2: Additional equations:
3: 出力曲線と効率曲線:
4: コイルターン数によるモーター性能変化:
5: いくつかの重要な補足:
付録1 :ローレンツ力に関する解説
付録2 :無負荷電流Ioに関する解説 (2001/3/17)
付録3 : 進角調整に関する解説 (2002/8)
以下に示す通り、モーターの性能は4つの定数 コイル定数Rm, 無負荷電流Io, トルク係数KtとKV値で決まります。 特に Rm, Io,は重要です。 ただし、これら Rm, Io, Kt, KVの数値を公表しないメーカーもあります。
単刀直入に、出力曲線と効率曲線の計算方法だけを知りたい方は、いきなり、 3: 出力曲線と効率曲線: へお進みください。
ここでは、上図の様なシンプルなモーターの「定常回転」のみ考えます。
つまり、加速減速性能は、以下の議論では評価できません。
モーターの回転力学を説明する上で、以下の二つの基礎方程式が最も重要です。
以下では、これら式を理論的に解説することにより、モーター
サイズやコイルターン数に対するモーター定数の変化、つまり
モーター性能の変化を解説します。
V=Ke*W+Rm*I ----(1)
T=Kt*(I-Io) ----(2)
V:入力電圧、Ke:モーター定数=KV値の逆数、
W:回転数、Rm:コイルの抵抗、I:電流、
T:トルク、Kt:モーターのトルク定数、Io:無負荷電流です。
L*E'=L*Rm*I+L*v'*B ----- (0')
と書けます。ここで、E'はコイル線に沿った電場
(電界)、v'はコイルの周速度、Bは永久磁石の磁力です。
さらに、電気回路的に言うと、式(1)はモーターとNiCdからなる
電気回路における電圧バランスの式です。すなわち、
L*E'は電圧Vですし、上図に示す通り、Sをモーター(ローター)半径とすると、
ローター周速度と角速度の関係よりv'=S*Wですし、
Rm*Lはコイル全長の抵抗値なので、それを改めてRmで置き換えると、
オーム法則[式(0')]は、
V=L*S*W*B+Rm*I ----- (0")
書き換えられて、これと式(1)の比較より、
Ke=L*B*S -------(1')
が得られます。
式(1)において電流Iが十分少ない場合を考えれば、V=Ke*Wなので
W=V/Keつまり回転数W=KV*Vとなります。
KV=1/Keは1V当たりの回転数である事が分かります。
電流が十分少ないというのは、無負荷状態と考えていいので、
KV値は1Vを印加した場合の無負荷回転数です。
モーター定数 Ke はKV値の逆数です。
---- KV (=1/Ke)値とモーターサイズの関係 -----
式(1')によれば、モーター定数 Ke は永久磁石の磁力Bに比例します。
この磁力Bは磁石の「種類」や「大きさ」で変わります。
例えば、RC car用の540ブラシモーターでは安価なフェライト磁石が使われています。
フェライト磁石に比べると、多くの高価なブラシレスモーターに用いられている
サマリウムコバルトとかネオジウム磁石は強い磁力を持っています。
試しに、くっついた磁石同志を手で引き離してみてください。
それら磁力の違いは歴然です。
つまり、そういう強力磁石(大きな磁力B)を搭載したモーターは
非力なフェライト磁石のモーターよりも、Keが大きく(KVが小さく)
なります。
ゆえに、「強力なネオジウムモーターは似たようなサイズとコイルターン数を
持つ非力なフェライトモーターよりも低回転型モーター」になる。
また、(コイルの巻き方にも依りますが)上式に示す通り、
Keはコイル長Lとローター半径Sに比例します。
つまり、「コイル巻き数(ターン数)が多い場合やモーターサイズが大きい場合、
Keは大きくなり、つまりKVは小さく、つまり低回転型モーター」になります。
F=I*B-(T/Y/S) -------(1"")
(電場Eは無視した)です。左辺のFはモーター軸方向のコイル単位長さあたり
に加わる力と考えていて、右辺第一項はコイルに流れる電流に磁石の磁界Bが作用した
ときの力であり、右辺第二項はその力(電磁力)をモーターを回転させるトルクT
として取り出すための付加項です。
ちなみに、「トルクは回転「力」ではありません」むしろ、
「トルクは回転力に回転半径Sを掛けたもの」なので、
ここでは単位長さあたりの力Fに対応するためT/Y/Sとなっています。
