第1回・最悪詰作品展 第14番

出題:5月15日 たくぼんの解図日記

作者:北村太路  最悪詰 25手


【詰手順】

▲5九香  △5八香  ▲6一歩成 △4二玉 ▲3三歩成△同 玉  ▲2四銀  △同 玉  
▲3六桂  △1三玉  ▲1二金  △1四玉  ▲1三金  △1五玉  ▲1四金  △2六玉  
▲3七金  △同 玉  ▲3八香  △4七玉  ▲4八歩  △5六玉  ▲5八香  △6七玉  
▲6八香 まで 25手詰

作者の言葉(投稿時)

「もう2手逆算したかった(5一玉→6一玉、6二歩→6三歩)のですが、検討できなさそうなので断念しました。心残りは6九玉と8四歩ですが、あきらめました。


★超難解作の登場!私もちゃんとした解説を書く自信がないほどの複雑さです。
 まず初手5二香と打ってみましょう。この順が色々な変化の元になります。

 5二香、4二玉、3三歩成、同玉、2四銀 同玉、3六桂、1五玉、5九角!(途中図)、3七桂、同角、1六玉、2八桂 まで 13手

 途中図
 

 初手5二香と打てば上記の順で5九角〜桂合が成立する為早詰となります。(初手6一歩成も同様)
 また初手5三香は、4二玉、5二香成、同銀、3三歩成以下同様。5四(〜5七)香も、5二香成は前記同様、5三香成は同桂、3三歩成以下同様で早詰。
 つまり5九の地点が空いていると5九角と引く手があり早詰となるわけで、驚きの初手5九香が成立するのです。
 ただ作者名で何となく5九香は打てますが2手目の紛れが強烈です。
 2手目作意は5八香ですが、まず3手目同香と取ればどうなるかといえば、
 4二玉、5二香成、同銀、3三歩成、同玉、2四銀、4三玉、3三銀成、同玉、3四香、2四玉、3六桂以下前述の手順同様早詰です。
 つまりどの地点の香合も同香と取る手は早いので、「5九香、5○香、6一歩成、4二玉・・・」が予想順となります。
 実はここで超強烈な紛れがあります。それが5七桂!です。逆王手で同香を強要して5九地点を空けるわけです。
 ただし持駒に桂が入るのでいろいろな王手が可能になります。
 たとえば、こんな順。
 5九香、5七桂、同香、4二玉、5二香成、同銀、3三歩成、同玉、4五桂、同金、2四銀、同銀、3八香、2三玉、3三香成、同銀、2四歩、同玉、
 3六桂、1五玉、5九角・・・
 実はこの誤解(若干手順は異なるが)が2名(内1名は誤解に気付いて訂正されました)ありました。
 この手順は3六桂のときに6八角という手がが生じており不詰となります。
 2手目5七桂が実に作意らしく見えるためこのあたりで苦労された方が多かったと思われます。
 また、5九角〜3七桂〜2八桂の収束が唯一のように見えるので3手目同香と取る変化を散々読まされ、それに変わる応手が数多くあるので、
 無解者はこの辺で諦めたのではないでしょうか。
 5九角を使わない手順を探す。これが実に難しいのです。
 3手目6一歩成から、4二玉、3三歩成、同玉、2四銀、同玉に3六桂。これまでの変化で散々出てきた順ですが、ここでの1三玉、1二金からの手順が
 まさに盲点。1一金を使って玉を2六へ運びます。そして3七金〜3八香〜4八歩(途中図2)

 途中図2

 ここまで来て初めて2手目の香合の位置が分かります。つまり途中図以降、5六玉(5七では68角がある)、5八香、6七玉、6八香まで詰みますから、
 2手目は5八地点に合駒するのが正解となります。5七の地点では最後5七玉と取られてしまいます。
 ここまで来ないと分からないのですから解く方も大変です。
 全体を見ると、1一金、3九香、7六歩などが実に必要な駒であるということが分かります。
 作者以外の正解者2名の超難解作。解いたお二人と創られた作者には心より感謝いたします。

(記:6/16 解説及び手順に誤りがありましたので訂正しました。)



短評

小林看空
かなりややこしい構成で解析に小一日を要した。傑作。
  まず配置で目につくのは、69王は何のため?76歩も不自然。
  持駒香は多分59か52に打つ、と見当をつける。
○まず、61歩成は、 42玉33歩成同玉、
  ここで、
  1)34香同銀24銀同玉36桂15玉59角37桂合同角16玉28桂まで15手
  2)24銀同玉36桂14玉16香15桂合同香同玉59角16玉28桂まで15手
○最初に戻って、
  52香は、42玉33歩成同玉24銀同玉36桂15玉59角37桂合同角16玉28桂まで13手
○この変化からわかるように59角を防ぐ59香が初手であることがわかる。
○53,54,55,56,57,58香打は、42玉と逃げられ、
  以下52香成同銀(53香成は同桂)
   33歩成同玉24銀同玉36桂15玉59角37桂合同角16玉28桂まで15手
○作意に戻って、3手目を同香と取ると、やはり42玉とされ、
  以下52香成同銀(53香成は同桂)
ここで、
  1)34香同銀24銀同玉36桂15玉59角37桂合同角16玉28桂まで17手
  2)24銀同玉36桂14玉16香15桂合同香同玉59角16玉28桂まで17手
○一見無意味な11金46金39金76歩69王などが有機一体となって一大交響曲となって収束する。拍手は鳴り止まない。アンコール、アンコール。。
★解説いらないですね
橋本孝治
最後は 59角 37桂 … の筋で詰むに違いないと思い込んでしまったので、2手目57桂の紛れからなかなか抜けられませんでした。 この筋で詰むと不要駒が多すぎると考えて、ようやく作意に辿りつきましたが、これは思いっきり想定外の詰上り。超難解作だと思います。
北村太路
うわーん。11番見たら、6二歩、5一玉を入れたかったよー。しかしまあ、これだけベタベタ置くしか手がないのか。これだけ駒を置いたら検討も機械任せになってしまうし。しかし序に2手入れても、どう見ても5九打つよな。やはり作図に努力が足りない。
★たぶん3手目でも変わらないので初手のほうが開き直っていいのではないでしょうか。
橘圭吾
最遠打は分かっているがその後で少し迷った。でも、お見事。(★残念!誤解でした。)
伊達悠
これもダメでした。初手は最遠打というのはわかるのですが・・・・・・
真T
降参です。初手は59香だと思うのですが、それ以降が全く分かりません。59香だけで、満足なのですが…(笑)
隅の老人B
寝ては夢、起きては現で、頑張りましたが、解けず。初手、59香打で、57桂合、同香、が本命?とは思うが、次の応手が解らない、此処までも違っていたら、とんだお笑い草。スゴスゴとまた「たくぼん教室」に戻ります。先生、宜しく、ご指導をお願いします。
★皆さん59香は分かってもその後が難解だったようです。山本民雄作品みたいですね
小峰耕希
初手の原理はわかったのに…。無解無念。