第1回・最悪詰作品展 第11番

出題:5月15日 たくぼんの解図日記

作者:真T  最悪詰 19手


【詰手順】

▲9八飛  △8九玉  ▲9九飛打 △7八玉  ▲7九飛  △同 玉  ▲9九飛  △8九角  
▲同 飛  △同桂成 ▲1三角  △5七歩  ▲同角生 △7八玉  ▲7九歩  △7七玉
▲7八歩  △同 玉  ▲8七馬 まで 19手詰

作者の言葉(投稿時)

「狙いは成生打診中合です。前作(たくぼんさんの解図日記で紹介していただいたもの)でも同じ狙いだったのですが、それはどちらかというと合駒を稼がせるという意味合いが強かったので、作り直してみました。 合駒制限の四桂配置は面白くないかもしれません。角合の入った序は気に入っています。」

★最悪詰の傑作の誕生です。まるで普通詰将棋を見ているような感覚ですね。
 まず初手、横から打ってみます。8九飛には同桂成で98飛までの早詰。7九飛にも8九金合とされ以下同様に早詰ですので、
 9八飛と分かります。8九玉と逃げる手にも紛れが、9九飛、9九飛打、7九飛とあります。
 9九飛は同玉、9八飛、8九玉、9九飛以下。 7九飛は同玉、9九飛以下作意より2手早く詰みますので9九飛打。
 7八玉の一手に、ここでも紛れが、8八桂を跳ねる手と7九飛あります。
 桂跳には8八銀という手があり早詰ですので、7九飛と捨て9九飛に角合を強要し(他の合駒は不詰)同飛、同桂成でいよいよ、作品の中核部分になります。
 王手は持駒の角を打つしかないのですが、「跳び道具を持ったら短打」とか「成れる場合は成ったほうが詰まし難い」とか講座にありましたね。
 では6八角と短打してみると、7八玉とかわされ8七馬の一手となり早詰。24〜57の場合も同じです。つまり攻方は角を生で使おうとすると早詰となるので、  可成地点である1三から角を打つのが詰まさない手になります。では例えば1三馬と打てたとすると、6八歩と合駒され、同馬の一手で詰んでしまいます。
 と言うわけで、普通詰将棋にもたまに出てくる「打診中合」という手筋が見えてきます。
 2四〜5七にたとえば歩の中合をしてみると、同角成と取る手は6八歩、同馬までで詰みますので打診中合を成って取るのは早詰です。
 合駒は飛、香、金、銀では不詰です(いろいろな王手が生じます)ので歩か桂。桂は出払ってますので歩と決まります。
 さてその打診中合の位置ですが、2四〜6八まで5ヶ所ありますが、どこが正解か?
 じゃあ2四にとりあえず打ってみます。
 1三角、2四歩、同角生・・・7八玉とかわした所で8七馬では詰みますので7九歩の一手。
 同桂成や同成桂では詰みませんので7七玉とします。ここで8七馬や7六馬では詰みですが6六馬で詰みません。(7八歩は同玉、8七馬まで)
 そうです歩合には6六馬があって不詰なんですね。じゃあ6六馬の時に詰んでいればいいわけで、ここまで書いたらもうお分かりでしょう。
 打診中合の位置を5七にすれば、角が5七にいますので6六の地点に利きが生じるので6六馬=詰みとなるわけです。
 なんという意味づけでしょうか。導入部〜角の遠打〜限定位置の打診中合〜収束とどの部分にも適度な紛れがあり解答者の頭を休ませてくれません。
 そして打診中合の位置限定の意味づけに気づいた時感嘆の声を上げざるを得ません。
 解答者の評も絶賛の嵐。早くもTOP\中編賞は当確といってもいいでしょう。

(記:6/16 3手目の紛れ解説に間違いがありましたので修正しました)


短評

小林看空
真打登場。 角の最遠打!!歩の中合、意味付けもすばらしい!!  序も申し分なく、展覧会中白眉。
橋本孝治
遠打と態度打診の限定合い。まるで普通詰将棋の構想中編を見ているような華麗な応酬です。今回はお気に入り投票はないみたいですが、あったらこれに票を入れます。
★多分全票はいったんじゃないかな
北村太路
なんじゃこりゃー!!
まず序盤、飛2枚をこう使わないと早詰する。うまくできている。そして、1三角発見で作意っぽいと睨み角合いする。しかし、合駒と位置は??7六に桂が効いているのに気付かずかなり悩む。7六に馬が来ても詰むので、なんだ歩打−玉引−歩突−同玉の消費か。あれ、歩合の場所非限定?で解答書いてたら、6六馬があった!うはー。最遠打から、合駒位置まできっちり決まってたのか。問題図からはあまり最遠打の匂いないよなぁ。それだけでなく序の飛2枚との攻防も見事な出来栄えだと思う。悩んだ問題はよく見える、というのを差し引いても、間違いなく今回の作品展で群を抜いていると思う。
橘圭吾
完璧な作品。中合といい、遠打といい。更に序奏迄入っているとは。
★この序奏が入ったのはは凄いと思います
伊達悠
どうやって創ったらこんなのができるのでしょう。驚く他ありません。
真T
なし
癇癪老人
13角が見えずに悩む。盤面は広く見ないと・・   好作だと思います。
隅の老人B
8手目の合駒選択で長考。手数表示で中合を発見、助かったね。
小峰耕希
無解です。