第7回・PWCばか詰作品展

  PWCルール説明&解答要項                    
さて第7回作品展の解答発表です。解答者数は6名と前回と同じ数ですが、太郎さんは1作のみの解答ですので実質減っている感じでしょうか。
創作側に対して解答者が付いて来れないといった気がします。難解なものばかりではなく簡単な3手・5手といった作品も必要かもしれませんね。

それでは参りましょう。

【PWCばか詰ルール説明】

1.取られた駒は(2.の例外を除き)取った駒が元あった場所に復元する。
2.二歩及び行き所の無い駒の禁に触れる場合は、復元せずに持駒になる
3.成駒は成ったままで復元する
4.成れる位置に復元した場合、成不成の選択は行えない

(2005年9月5日に掲示板でクロ氏が提案されたルール設定に準じています)

・表記法は駒を取った場合・・・○○駒(駒取り)/●●駒(←取られた駒の復元)とします。

簡単な参考として”たくぼんの解図日記”の2005年11月25〜27日付け:「PWCばか詰めについて考える」をご覧下さい

【解答要項】

開催日 :   2006年8月13日(日)
解答締切 :  2006年9月10日(日)
解答発表 :  2006年9月15日(金)

【注意】

スペースの関係で敬称は略させていただいております。ご了承下さい。
なおこの出題は「正式発表」扱いとしFairy Top\の対象です。


今回もPDF版を作成しております。ご利用下さい。
第7回PWCばか詰作品展PDF版問題編
第7回PWCばか詰作品展PDF版解説編(準備中)

【第9回PWCばか詰作品展・作品募集】

第9回PWCばか詰作品展の作品を募集します。

次回開催予定 : 10月15日 (投稿締切:10月10日)
※ 但し投稿数によっては開催が延期となる場合もありますが、 その判断は10月10日に決定します。ご了承下さい。

条件: 特に設けません。持駒制限OK・打歩OKです。手数も無制限です。
FM使用環境に無い方の検討はこちらで致しますのでその旨記入下さい。
投稿先は解答メールアドレスと同じです。
PWC1  北村太路 作 (登場14回)                        

【詰手順】 

  19香 18香 同香 16桂 同香 同玉/15香 18香 17香
  同香/18香 同玉/16香 29桂 迄 11手詰
 

【作者コメント(投稿時)】

 普通。

【解説(のようなもの)】

 初手は香打しかありませんし、取れる駒は桂と香のみと分かっています。
しかし、香を打つ位置や桂と香の合駒の位置やタイミングなど考えどころはたくさんあります。簡単ながらもパズルチックで楽しめる作品です。中でも7手目の18香が最終手玉の逃げ道を塞ぐ限定打になっているのがPWCらしい光る一手です。
こういう作品が新しいファンをどんどん作ってくれることでしょう。

                        *

若林
 「香打ちを2回繰り返すことで面白みが生まれている。18香の感触がいかにも将棋版PWC。」
 18香の限定打がPWCらしいですね。(奥深いですけど)
橋本孝治
 「香合・桂合の時期と場所を問うパズル。詰上りが分かっているのに考えさせられるミニ知恵の輪ですね。」
 こういった作品がもっと出て欲しいですね
北村太路
 「位置も駒種も限定で、というのを作るのは普段意味づけを考えるのに苦労しているのですが、これはいろいろ考えていたら偶然できました。結構気に入っています。」
隅の老人B
 「PWCならでは合駒。習うより馴れろ、でした。」
小峰耕希
 「(fm使用)初っ端から解けませんでした。でも結果論としては、一番単純な事に気付かなかっただけのような……。てっきり2筋に受方の駒を発生させて、飛で取る(そうすれば王手放置にならない)展開かと思ってました。」
 かなり難しく考えてしまったようですね
PWC2  もず 作 (登場3回)                        

【ルール注意】最後必ず打歩で詰ませて下さい。

【詰手順】 

 17香 16歩 同香/17歩 15飛 55角 同飛/15角 44角 33歩
 同角右成 21玉 22歩   迄 11手詰
 

【作者コメント(投稿時)】

 4手目から6手目のコンビネーションをやってみようと苦労していました。打歩ルールの上に九段目を封印するという苦しい配置ですが、PWCは余詰みやすくてこのくらいしないと実現できませんでした。

