a図                        b図
   

 a図は飛・龍、と、玉 b図は角、馬、と、玉。この2図を並べるだけで素晴らしいと感じることでしょう。
 惜しむらくは、a図の1五歩が不要との点ですが、どこにも出せない普通詰将棋作品展では不問です。(笑)
 
 あっそうそう詰四会の課題作よろしくお願いしますよ。



短評

加賀孝志
似た手順。一寸線が弱いがエスカレーター的手順
 「似た」というより「似せた」かな
遊星人
巧みなピアノ演奏で人を惹きつける名探偵、「すみのろうじん」がnatsuoさんのイメージにピタリだと思う。
 さて、このツインの作品はa,bを切り離して鑑賞する事が出来ない。aの15歩が不要?な事からして、外観上は2つ違いの兄弟なのに、切り離せない内面的理由が有る。その1つは詰上がり、竜馬相対の面白さ。作者が強調したいツイン性はこれだ。あと1つは手数の同一。簡素な初形にセンスの良さを見せつけるが、手順は今一で作者もこれには弱ってしまい、この企画に便乗と相成った。
 natsuoさんの気持ちが良く分かるし、企画に一番適した投稿でしょう。
 心を全て見透かされているような評ですね(笑)
隅の老人B
さすが、看寿賞作家は矜持が高い。将世の年間最優秀賞も絡んでいる。私なら、パラのデパ−トへ1題、近将あたりに1題と投稿。1題でも掲載されたら、眺めてニヤニヤ。2題なら跳び上がる。そして、解説時の皆の感想(好評期待で)を、今か今かと待つでしょう。勲章があると、こうは行かない、名誉税と諦めましょうね。
 分けて出しては・・・とは私には思いもつかないこと。単独では意味がないと作者は思っています。
DISABLED
先にbを解くべきでした。してやられたという感じです。どちらも綺麗な手順で、作者の頭脳が羨ましい。
 人間は必ずaから解きます。間違いない。
利波偉
A題は初手23飛の紛れがあり、変化も難しくて解くのが大変でした。詰上がり飛龍で21手
B題:こちらは一本道で簡単でした。詰上がり角馬で21手
第7番総評 こういうツインがあるのですね。全く素晴らしいです。対比が何れも21手で、飛龍の龍と角馬の馬で詰ますところまで、ツインにするとは並々ならぬ力量を感じさせます。昔は姉妹作というコーナーがありましたが、単発でもいいから、そういうコーナーが欲しいですね。こういう作品が今のまま日の目を見ないようでは、いつまで経っても詰将棋は、チェスプロブレムのアイデアに追いつけないような気がします。
 チェスプロブレムの良い点を少しでも詰将棋に取り入れていければと感じます。今、チェスプロブレム勉強中です。しばらく(いや当分か)お待ち下さい
小峰耕希
絶連? どこが! (僕の解図力が究極的に駄目なだけかも…)
 解図は根性だ!
おかもと
a:解けず。コン君の解答を見る限りでは15歩は不要のようですが。
b:なるほど、aと合わせ技で一本、というのに納得、です。
 15歩不要は2名の方からご指摘がありました。よく見ていただいています。
KUMA
(解答発表を楽しみに、コンピュータでは解かせてません)
 お〜っ何といっていいか。感想教えてね
風みどり
手数も揃っていて、詰め上がりは見事な対称。手順はちょっと似た感じ(仕方ないのでしょうが)なので作者は不満でしょうが、ツインの歴史に残しておくべき作品でしょう。
 似た感じのほうが味がある気がしますがどうでしょうか?
冬眠蛙
おぉー、これは完璧なツインですねえ。大駒の対比が美しいです。前者の方が少し泥臭い手順で苦労しました。
 aが苦戦と言う方が多いようでした。答えを聞いた私はちょっと分からないなあ。