まず、ローレンツ式(1"")にモーター(ローター)の半径Sと縦長Yを掛けます。
次に、上図でコイル巻き数Mを考慮すると、電流Iは巻き数倍だけ増えるので、
M*I で置き換えます。そして、
定常回転であることを仮定するとF=0(F=ma ; 加速度aはゼロ)となるので、
式(1"")のトルクは
T=S*Y*I*M*B ------(1""")
と書けます。
ここで、そのトルクTを改めて(T+To)と書き換えましょう。つまり、トルクTを
プロペラ回転(負荷)に食われるトルク Tと、
無負荷時のトルク To(=Kt*Io)の和と考えましょう。
すると、式(1""")と式(2)の比較から、トルク係数
Kt=M*S*Y*B --------(2')
を得ます。このトルク係数KtはKeと同じく、永久磁石の磁力Bに比例し、かつ
コイルの大きさと巻き数で変わる事がわかります。
---- Kt と Ke (=1/KV)の関係 ----
おおざっぱに言うと、コイル全長L は Y*M (コイルの縦長*巻き数)に
比例するので、KtとKeはほぼ比例関係にあります。
実際、アビオのwebカタログを見ると14**系モーターのKV値とKt値は
ほとんど反比例で変化していますね。
これは、それらモーターのコイル構造や磁石の種類がほぼ同じだからです。
さらに、L=Y*Mと仮定するとKe=Ktとなります。
この仮定は、コイルの巻き芯の厚さ無視すること、
つまり理想的なコアレスコイルに相当しています。
さらに、いくつかの重要な式を与えます。
出力パワーは Pout=T*W ----(3)
入力パワーは Pin=I*V ----(4)
効率は Q=Pout/Pin ----(5)
となります。
これら式(1)-(5)を組み合わせると
出力曲線、効率曲線が得られます。
ここでモーターというものは、ある定数 Rm, Io, Kt, KVを持ち、
入力電圧 V とトルク T (負荷、ペラ)を決めると、
回転数 W、電流 I、入力 Pin=I*V、出力 Pout が分かるものと考えましょう。
もっと一般的に言うと、「モーターというものは
入力電圧、電流と回転数のいずれか二つを決めると
残り一つが決まります」。
さらに分かりやすく言うと、モーターに電池をつなぐと電池電圧がかかりますよね。
これによりモーター回転しはじめます。さがて回転数が落ち着いたとき
電流値を測ると、それら回転数と電流と電圧の間には以下の関係が成り立つのです。
その関係は、上記の式をすべて使うと求まり、以下の様になります。
回転数 W=(V-Rm*I)/Ke <<--------------重要
=(V-Rm((T/Kt)+Io)/Ke
電流 I=(T/Kt)+Io
入力パワー Pin=I*V=((T/Kt)+Io)*V
出力パワー Pout=(I-Io)*(V-Rm*I)*(Kt/Ke) <<------------重要
=T*(V-Rm*T/Kt-Rm*Io)/Ke
効率; Q=Pout/Pin=(T*(V-Rm*T/Kt-Rm*Io)/Ke)/(((T/Kt)+Io)*V)
となります。これらを電圧一定として下図に示します。
これは横軸電流で書いています。今、電流Iは入力パワーPin=I*Vに比例します。
ちなみに、電流とトルクは比例関係にあるので、
横軸をトルクで描いても似たような図になります。
先述の通り、近似的にKt=Keとしましょう。
上図では、Ioはほとんどゼロとして描いています。
Poutの式はゴチャゴチャしてますが、電流Iだけを拾い読みすると、
上図では上に凸な二次曲線(放物曲線)になっています。
最大出力PmaxはI=0.5(Io+V/Rm)の時に得られ、
その最大出力は
Pmax=0.5((V-Rm*Io)**2)/Rm
となります。一般的な、RC模型用モーターの場合、
実フライト状態ではV>>Rm*Ioなので、PmaxはIoにはあまり
依存せず、むしろRmの変化により大きく変化します。
つまり、コイル抵抗Rmが小さい(大きい)と
最大出力Pmaxは大きく(小さく)なります。
ゆえに、例えば先述の通り、コイル巻き数(ターン数)M
が少ないとRmが小さくなるので高出力モーターになります。
ちなみに、8-10cellsヘリでよく使うモーターは大まかに言って
Rm=0.020,Io=2A前後のモーター定数を持っています。
このときPmaxは電圧10Volt(=V)で約2.5kwになります!