【解説(のようなもの)】

 88歩の存在で、歩の入手方法は2歩禁がらみでということは分かる。しかし、その入手方法を見つけるのはかなり難しかったようだ。とりあえず1筋に玉方の歩を発生させる所までは考え付くがそこからの手順が秀逸です。飛合からその飛車に55角を取らせて角を15に運ぶ。あとは33に歩合させて15角に取らせれば見事歩を入手することができました。言うのは簡単ですが、この構想を見破るのは簡単ではありません。打歩物で歩の入手の謎を解くというのは私も好きなパターンです。PWCではもっともっと面白い構想がありそうですね。

                        *

若林
 「もず氏としては易しい部類に入るけれど、大駒の操り方はいつもながら華麗。」
 易しくはないような気がします。橋本さんでも下のコメントですから
橋本孝治
 「想定外の飛合出現に驚愕。私の場合、角を59に持って来れないかと考えてこの手を思いつきましたが、59角の紛れのない構図だったら、果たして答えにたどり着けたかどうか…。卓抜な構想で、今までの短編PWCばか詰で最高峰に位置する作だと思います。」
 大絶賛です。!解く時に苦しめば苦しむほど解けたときの感激はおおきいいですからね
北村太路
 「まったく手が浮かびませんでした。1手1手含みのある手です。将来のための準備の手を考えるのが苦手なのでこういう手順が全然思いつかないです。(fm使用)」
隅の老人B
 「打歩詰?、歩の入手が難しい。飛合の発見に跳び上がる。」
小峰耕希
 「(fm使用)これも駄目でした。作者は前回より簡単とか仰ってましたが、fmも長考していたし、絶対に嘘ですね。どうもPWCで華麗な構想というのがなかなか思い付かなくて、過去に1作しか作っていない(それも遂に発表してしまいました)のですが、う〜ん、本局の構想は素晴らしい。」
 作者が簡単って言ってたのか???嘘はいけませんな!(あれ?どこかで聞いたフレーズ)
PWC3  伊達 悠 作 (登場5回)                        

【ルール注意】最後必ず打歩で詰ませて下さい。

【詰手順】 

 59香 52香 同香生 42玉 49香 43香 同香成 31玉 39香 32歩
 同香生 41玉 42歩  迄 13手詰
 

【作者コメント(投稿時)】

 香打香合を繰り返そうと思って、その意味付けを両側の飛車に託しました。

【解説(のようなもの)】

 太郎さんが本作だけ解答をされたというだけで素晴らしさがわかります。
初形+3最遠打+詰上りミニ十字と何も言うことはありません。
打歩のスペシャリストらしい1作です。本当に美しい。

                        *

若林
 「発見賞。香打ち香合いを3回に増やして、4回目に歩(桂)合にできたら楽しそう。」
 実現度は不明です
太郎@神無一族
 「完璧です。欲しいくらいです。」
 伊達君、高く売れそうですよ。いくらにします?
橋本孝治
 「遠打3発で美しい十字が出現。PWCルールにデフォルトで備わっていたかのような自然美を持った作。」
 あ〜私もこんなの創ってみたい〜(キャラは違うが・・・)
北村太路
 「これはいいですねぇ。盤面もいいし、手順も4三香成がいい。コロンブスの卵的な作。」
隅の老人B
 「合駒の位置の変わる処が良い。易しく解けて、ここで小休止。」
小峰耕希

 「(fm使用)またまた無解。何でPWCの短・中編ってこんなに詰まないのでしょう。それもfmを動かしてみるとごく単純な内容だったりするし…。」
PWC4  北村太路 作 (登場15回)                       

【詰手順】 

 81桂成/73銀 72玉 71圭 83玉 73桂成/85銀 93玉
 85桂/77銀 94玉 93桂成 85玉 77桂/69銀 84玉 94圭  迄 13手詰
 

【作者コメント(投稿時)】

 改作。手抜き工事も甚だしい

【解説(のようなもの)】

 第5回の2番作品「香の3段跳ね」の改作で、その時の橋本さんの宿題が「今度は桂香歩以外を使った4段跳を希望」でした。作者はすぐに銀の4段跳ねに改作され宿題提出です。狙いが分かれば解くのは簡単ですが、作図は余詰防止が大変でしょうね。ともかく打てば響く(いや響きすぎ)作者に感謝です。

