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=== 分かり易い「モーター性能の読み方」 ===

目次 ;

電流I, 電圧V and 回転数rpm の簡単な関係;

モーター性能表の見方 ;

二種類のロスパワー;

終わりに;



電流I, 電圧V and 回転数rpm の簡単な関係;

定常回転時のモーターはとても簡単な性質を持っています。 すなわち、電流I、電圧V、回転数rpmの内、二つを決めると、残り一つが自動的に 決まります。例えば、あるモーターにバッテリーつなぐと電圧が決まります。 そうしてモーターが回転し始めると電流が流れます。やがて、 回転数が一定に落ち着くと、電流値と回転数が同時に決まります。 この時の、電流I、電圧V、回転数rpmの関係が次節に示すモーター性能表となります。 なお、回転数の代わりに出力パワーが決まると考えてもかまいません。 一方、入力パワーはI*Vで与えられます。とても簡単ですね。

ここで言うロスパワーとは入力パワーと出力パワーの差です。 ロスパワーのほとんどは熱となり モーターを加熱し、最悪はオーバーヒートでモーターを壊します。したがって、 ロスパワーを許容範囲(モーターや使用状態に依る)内に抑えて使う事が重要です。



モーター性能表の見方 ;

典型的な性能表を以下に示します。 この表はモーター定数 Rm, Io and KVから計算されます。 モーター定数 Rm はコイルの抵抗値、 Io は無負荷電流(プロペラを付けない状態の電流)です。 KVは無負荷のモーターに電圧1.0Vを印加した時の回転数です。 これら定数は個々のモーター固有のものであり、ハッカー社やアビオックス社など は公表しています (ハッカーについてはここ) 。また、この性能表の計算方法は (Lecture note) に解説しました。あなたが表計算ソフトを持っていれば、この性能表を簡単に 計算できます。

この性能表では、水平方向に電圧変化、垂直方向に電流変化を示しています。 つまり、モーターに加える電流、電圧を決めると、この表より、 出力や回転数、ロスパワー、効率などが分かります。

表中の回転数はギア比17.965:1の場合のプロペラ(またはメインローター) の回転数です。モーター軸の回転数は17.965倍してください。 ギア比が違う場合は自分で換算してください。

How to read the data in table. 

   Input power
   Output power
   Efficiency rate
   Loss power
   The prop (rotor) rpm  (related to the gear ratio)
Hacker B40-10L (old version, until 2000/9)

      Rm=0.018  Io=1.910   Gear ratio=17.965:1

      6.000     7.200     8.400     9.600    10.800    12.000 V 
 
     30.000    36.000    42.000    48.000    54.000    60.000   I=5.0 A
     18.265    21.973    25.681    29.389    33.097    36.805
     60.883    61.036    61.145    61.227    61.291    61.342
     11.735    14.027    16.319    18.611    20.903    23.195
   1085.804  1306.234  1526.665  1747.096  1967.526  2187.957
 
     54.000    64.800    75.600    86.400    97.200   108.000     9.000
     41.404    49.912    58.420    66.928    75.436    83.944
     76.674    77.025    77.275    77.463    77.609    77.726
     12.596    14.888    17.180    19.472    21.764    24.056
   1072.725  1293.156  1513.586  1734.017  1954.447  2174.878
 
     78.000    93.600   109.200   124.800   140.400   156.000    13.000
     63.974    77.282    90.590   103.898   117.206   130.514
     82.018    82.566    82.958    83.251    83.480    83.663
     14.026    16.318    18.610    20.902    23.194    25.486
   1059.646  1280.077  1500.507  1720.938  1941.369  2161.799
 
    102.000   122.400   142.800   163.200   183.600   204.000    17.000
     85.974   104.082   122.190   140.298   158.406   176.514
     84.288    85.034    85.567    85.967    86.278    86.526
     16.026    18.318    20.610    22.902    25.194    27.486
   1046.567  1266.998  1487.428  1707.859  1928.290  2148.720
 
    126.000   151.200   176.400   201.600   226.800   252.000    21.000
    107.404   130.312   153.220   176.128   199.036   221.944
     85.241    86.185    86.859    87.365    87.758    88.073
     18.596    20.888    23.180    25.472    27.764    30.056
   1033.489  1253.919  1474.349  1694.780  1915.211  2135.641
 
    150.000   180.000   210.000   240.000   270.000   300.000    25.000
    128.265   155.973   183.681   211.389   239.097   266.805
     85.510**  86.652    87.467    88.079    88.554    88.935
     21.735    24.027    26.319    28.611    30.903    33.195
   1020.410  1240.840  1461.271  1681.701  1902.132  2122.562
 