我々がそういうモーター使うときはせいぜい300Wくらいまでで運転しているので、
この2.5kwはめちゃくちゃな高出力です。
だからと言って、そのモーターで2.5kwを絞り出そうと
すると一瞬にしてモーターが焼けるので厳禁ですよ。
この点に関して、次に述べる効率というものを考えないといけません。
ところで、出力ゼロ(Pout=0)になるのは無負荷電流I=Ioと最大負荷電流
I=V/Rmの時です。後者の時、回転数W=0となりますので、
これはモーター軸を回転させない様に抑え付けた状態
です!!!! んな無茶な!ショート状態ですね!。
--- 効率曲線について -------
上図に見れる通り、効率曲線 Q=Pout/Pin は上にトツで左
(低電流側=低出力側)にピークの片寄った曲線になります。
PinとPoutの差はロスパワーを与えます。ロスパワーの殆どは熱となりモーター
を加熱します。「強い加熱により磁石はその磁力を失う」ことがあるため、
実際のモーター運転では、運転時間に応じてロスパワーを抑制
する必要があります。上図でおわかりの通り、「ロスパワーは
出力と共に単調増加する」ので、低(高)出力は低(高)ロスです。
さらに言うと、「最大効率点を越えて出力を上げると、ロスパワーは
急激に増えはじめます」。ですから、「最大効率点付近かそこより低出力域
=低電流域で使うのが正しいモーターの使い方」と言えます。
つまり、Pmax付近は最大効率点を遥かに越えているので、
熱ロス的に危険すぎて使えないのです。
-------- 高出力=良いモーターとは限らない!! --------
上図の三つの曲線はモーター定数RmとIoによって大きく変化します。
コイル抵抗Rm はコイル線が細いと増えるし、巻き(ターン)数が多い場合は
コイル線Lが長くなるため、やはりRmが増えます。
ジュール熱Rm*I*Iがコイルで発生するロスパワーです。
試しに、IoそのままでRmを小さくすると、出力曲線は右上に広がり、
すなわち高出力モーターとなりますよね。
ところが「高出力モーター=良いモータ−=Rmが小さいモーター」を意味しない事
に注意しましょう。なぜなら、一般に「Rmが小さいモーターはIoが大きい」のです。
そして、このIoは無負荷時にモーターが消費する電流なので、
すべてロスなのです。そのロスパワーは大雑多にIo*Vと考えていいでしょう。
このIo*Vロスは、Rm*I*Iロス以外のモーター内部で発生するすべてのロスを
含んでいて、ほとんどは磁石の発熱ロスです。
ですから、モーター選ぶ時には、これら
Rm*I*IとIo*Vの二つの発熱ロスのバランスを考える必要があります。
ここで重要なことは、コイル抵抗Rmが小さいモーターなら電流増えても
Rm*I*Iロスは大きくなりません。
逆に、Ioが小さいと高電圧でもIo*Vロスは大きくならないということです。
ところで、
同じ出力ワッテージI*Vを得るためには、電流Iを上げて電圧Vを低く抑えるか、
逆に、電流を下げて電圧を上げる方法が考えられます。これらのことに留意すると、
「低Rmなモーターは低電圧高電流向き、逆に、低Ioなモーターは高電圧低電流向き」
となります。
以下では、この様なロスバランスの電流電圧に対する特性を、具体的に
出力曲線や効率曲線のRmやIo(つまりコイルターン数)
に対する変化として解説します。
---------- ギア比の計算
これはKV値から見積もりできますが、そもそも
これはこのページの議論だけでは決まりません。
なぜなら、それは個々のモデル(機体)やぺラ、メインローター、飛行スタイル
によるからです。
ギア比を決めるためには、
まず、そのペラやメインローターの回転数を決めないといけませんが、
これは機体側の問題であり、モーターは関係ありません。
色々な人のデータを参考にしたり、自分で計測して飛ばしてみる
しかありません。そうやって回転数rpmを決めたら、
ギア比は大まかに言ってKV*V*0.9をrpmで割れば求まります。
ここで電圧Vは1.1*cell数とします。もし、そのロスがそのモーター
にとって大きすぎるとモーター燃えます。逆に、適正負荷なら
セーフです。燃えるかどうかは
このページの議論に従ってロスを計算してみると予想できます。
燃えそうな場合はコイルターン数や電圧を変えて対処します。