                        *

若林
 「本当に実現してしまうのだから凄い。北村氏の充実ぶりを示す短編。」
橋本孝治
 「ついに念願の4段跳達成。攻方が桂の着手のみ、受方が玉の着手のみで統一されているので、手順もスッキリ。」
 宿題を出した人も納得しています。
北村太路
 「前の結果稿を眺めていたら、"ん?"。ちょっとさわったら、やっぱり四段跳ねれてました。どうしようかと思いましたが、四段跳ねれるという報告と言うことで送っちゃいました。前回のと差し替えという感じでお願いします。前回送る前に気づけよ、って話でしたね。失敗、失敗。」
隅の老人B
 「作者は銀を跳ばせて、大満足。解者は成る程、さてと?。」
 意味深だ!
小峰耕希
 「ようやく解けた…。この筋が銀で、香の時より駒数が少なくて実現出来るんですね。もっとも次は最下段の銀をもう1回活用してくれとか、更に注文が付きそうな気もしますが。因みに僕は作家の立場としては記録作に興味が無いので傍観します。解答者としては少し楽しみ。」
 好きな事言ってますね。しかしまた実現したりして・・・
PWC5  伊達 悠 作 (登場6回)                        

【ルール注意】最後必ず打歩で詰ませて下さい。

【詰手順】 

 19角 46香 同角 44玉 35角 33玉 24角 22玉 13角成 21玉
 29香 22歩 同香生 11玉 12歩  迄 15手詰
 

【作者コメント(投稿時)】

 一つ目の作品を今度は角で表現しようと思って作りました。○合の限定打ができたの
はラッキーです。

【解説(のようなもの)】

 とにかく打歩に拘る伊達君の飛角図式(1枚は持駒ですが)。19角は当然ですが、2手目歩合はまだ早い。角(馬)と歩だけでは無理ですからもう一枚必要と考えれば香合は見えてきます。端に追い込むと気付けば2手目46香ですね。その後角と玉の鬼ごっこで端に追い込んで香の最遠打で歩を入手して収束です。作者はいままで華麗な合駒物を発表されているだけに端に追い込む収束は解答者にはいまいち物足りなく映ったようです。

                        *

若林
 「隅に押し込む収束ならもう一声欲しいです。」
橋本孝治
 「最初の香合の位置に迷いますが、その後は一本道。詰上りに意外性が欲しい。」
北村太路
 「えー?ただ隅に追い込んで詰ましちゃうの?ちょっと不満だなぁ。PWC6の飾り?(fm使用)」
 みんな収束に不満を感じてますね。それだけTOP\受賞者ということで期待されているということです。
隅の老人B
 「どうしても、先に歩合を考える。これからは着想を変えましょう。
 最近はいきなり歩合は少なくなってきている気がします
小峰耕希
 「(fm使用)はっきり言って追い手順(無解の割に強気)。多分作者も本作自体の価値というよりは、Eとの対比を意識しているのでは? と思う。」
PWC6  伊達 悠 作 (登場7回)                        

【ルール注意】最後必ず打歩で詰ませて下さい。

【詰手順】 

 29角 38歩 同角 47桂 同角 45玉 56角 35玉 27桂 24玉
 23角成 同飛/53馬 35馬 14玉 15歩  迄 15手詰
 

【作者コメント(投稿時)】

 二つ目の作品で5八馬を抜かすと、二つ目の解以外にもう二つ余詰が出てきました。それがこの三つ目の筋で、途中でちゃんと交換が入っていることがPWCらしくてよいと思いました。

【解説(のようなもの)】

 5番の作品の余詰筋を作品化したのが本作とのこと。詰上りが普通ですが、23角成 同飛/53馬の2手が入ってやや締まったという感じでしょうか?ただ構想物ではないだけに普通の中編といった作品。解答者の反応も微妙なものが多かったようです。作品は中盤はばらっとした中での手を探す作業なので難しいと思います。

