第2回・最悪詰作品展 第9番

出題:6月15日 たくぼんの解図日記

作者: 真T  最悪詰 21手


【詰手順】

▲9七龍 △9八角生▲同 龍 △同 玉 ▲2一角 △7六桂
▲同角成 △9九玉 ▲9八馬 △同 玉 ▲9六飛 △9七歩
▲同 飛 △同 玉 ▲9八歩 △9六玉 ▲9七歩 △同 桂
▲8八桂 △9五玉 ▲8七桂 まで 21手詰

作者の言葉(投稿時)

「狙いは最遠打。意味は角が41〜96のラインに動けないようにです。この意味付けは新しいでしょうか?」

★第1回で傑作を見せてくれた作者が放つ第2弾の傑作。作者以外の正解者はわずか2名でした。
 新しい意味付けの最遠打をゆっくり鑑賞下さい。
 
 前回もそうでしたが、本作も序奏というべき手順が入っています。それも変化・紛れに富んでおりなかなか一筋縄では
 いきません。
 初手は9六飛か9七龍。9六飛は9八歩、同飛、同角生、8八龍までと詰んでしまいますので9七龍と分かります。
 しかしここでの紛れが強烈です。
 98歩は、同龍、同玉、99歩、同玉、96飛、97桂打、同飛、98歩、同飛、同玉、99歩、97玉、98歩、96玉、97歩、同桂生、88桂、95玉、87桂、同角で逃れ。
 98角打は同龍、同玉、96飛、97歩、87角以下逃れ。
 98角成は、88龍、同馬、96飛以下逃れ。
 と頭が痛くなるほどの紛れを読まないといけません。
 作意は98角生でとにかく角を取ってもらおうとします。これは取る一手でここがポイントの場面です。
 
5手目の場面
 
ここで考えられる手は、まず9六飛ですが、
96飛、97角、同飛、同玉、88角(86角は96玉、69角、87歩、同角まで)、96玉、78角、87桂、同角、95玉、77角、86歩、同角まで
で詰みますので、角をどこかに打つことになります。

・87角は97玉、96飛まで
・76角は、87桂、同角、97玉、96飛まで
・65(54)角は、76桂、同角、87桂、同角、97玉、96飛まで
とここまでは簡単に早詰です。

次に43角です。
・43角には65桂と打ちます。(歩の上というのがポイント)


これを同角生は、76桂、同角、87歩、同角、97玉、96飛まで早い。
では同角成はどうでしょう。
同角成、同歩!、96飛、97歩、同飛、同玉、98歩、96玉、97歩、同桂生、88桂、95玉、87桂まで詰み
これも詰みます。
では96飛です。これも同角成、同歩以下と同じように進みます。
96飛、97歩、同飛、同玉、98歩、96玉、97歩、同桂生

先ほどの同角成の順は桂を持駒にしていましたので88桂以下詰みましたが、今回は65桂を取っていませんので
手順が変わります。
52角生(52角成は、85銀、同馬まで)、85銀、同角生、95玉、87桂まで 19手と詰んでしまいます。

つまり角打に65桂、96飛とした時に、角を左に振る順が生じている為に早く詰むのです。
というわけで先手は詰まないように攻めなければいけませんので、左に振る余地のない地点である21角がこの一手!です。

これで一安心と思いきや、先ほどと同じように65桂とすると、
21角、65桂、96飛、97歩、同飛、同玉、98歩、同玉、65角成、97玉、98馬、96玉、87馬、95玉、96馬、同玉、88桂、95玉、87桂 まで 23手と長くなります。
正解は76桂で、
同角成(同角生は87桂、同角、97玉、96飛まで)、99玉、98馬、同玉、96飛、97歩、同飛、同玉、98歩、96玉、97歩、同桂生、88桂、95玉、87桂まで21手
となります。

いやはや紛れ・変化の森に彷徨い、21角の光明を見出してもまだ深い森の中から抜け出すのは容易ではない。
とにかく普通詰将棋並みの構想を見事に最悪詰で実現してしまう才能と努力には驚くしかありません。
今後の活躍が本当に楽しみな作者です。



短評

橋本孝治
最悪詰は真T氏の独壇場!?前回に引続き遠打の傑作登場です。できれば消したくない角を消してしまう序の付け方も秀逸ですし、変化・紛れも多岐に亘り、難解性も申し分なし。もし、将来これが最悪詰の平均レベルとなる時代が来たら、恐ろしいことになりそうです。
★これが平均レベルと言うことはないでしょう。きっと。
隅の老人B
一度解けたような気がするが、解答を書こうとしたら、手順が思い出せず。やっぱり、解けなかったのだ、完敗。
真T
自作
小林看空
最遠打!!飛車を遮る中合!!虚虚実実の駆け引きには瞠目する。
 32角には、65桂合を用意した、64歩の配置も見事。
北村太路
まず序の龍と飛の王手の部分から悩みました。悩んでその変化は(ほぼ)片付いたのですが、9八角「打」ではどうやら角が足りず詰まないらしい。でも9八角「生」では角の打場所がいくらでもある(ように見える)。この前から考えて最遠打かと思ったが、理由がわからない。成れるならどこでもいいんじゃない?ここで断念して、worst1に聞いてみたら、やっぱり2一じゃないとダメだよ、って言うんです。どうして3二や4三じゃダメなのか。必死に図面を作ってworst1に確認をとったら・・・!!!。4一→9六ラインは8五桂で見えなかった!別の筋への移動の関係で限定打という理由付けは普通詰将棋でも見た記憶がありますが、それでもこれを作ったのはお見事という他はないです。私は変化紛れを読む力が全然ないのですが、普通詰将棋が出来る人はこれくらい読めるものなのかな?本当にそれぞれの変化がそれぞれ面白いように詰むんです。前回のも素晴らしかったが、今回の方がさらに上回るか?次は9九玉に対して1一角と打って欲しいものです。(超個人的には1九玉に対して9一角と打って欲しい。右側配置だから)
★凡人には構想が全く浮かばないですハイ。