それでも駄目な場合はモーターサイズを大きくします。
--------- 4-1; 電圧一定の場合-----------
以下の二つの図は上述のPout式から得られ、これも二次(放物)曲線です。
そのため上図によく似ています。アビオックスの1406/2Yから3Y、
4Yへの変化では、その添え字2,3,4がコイル巻き数(ターン数)を表し
ているために、コイル抵抗Rmが大きくなります。
ゆえに、Pout式から予想できる通り、
2Yは3Yより出力曲線が高く、つまり高出力になっています。
同様にして、1.5Yとか1Yはさらに高出力です。
つまり、ご存知の通り「低ターンモーターは高出力」である事が分かります。
ただし、これらのロスパワー曲線の違いは微妙ですねえ.......。
これはすぐ後でもっと詳しく解説します。
次の図には、一例として、Hacker B40-9L とB40-11Lの8.4V時のロスパワーを
示しました。Hackerが公表している
モーター定数Rm,Io,KVまたは
ここの一覧表(注、Rm=Ri)
を元に計算したものです。
これらモーターはコイルターン数(9巻きと11巻き)が違います。
Aveox1406/2y(2巻き) と3y(3巻き)も似た様な関係にあります。
横軸は電流、縦軸にロスパワー(=発熱ロス)です。
白い三角でそれぞれのモーターの最大効率点を示しました。
「ロスパワーは電流と共に単調増加する」ことに注意しましょう。
つまり、最大効率点でロスパワーが最小になるわけではありません。
むしろ、「最大効率点を越えるとロスパワーは急激に増加しています」。
これはどんなモーターでも同じです。
よーく見ると、B40-9L(1406/2y)よりB40-11L(1406/3y)の最大効率点は
低出力側にあります。これに起因して、B40-11Lの低出力域(20A以下)
を使うならB40-9Lより低ロスとなり、ゆえに長時間飛んで、しかもモーター
焼けにくい。でも、出力を上げる(30A以上)とロスばかり増えて、
出力は頭打ちします。こうなるとB40-11LよりもB40-9Lが有利です。
もう一つコメントしておくと、この図の範囲で
両者のロスパワーの違いはせいぜい5Wくらいですね。総ロスが20-30Wくらい
なんで、この程度なら致命的な違いは無いかもしれません。
ただし、これはあくまでも、B40-9Lと11Lの違いであって、
Aveox1406/2y と3yのロスは10Wくらい違うので注意してください。
下図は、上図の特徴を強調してマンガ的に描き直したものです。(a)==>>(b)==>>(c)と進むとコイルターン数が多くなります。
高出力域重視ならモーター(a)、逆に、低出力ならモーター(c)が向いてますが、
その中間域で飛ばすならモーター(b)が最適です。
どこのメーカーでも、モーターのコイルターン数によってモーター性能はこの様に変化します。ですから、無闇に少ターン(=過激)モーターを選ぶのではなく、各自の用途に応じた出力レンジを決めて、それに見合う
コイルターン数を選定する必要があります。
=== ここまで加筆修正 2001/7/10
ここまでの話は電圧一定と仮定しました。しかし、
以下に述べる通り、電圧上げると3Yも高出力モーターになります。
------- 4-2; 電圧を変化させる場合--------
バッテリーのセル数変えると電圧が変わります。
電圧変化させるとこれら効率、出力曲線の様子は変わります。
Poutの式を眺めていると、その変化の様子がわかります。
具体的に言うと、3Yをさらに高電圧で使うと2Yの図の様になります。
つまり、「高電圧時の多ターンモーター」と「低電圧時の少ターン
モーター」は似たような出力、効率特性を持っています。
もちろん、2Yをさらに高電圧で使うと、もっと高出力なモーター
になります。でも、ロスもさらに増える。
ですから、我々が自分のRCモデルに見合ったターン数を選ぶ
というのは、「我々がどのくらいの出力域を要求するか」に依って決めるべきです。
以上は、aveox1406系モーターをネタに議論してきました。
これらは同じサイズでターン数違うだけのモーターでした。
最後に、モーターサイズ違う場合についてコメントしておきましょう。
-------- 4-3; モーター重量とモーター性能-------