                        *

若林
 「飛と馬のexchangeは悪くないのだけれど、2番と比べてしまうと辛いところ。序の角による歩桂(香桂)入手も既成手順なので、印象が弱まってしまう。」
橋本孝治
 「こちらは飛との位置交換を絡めて、うまく詰上りをカモフラージュしています。17手の紛れが多いこともあって、やや難解。」
 手が広い局面が続きます。
北村太路
 「PWC5より少しまし、という感じかな。あまり冴えない感じ。(fm使用)」
隅の老人B
 「局面が広くて、応手に悩む。桂合、23角成、見つけて嬉しくなりました。」
 23角成は好評でした。
小峰耕希
 「(fm使用)こちらは初形から予想される通り、歩桂合の筋ですね。受方飛の活用がポイント? でもAもず作には及ばない。」
PWC7  北村太路 作 (登場16回)                        

【ルール注意】最後必ず打歩で詰ませて下さい。

【詰手順】 

 33馬 21玉 43馬 32桂 同馬/43桂 12玉 21馬 23玉
 32馬 24玉 42馬 33歩 同馬/42歩 25玉 43馬/33桂 34歩
 同馬 14玉 25馬 同桂/33馬 15歩  迄 21手詰
 

【作者コメント(投稿時)】

 打歩です。発見なので少し難しいかも

【解説(のようなもの)】

 実は似たような作品を私も創っており(発見?)本作を見た時やられた〜と思いました。(北村作に比べると粗悪です)第8回から泣く泣く削除しました。

PWC打歩ばか詰 19手

私もこれを創った時、難しすぎるかな?と思いましたが、同じですね。
歩合をしたい所へ桂合ですから解答者には悩ましい。25を桂で塞ぐとはなかなか気付きません。その桂の軌跡も32→43→33→25ですからねえ。この初形からこの手順ですから傑作といっていいでしょう。

                        *

若林
 「手がかりが少ないちょっと手をつけるのに躊躇する問題。馬歩歩で詰ませるのか、受方に壁駒を発生させるのか。実際には"馬は不同である"と決め付けると盤面の広さほどは読まずにすみました。4手目歩合を諦めるまでに時間を相当使わされましたが。正解の桂合が最後に生きる収束がお見事。」
 4手目歩合の紛れが強烈でした。
橋本孝治
 「一刻も早く歩合をしたいところで桂合とは恐ろしい手があったもの。こんな自然な形でこんなトリックが成立するとは驚きです。解図には苦労させられましたが、その分感激もひとしおです。」
 これを解いてくるビック3にも驚きです。
北村太路
 「完全に発見もの。4手目桂合とか自分では絶対解けません。難しいと思ったので、送ってみました。しかし解答者の皆さんはこんなのも解いちゃうんだろうなぁ。詰め上がり形がわかれば、解ける可能性はあるかもしれない。」
隅の老人B
 「2歩禁で歩を入手は第一感だが、その道のりは長かった。何日かかって、32桂合にたどり着いたやら。」
小峰耕希
 「(fm使用)相当考えたんですけどね〜。4手目歩合は。それで23手解を散々読みましたよ。う〜む、これはまさかの桂合でした。お見事。」
PWC8  北村太路 作 (登場17回)  PWCばか詰 29手                      

【詰手順】 

 18歩 27玉 28歩 37玉 38歩 47玉 48歩 57玉
 58歩 67玉 68歩 78玉 98飛 68玉/78歩 77歩 58玉/68歩
 67歩 48玉/58歩 57歩 38玉/48歩 47歩 28玉/38歩
 37歩 18玉/28歩 27歩 28角生 同飛/98角 19玉 18飛  迄 29手詰
 

【作者コメント(投稿時)】

 改作。形はよくなったが

【解説(のようなもの)】

 第3回8番の改作でしょうか。前の作は橋本さんから配置をダメだしされていましたね(笑)今回はさすがに貧乏+成駒なしですっきりとした配置でリニューアルされています。収束も角の不成のワンポイントも入って無駄無く完成品として仕上がっています。

                        *

若林
 「打って変わって楽しい軽趣向。迷わず歩を連打して押し戻して一件落着。非常に気持ちの良い中編。」
橋本孝治
 「玉が敵中突破を図って単騎突進。これはいつぞやの作品のブラッシュアップ版ですね。えらくまあ都会的になって!」
 橋本さんのコメント?に発奮されたようです。↓
北村太路
 「これは最初別なものを作っていて、途中で歩の趣向がでてきて、"ああまた出てきたなぁ"と思って、形を整えているうちに回数が増えてきて、形も整ってきて、結局最後は歩送りのほうでまとめてしまいました。最初はもっと中段でやっていたので、手順が非限定でだんだん下に落としていったら非限定を消すことができました。前回のを作ったときに、壁の汚さをさんざん叩かれて、余詰を消すにはしょうがないじゃないか、とむくれていたのですが、1段上にしただけで形がすっきりしました。あらら。前回は1段上げようなんて考えもしませんでした。今回は中段から下りてきたのが結果的によかったようです。もしかしたら、みんなこの図の事を知っていてそれで、壁が汚い、もっと綺麗にしろ、と言っていたのかもしれないなぁ。金合いはなくなりましたが、こっちと差し替えたい感じですね。」
隅の老人B
 「易しいが、楽しい一往復。こんな作品が大好き。」
 私も大好きです。
小峰耕希
 「@〜Fで6局無解と酷い成績でしたが、ここから先はもう大丈夫!残り5局の内4局解けてます♪ (←長手数物になると急に元気が出る)さて本局、趣向が楽しく、そして収束の角不成が巧い。」
 長いのなら解けるというのは分かるような分からないような??
PWC9  北村太路 作 (登場18回)                       

【詰手順】 

 29角 27玉 18角 38玉/27香 29角 49玉 48角 58玉
 49角 69玉 58角 78玉 69角 89玉 78角 98玉
 89角 87玉 98角 78玉 89角 69玉 78角 58玉
 69角 49玉 58角 38玉 49角 27玉/38香 37香 18玉
 27角 29玉 18角 38玉 29角 49玉 38角 58玉
 49角 69玉 58角 78玉 69角 89玉 78角 98玉
 89角 87玉 78角 96玉/87香 84香 85玉 96角 76玉
 85角 65玉 76角 56玉 65角 45玉 56角  迄 63手詰
 

【作者コメント(投稿時)】

 少しだけ気に入っています

【解説(のようなもの)】

 個人的に大好きな作品です。実に楽しい作品です。角追いで玉と鬼ごっこですが、ところどころに鍵が隠されておりそれを考えるのが楽しいですね。
 まずは左に追って行く手を阻む87の歩を消去します。その後は一度右に戻らざるをえませんので戻り再びUターンですが、31手目に香をどこまで開くかのポイントがあります。ここは1目上がりが正解です。詰上りを見れば納得できます。
 再び左に追い、53手目の場面で再び香の開く場所ポイントが出てきます。今度は一番遠い84が正解です。85,86では手が続かなくなるんですね。最後は見事にホールインワンという感じの詰上がりです。難しくない所が成功しているといっていいでしょう。

                        *

若林
 「これも軽い長編。非常にシンプルなのだけれど、香の位置補正のための折り返しが入ってちょっと嬉しい。どれが易しい、くらいの誘導はあっても良い気がしてくる易しく楽しい一作。」
 難易度☆☆とか次回から書きましょうか??
橋本孝治
 「最初は"鍵"がよく見えないので警戒しましたが、実際には香の空き王手の対比を中心に軽くまとめてあって、気持ちよく解くことができました。"角追い"をPWCに絡めると、とんでもない難解作もできるかもしれませんね。」
 だんだん解いてくれる人が少なくなってきています。そこが問題です。
北村太路
 「うまいことまとまってくれてよかったです。香が1つ進むのと、行き止まりまで走るのと対になっているのも気に入っています。」
 いいコントラストでした
隅の老人B
 「解ければ、玉と角の楽しいランデブー。でも、訳も分からずに追っかけるのは辛かった。
小峰耕希
 「香を1段上げるだけなのに、かなり苦労しました。この謎解きは良いですね。しかしよくもまあ角の軌道と香の空き王手の仕方を完全限定しました。」
PWC10  神無七郎 作 (登場4回)                        