一般に、重く大きいモーターほど安定した高出力が可能です。
この点に関して、永久磁石を用いたモーターは「磁石の種類と重量」で
限界出力が決まると考えます。つまり、
重いモーターは大きな磁石を用いているので単位重量当たりの
負荷が軽くなる ==>> モーターに優しい。
例えば、各メーカーはモーターに対する出力限界とか限界電流を
明示していますが、それが何分?何秒?連続運転可能なのかを知る事が
とても重要です。どんなモーターでも、短時間なら高出力可能でしょうし、
低出力なら長時間運転でもダメージありません。
理論的に言うと、大きいモーターは小さなRm値とIo値を持つ傾向があります。
ゆえに、効率がよくて高出力となります。
ただし、もちろん、コイルターン数や磁石種類が違うと、その限りではありません。
以上の説明で、モーター性能が4つの定数 Rm, Io, Kt, KVでどの様に決まるかが
おわかり頂けたと思います。
ここで議論されたエネルギーロスは次の二つに分類されます。
1:コイルの電気抵抗Rmに起因するロスパワー(=コイルの発熱Rm*I*I)
2:無負荷時の回転抵抗To(=Kt*Io)に起因するロスパワー(=磁石とコイルの発熱Io*V)
後者のロスにより、磁石はそれ自体発熱する事に注意しましょう。
コイルだけ冷却してもダメという事。
--------この理論で無視されている事項------
なお、この議論において、モーターの軸受け精度、ローター(電機子)
バランス精度は理想的であると考えています。
やっかいなのは、メーカーに依って製品精度とか製品むらがあると
いうことです。実際にはこれら精度不良により回転ムラが生じ、
回転数に比例した無負荷トルクが生じますので、高回転モーターほど顕著に
効率が低下します。
また、モーターがロスパワーの蓄積で熱を持つと、抵抗Rmが増えて来て、
出力曲線と効率曲線が全体に低下します。
モーターが焼け始めると効率低下と(無理な)出力維持が同時進行するため、
仮に、初期効率が少し違うだけでもモーターの焼け具合は
劇的に変わります。
さらに、この議論ではコイル電流のスイッチングのタイミング(進角)を
全く考慮していません。これはここで考えたモーターがそもそも
スイッチングしなくても回転する!という理想的なモーターだからです。
ところが、みなさんも御存知の様に、進角設定が出力特性に大きく影響します。
特に、ブラシレスの進角はコントローラーに依存しているため、
同じモーターでもコントローラによって性能が大きく変わる可能性
があります。
これらロスパワーはすべて入力パワーと出力パワーの差(Pin-Pout)から
捻出されるはずですが、このページの議論では
考慮されていません。つまり、ロスパワーの増加
につながります。その程度は著者にはわかりません。
「図説:モーター回転の仕組みと進角の意味」 で解説した通り、
いわゆる電気モーターはローレンツ力で回転します。
具体的には、単位体積当たりの導体(金属)に加わるローレンツ力は
F=nq(E+v*B) -----(0)
です。ここで、nは電子密度(単位体積当たりの電子数)、
qは電気素量といい電子一個の電荷量、Eは電場(電界)、
そしてv*Bは電子速度vと磁場B(磁界)の外積です。
外積とは(E=0のとき)ベクトルFの向きがvとBの両方に直角方向になる事
を表わしています。
正しくは、ローレンツ力Fは、導体に加わる力というより、
導体中に存在する電子に加わる力です。例えば、
電場Eは入力電圧に比例して増えます。ゆえに、コイルに電場Eが加わると、
そのE方向に電子が加速されます。
さらに、永久磁石により生じる磁界B中を電子(つまりコイル)が
流れていると、その電子速度vと磁場Bに直角方向に電子(コイル)は加速されます
(これはフレミングの左手の法則です。ちなみに、フレミングの左手と右手法則は
動力モーターと発電モーター間の工学的解釈が違うだけで、
物理学的、数式には同じローレンツ力です)。
最終的に、加速された電子の動きは電流やコイル回転運動となり
モーターを駆動します。
Ioを測定した事のある方は、この測定値は電圧や負荷履歴で変動する事を
知っていると思います。実は、コイル抵抗Rmも変動しているはずですが、
測定が難しいので体感できないだけの事です。