【詰手順】 

 68銀 48玉 59銀 39玉 48銀 28玉 39銀 37玉/28香
 38銀/39角 48玉 37銀 59玉 48銀 68玉 59銀 79玉
 68銀 88玉 79銀 77玉/88桂 78銀/79角 68玉 77銀 59玉
 68銀 48玉 59銀 37玉 48銀 同角成/39銀 38銀 同龍/49銀
 48銀/49馬 28玉/37香 39銀 37玉/28香 38銀/39龍 48玉
 37銀 59玉 48銀 68玉 59銀 77玉 68銀 78玉
 79銀/68角 89玉 78銀 88玉/89桂 77銀 同角成/68銀
 79銀 89玉/88桂 78銀 88玉/89桂 77銀/78馬 79玉 88銀 68玉
 79銀 同馬/78銀 69銀/78龍 59玉 68銀 48玉 59銀 37玉
 48銀 同歩生/47銀 38銀 同龍/39銀 48銀 同馬/49銀
 38銀/49龍 28玉/37香 29銀 39玉 28銀 38玉 39銀 同馬/48銀
 47銀 29玉 38銀 28玉 29銀 37玉/28香 38銀 48玉
 37銀 59玉 48銀 68玉 69歩 同龍寄/49歩 59銀
 迄 97手詰
 

【作者コメント(投稿時)】

 JIGSAW BOX #01に出した作のバリエーション。普通の趣向作にするつもりが、途中から気が変わって、左右準対称にしました。下手をすると解く手間が2倍になるかもしれません。

【解説(のようなもの)】

 とりあえず銀を打って手を進めてみます。どちらからかは運次第。作意どおり68から右に銀追いします。まず右に追い38角→39角、それから左に追い78角→79角型にします。
次の右追いは角を成らせて龍と馬の位置を交換します。そして左に追いますが、ここからは破調の手順です。右側と同じように進めてもうまくいきません。肝心なのは詰上りの壁を作る手順です。45手目68銀〜63手目までの駒のやりくりが本局のポイントとなります。つまりこの形を作るには玉を88、89に運ぶ必要があり、それには付随する駒が桂でないと成立しないわけです。初手48銀から入ると付随する駒が香となり28玉のとき王手となり不成立になります。実に巧です。
 その後右辺に追い、歩を入手し、駒の繰り替えで69歩 同龍寄/49歩で見事に詰上り舞台配置が完成です。簡単に書きましたが、囲い駒のように見える47歩を取るという発想もなかなか出てこないと思いますし、収束形を創造するのも困難であることは間違いありません。解こうとした人にこそ素晴らしさが分かってもらえる作品といえるでしょう。

                        *

若林
 「最難問。不気味な非対称系。とりあえず両辺で折り返してみて、さて何をする? 結局角を成らせるといった自然なアクションをしているうちに収束が見えてくる。そのためには歩が必要で、竜馬はだいたいこのあたりで、と全体構造が見えてくる。あとは腕力。とにかく手数オーバーしなくて良かった。PWC+銀追いの傑作。この構成は凄い。」
 これを解いてくるのはさすがです。私は解く自信はありません
北村太路
 「密集系でもないのに駒をちょっとずつずらして詰まそうというのがすごい。出題図から詰みの形を考えるのはちょっと難しいのではないかと思います。余詰がこわいので最初から取り組まないので自分でこういうのを作るのは不可能そうです。左右対称っぽい初形にするのもすごい。両方とも壁かと思った攻方玉の斜め後ろの歩も、一方は動いて仕事するしなぁ。いつもながら驚嘆します。(fm使用)」
 壁のようで壁でない ベンベン(意味はない)
隅の老人B
 「彷徨15日、暇と根気で頑張る。解けて万歳三唱。」
 15日とは頭が下がります。
小峰耕希
 「(fm使用)僕はフェアリーでは長編解くしか能が無いみたいなので、今回も長編全解を狙いましたが、本局に阻まれました。そもそも何を目的に手を進めれば良いのか見当も付かず。左右対称のようで非対称な配置からして、きっと作者が凝りに湖って作ったのでは? fmviewで並べてみても意味がさっぱりわからないので、解説に期待します。」
 私には詳細は無理です。
PWC11  北村太路 作 (登場19回)                       

【詰手順】 

 37飛 25玉 35飛 16玉 15飛 27玉 17飛 38玉
 37飛 49玉 39飛 58玉 59飛 67玉 57飛 76玉
 77飛 85玉 75飛 96玉 95飛/75金 87玉 97飛 76玉
 77飛 85玉 75飛/77金 96玉 95飛 87玉 97飛 78玉
 77飛/97金 89玉 79飛 98玉 99飛 87玉 97飛/99金 78玉
 77飛 89玉 79飛 98玉 99飛/79金 87玉 97飛 78玉
 77飛 69玉 79飛/77金 58玉 59飛 67玉 57飛 78玉
 77飛/57金 69玉 79飛 58玉 59飛 47玉 57飛/59金 38玉
 37飛 49玉 39飛 58玉 59飛/39金 47玉 57飛 38玉
 37飛 29玉 39飛/37金 18玉 19飛 27玉 17飛 36玉
 37飛/17金 25玉 35飛 16玉 15飛 27玉 17飛/15金 36玉
 37飛 25玉 35飛 16玉 15飛/35金 27玉 17飛 36玉
 37飛 25玉 35金/34金 16玉 17飛  迄 101手詰
 