つまり、IoやRmはモーター「定数」と言いながら、負荷が大きい場合は
定数となりません。ここでは、その理由について説明しておきます。
--------------Rmについて、
実際、よく知られている通り、低電流かつ低電圧ではほとんど一定値をとります。
しかし、コイル電圧を上げていくと、発熱による温度上昇に対して
コイル抵抗Rmは増加し、電流は流れにくくなります。
やがて、降伏電圧を越えるとコイル断線によりRmは無限大に終端します。
------------IoはRmよりも複雑な変化をします。
例えば、モーターへの負荷を上げていくと、
磁石は発熱し磁力が少しずつ低下します。
この磁力低下はモーター駆動効率低下を引き起こします。
これはIoの上昇に反映されます。発熱が少ない場合は、運転後しばらく放置すると
磁力回復するため、Ioも元に戻ります。一方、発熱限界を超えると、
磁力回復せず、Ioは上昇したままとなり、モーターはつぶれます。
RCモデルは軽量モーターが好まれるので、頻繁に磁石の負荷限界近くで使う事情が
あります。このため、Io値は頻繁に1-2割以上変動しています。
これに関連して、
低磁力なフェライト磁石はネオジウム磁石よりもIoが大きくなる傾向があります。
また、小さい磁石は同種類の大きい磁石よりもIoが大きくなる傾向があります。
ちなみに、極端に大きなコイル電流を瞬間的に流せば、磁石の磁力は消失します。
実際、これは磁石を磁化したり消磁する常套手段です。
例えば、磁気記録テープはこの方法で磁化状態を制御しています。
蛇足ですが、磁気テープにモーター近づけない様にしましょう。
また、磁石の発する磁力はモーター内部の鉄材を磁化させます。
この現象を体感したい方は、磁石に何かの鉄材を近づけてみてください。
その後の鉄材はしばらく磁石の様に振る舞うはずです。モーターの場合、
鉄材の磁化状態は負荷履歴で変化します。磁化された鉄材が磁石の様に振る舞う
ため、磁気効率が変化し、結果として、負荷を加えた後のIoはやや減少する傾向
を示します。減少の程度は負荷の大きさに依ります。
このIo減少効果も、しばらく放置すると元に戻ります。
--- 進角とは、:
モーターが回転運動をするとき、コイル電流を
スイッチングするタイミングです。ご存知の通り、
このタイミングはブラシモーターだとブラシに対するコミュテーター
の位相で決まりますし、ブラシレスモーターだとスピードコントローラー
が制御します。経験的には、進角を進めるとモーターは電気大食いで
パワフルに回りますよね。
--- モーター理論における進角効果の意味:
本ページで解説してきたモーター理論は「進角調整の効果」を
表面上は考慮していません。しかし、この理論では
「進角調整の効果」が暗に含まれており、
「進角が変わるとモーター定数は変化します」。
ここで変化するモーター定数はKt,Ke(=1/KV),Ioです。残りのRmは変化しません。
(常識的な範囲で)進角を進めるとIoは増え、Keは減少します。
これらは経験的にそうなることで確かめられます。
一方、Ktがどのように変化するのか今のところ私は知りません。
トルク係数Ktを実測すれば分かることなのでしょうが,,,,,,たぶん。
上述の出力パワーの式を見てください。
係数Kt/Keが付いていますね。つまり、進角調整でKtが変化すると
出力パワー、さらには効率が直接的に変化することが分かります。
要するに、Kt/Keが大きくなると出力、効率ともに上昇しますが、
進角を進めたときKt/Keがどのように変化するかは私は知りません。
ただし、いくらKt/Keが変化しても、そのモーターの入力限界は
V*V/Rmのまま(Rmは変化しない)なので、
「進角調整はそのモーターの最高出力を変えない」と思われます。
さてさて、「私は知りません」では無責任なので、
モーター理論的にどうなのか指針を与えておきましょう。
--- 進角効果によるトルク係数Ktの変化:
トルク係数Ktがどのように変化するかは式(2')を眺めていても分かりません。
というのも、この式を導出する際に、磁界Bは一定と仮定しましたが、
厳密にはコイルの各々部分で磁界Bは違います。しかも、各部に加わる磁界は
一回転の間に変化しているはずです。さらに、式(2')の根拠になっている
式(1""")では電流Iを一定としましたが、この電流も一回転の間にスイッチング
変化しているはずです。ゆえに、式(2')で与えられるトルク係数Ktは
コイルの磁界や電流を時空間的に平均化しているとみなせます。
この平均化は一つの近似であり、そのような近似をせずに厳密なKt
を求めようとすると、実際の磁界や電流の時空間変化を考慮する必要が生じて、
このとき必然的に進角の効果が入り込んできます。
このような考え方に基づいてモーター理論を拡張したのが
モーターシミュレーターです。
そこに示された基礎方程式ではトルク係数Ktはあからさまな形式では出てきません。
これはKtがもはや定数ではないかも知れないということを示唆しています。
進角を考慮しようとすると、ややこしいことになってます。
注意、図中の L は Y の間違いです。
訂正して下さい。
式(1)は物理的に言うとコイル内を流れる電子の力学バランスを表しており
つまり、モーター軸方向(縦方向)のローレンツ力
(5節:付録の式(0)を参照)を上図に合わせて書き換えたものです。
または、電気的に言うと、これは一般化されたオーム法則 E'=Rm*I+v'*B
をコイル線に沿って積分したものです(近似的には、
そのオーム法則の式にコイルの導線長 L 掛けたものです)。
つまり、式(1)は
一方、式(2)はモーターの回転方向の力学バランス式であり、
つまり、回転方向のローレンツ力
2: Additional equations:
.
3: 出力曲線と効率曲線:
efficiency rate (%)
100 I ***** Efficiency curve
I +++++ Output Power curve
max eff.-I - - -*** -- ----- Loss Power curve
I * * --
I * *++++ <<<================== Pmax
I * ++ *- ++
50 I * + --* +
I * + -- * +
I * + -- * +
I *+ -- * +
I*+ -- * +
I* --- * +
0 *-------------------------------*-----
Io Current I
--- 出力曲線について ----
4: コイルターン数によるモーター性能変化:
Max efficiency
Pout I V
I ** ** output power of 1406/2Y
(output) I ++ ** ** ++ efficiency rate curve
I + *+ * -- loss power curve
I + * + * --
I + * + *-
I + * + -- *
I + * -- + *
I + * -- + *
I + * -- + *
I+ * -- + *
I+ *- +*
0 *-*------------------------------*-----
0 Io I (e-current) V/Rm
.
max efficiency rate
Pout I V
I V ** output curve of 1406/3Y
(output) I ++ efficiency rate curve
I ++ -- loss power curve
I + + ** --
I + ** ** --
I + *+ *
I + * + -*
I + * + -- *
I+ * -- + *
I+ * ---- + *
I+ * --- + *
0 *-*------------------------*-------
0 Io I (e-current) V/Rm
この図を見るときに注意すべきことは、普通、
我々が実フライトで安全に使えるのはこれらの図の左隅(低電流側)だけなのです。
最大効率点はいつもその左隅付近に位置していて、大体、
各図のVマークの付近になります。正確な最大効率点の位置は
Rmのみならず入力電圧VやIoによってもかなり変動します。
そこで、最大効率点付近を拡大したのが次の図です。

5: いくつかの重要な補足:
.
付録1 :ローレンツ力に関する解説
.
付録2 :無負荷電流Ioに関する解説 (2001/3/17)
.
付録3 :進角に対するモーター定数の変化