【作者コメント(投稿時)】

 長いけど内容はあまりない

【解説(のようなもの)】

 本作は飛追いです。難しい所はありません。飛車でくるくる玉を追いかけ、95金を35まで運んできます。「運搬手筋」とはセンスのない命名か・・・。
 それにしてもあとからあとから湧いてくるような北村さんの発想力には驚かされます。PWC神が乗り移っていると思います。絶対!

                        *

若林
 「角追いに続いて飛車追い。こちらはひたすら金を運ぶシンプルな構成。
これも楽しく綺麗にできています。初形から相馬氏の"曼荼羅"を思い浮かべました。」
 こういうタイプで長いものが出来そうな気がしますね
橋本孝治
 「飛追いで金を運搬する構想を見事に実現。特に34金・24飛の配置は巧妙。汲めども尽きぬ泉のように湧き出すアイデアの数々。北村さんの発想力には脱帽あるのみです。この”運搬”は角追いでもできそうなので、見てみたいですね。」
 簡素な配置はさすがです。私には真似できない芸当です。
北村太路
 「PWC9と姿は似てませんが姉妹のようなものです。こちらは1回ごとはしぶといが融通が利かず往復が1回で終了しました。これで何往復かできれば面白いんですが思いつかなかったです。5六周辺でもう少し駒がいるかと思ったんですが、輪それぞれの回転方向が実は一方通行で、壁があの程度で済んだのが意外でした。」
隅の老人B
 「金をお供に諸国巡り。右辺に旅するのは予想通りだか、それでも途中は不安が一杯。
 どこで収束するのかが途中は分かりませんからね
小峰耕希
 「手数と配置で逃げないで! 紛れがゼロで且つ楽しい入門用長編趣向。」
PWC12  神無七郎 作 (登場5回)                        

【詰手順】 

 37金 39玉 38金 29玉 39金 18玉 29金 同玉/18金
 19金 38玉 29金 48玉/38歩 39金 58玉/48香
 49金/39と 68玉/58歩 59金/49と 78玉/68歩
 69金/59と 88玉/78歩 79金/69角 98玉/88歩
 89金/79と 同玉/98金 99金/98馬 78玉 89金 68玉/78歩
 79金/89と 58玉/68歩 69金/79角 48玉/58香
 59金/69と 38玉/48歩 49金/59と 29玉 39金/49と 18玉
 29金 同玉/18金 19金 38玉 29金 48玉/38歩 39金 58玉/48香
 49金/39と 68玉/58歩 59金/49と 78玉/68歩
 69金/59と 88玉/78歩 79金/69角 同玉/88金 89金/88と 68玉
 79金 58玉/68歩 69金/79角 48玉/58香 59金/69と 38玉/48歩
 49金/59と 29玉 39金/49と 18玉 29金 同玉/18金 19金 38玉
 29金 48玉/38歩 39金 58玉/48香 49金/39と 68玉/58歩
 59金/49と 78玉/68歩 69金/59と 同玉/78金 79金/78角 58玉
 69金 48玉/58香 59金/69と 38玉/48歩 49金/59と 29玉
 39金/49と 18玉 29金 同玉/18金 19金 38玉 29金 48玉/38歩
 39金 58玉/48香 49金/39と 68玉/58歩 59金/49と 79玉
 69金/59と 同桂成/77金 78金/77角 同と/88金 89金 68玉
 79金 同玉/68金 78金/68と 89玉 88金 同香成/87金
 同金/87杏 99玉 89金   迄 117手詰
 

【作者コメント(投稿時)】

 無理やり往復回数を増やす案も作ってみました。

【解説(のようなもの)】

 本作は第6回7番吉川作の解答に添えられていた作品です。しかしあの作品から無理やり往復回数を増やすとこんな素晴らしい作品になるとは驚きです。作者の創作力は本当にすごい。徐々にサイクルが短くなるとはいえ4往復(?)は見事です。
1つ気になる58香。歩じゃいけないのでしょうか?実は歩だと短いサイクルで歩が消去し易い為、51手で詰んでしまいます。(しかも完全作)この詰上がりもシンプルでなかなか面白いです。
 しかし綺麗な花にはとげがある。この作品の収束もなかなか難しい。吉川作を元としたとすれば、簡単な収束をつけるのが普通かな?と思うがこの収束はさすがの七郎の一局という気がします。
 特に最後の香成らせはいい感じ。


                        *

若林
 「前回の作品があったので解図そのものはあまり苦労していませんが、やはりこの図面は流石、という出来。左側での収束の舞台作りが非常に面白い。右側での収束消しもシンプルで明快。」
北村太路
 「収束でうまく回り込む手順が気づきませんでした。回数をうまく増やしているなぁと思いました。(fm使用)」
隅の老人B
 「故銀杏先生、作者を評して"コンピュター的超人作家"と、フエアリーの世界でも超人ですね。巧みに折り返して、微妙に局面を変えて行く。"待った"が出来ても、どの局面が良いかは、長手数では難しい。」
 めいと最終号で私も読みました。"コンピュター的超人作家"まさにピッタリのキャッチフレーズ。
小峰耕希
 「前回の吉川作のアレンジという事なので、趣向が何かはわかりますが、機構や目的がまったく違い、しかも収束が見えず苦労しました。その収束は、もっとスッキリ作っても良いのでは? と思う位ですが、この異論も最終盤に“成らせ”まで入っては撤回する他無いようです。余詰防ぎの8段目の香配置に感心し(最後の一往復もこの駒の功績)、7段目の駒はただ単に順列配置かと思いきや、ちゃんとそれにも役割があってまた感心し、そして他にもいろいろ感心し、という作品。」
 今度解説してもらおうかな。
総評&解答成績                      
【総評】

若林
 「7.10が難しかったですが、前回の301手があったので気合で解きました。北村氏には引き出しの多彩さで、七郎氏には新作の難度と解作の手際に感嘆。」
 今回かなりの難解作がありましたが見事全題正解です。解答1番乗りでした。
太郎@神無一族
 「1題だけですが、解答します。」
 太郎さんに解答させたくなる作品を募集します。
橋本孝治
 「自作が2つあったにも拘らず、PWC2とPWC7に苦戦して、遅い解答になりました。これまでのPWCばか詰作品展の中で、最難解の回だったのではないでしょうか?個人的には私の銀追い・金追いが、北村さんの飛追い・角追いとリンクしたみたいで、偶然だとしても面白い出題構成だと思いました。」
 私の見事な構成に喜んでいただけたようです(おいおいたまたまじゃないか)
北村太路
 「1問しか解けなかったなぁ。修正作と発見作があるから自作も少ないですし。PWCの神はどっかに行っちゃったらしく、創作できません。なんか愚痴っぽくなってしまった。今月も開催されるようなのはよかったです。」
 8回は北村さん欠席です。充電されて9回で爆発を期待します。
隅の老人B
 「暑い最中に、難問揃いで汗、汗、汗。12問目に到達したら秋風が吹いていた。解くのも難行だが、後半の長編の解答書きが、また苦行。途中まで書いて、手順が分からなくなる、最初から駒を並べて、再検討。超長編の"新桃花源"の解答書きの方が、はるかに楽、馴れとは恐ろしいね。」
 新桃花源、もう解いたんですね〜私はまだ途中です。
小峰耕希
 「もう最近PWC作品展は、短編や中編は余りに難解なのでついでに解いていまして、だから無解率が高い事自体は一向落ち込みません。が、長編が解けないのはいけません。あの素晴らしい構想を自力で看破してみたかったという思いがいつまでも残ってしまいます。Iを自力で解いてみたかった…。残念至極。(←遅刻解答で愚痴るな!)」
 コラ!作品も送りなさい。(ばか詰も)

                        *
【解答成績

解答者名 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
若林
太郎@神無一族
橋本孝治
北村太路
隅の老人B
小峰耕希
△はFM使用解答

解答者数 6名 うち全題自力正解者 3名 

全題正解者は若林さん、橋本孝治さん、隅の老人Bさんのビック3・3人でした。