    174.000   208.800   243.600   278.400   313.200   348.000    29.000
    148.556   181.064   213.572   246.080   278.588   311.096
     85.377    86.717**  87.673**  88.391    88.949    89.395
     25.444    27.736    30.028    32.320    34.612    36.904
   1007.331  1227.761  1448.192  1668.622  1889.053  2109.483
 
    198.000   237.600   277.200   316.800   356.400   396.000    33.000
    168.278   205.586   242.894   280.202   317.510   354.818
     84.989    86.526    87.624    88.448**  89.088**  89.600
     29.722    32.014    34.306    36.598    38.890    41.182
    994.252  1214.682  1435.113  1655.543  1875.974  2096.405
 
    222.000   266.400   310.800   355.200   399.600   444.000    37.000
    187.430   229.538   271.646   313.754   355.862   397.970
     84.428    86.163    87.402    88.332    89.054    89.633**
     34.570    36.862    39.154    41.446    43.738    46.030
    981.173  1201.604  1422.034  1642.465  1862.895  2083.326
 
    246.000   295.200   344.400   393.600   442.800   492.000    41.000
    206.012   252.920   299.828   346.736   393.644   440.552
     83.745    85.678    87.058    88.094    88.899    89.543
     39.988    42.280    44.572    46.864    49.156    51.448
    968.094  1188.525  1408.955  1629.386  1849.816  2070.247
 
    270.000   324.000   378.000   432.000   486.000   540.000    45.000
    224.025   275.733   327.441   379.149   430.857   482.565
     82.972    85.103    86.625    87.766    88.654    89.364
     45.975    48.267    50.559    52.851    55.143    57.435
    955.015  1175.446  1395.876  1616.307  1836.738  2057.168
 
    294.000   352.800   411.600   470.400   529.200   588.000    49.000
    241.468   297.976   354.484   410.992   467.500   524.008
     82.132    84.460    86.123    87.371    88.341    89.117
     52.532    54.824    57.116    59.408    61.700    63.992
    941.936  1162.367  1382.797  1603.228  1823.659  2044.089
 
------ 最大効率点について

モーターを最大効率点で使うのが そのモーターにとってベストです。 各電圧に対する最大効率点にマーク'**'を付けました。

でも、そこでロスがどのくらい大きいかがもっと重要です。 例えば、8.4Vの最大効率点は 29Aで達成されています。 そこでロスは 30Wですね。半田こての感覚で言うと、 数分でアッチッチです。オーバーヒートするとモーターつぶれます。 特に、放熱効率の悪いモーターは注意!

なお、傾向として、でかいモーターは効率が高くて、熱容量も大きいので 焼け(オーバーヒートし)にくいです。また、小さいモーターであっても短時間なら 高出力OKです。 ですから、モーターがどのくらいのロスに耐えられるかは、 個々のモーターや運転時間等の使用条件に依ります。 一つの目安を(lifetime of motor の「まとめ」) に示しました。

参考までに言うと、アクロバッティックなヘリや静止推力重視なスタント飛行機(例えば、 TOCスタイル)の場合、出力限界に対するモーターサイズの目安は、 7cellsだと Hacker B40-xxS(110g)か B40-xxL(150g)、8cellsだと B40-xxL かB50-xxS(200g)、 10cellsならば B50-xxS かB50-xxL(250g) だと思います。 ここで、その xx はコイルターン数であり、各モーターの性能表を元にして、 用途(何セルで出力いくら?)に応じた最適ターン数を選ばないといけません。

------- バッテリーの電圧降下

8cells バッテリーは いつも9.6Vとは限りません。 電流を取り出すと、バッテリーの内部抵抗のため電圧降下します。 一般的には、8cells(=9.6V?)で8.4V( 20-30A時)くらいになりますが、 バッテリーが古いともっと低下します。また、いわゆるザップドした高価な バッテリーだともっと高電圧を維持できます。

------- ですから例えば、

このモーターを 8cells時の最大効率点で使うには、 上表によれば、バッテリーの電圧降下を考えて、大体8.4Vで29A流せばよい事になります。 その時、入力は8.4*29=243Wとなっています (540クラスへりの場合、このワッテージは十分に高出力です)。 なお、ここで具体的にやるべき事は、「モーターに8cellsをつないでおいて、 負荷(ギア比やぺらサイズ、メインローターピッチ)を調節して、 29Aになるようにします」。上表によれば、その時、このモーターは 1448rpmでロス30Wで回転しているはずです。

なお、負荷が大きい場合は電流が29Aより大きくなるし、 負荷が小さい場合は電流が29Aより低くなります。 それらの場合に回転数やロスがどうなるかも上表で読み取れます。 そうやって、その時のロスが十分に低ければOKです。

----- モーターに関するいくつかの基本性質

モーターにバッテリーつないでプロペラ無し(無負荷)で回すと、 その時の回転数はその電圧に比例します。この比例係数をKVと言います。KV値はギア比を計算する時、役に立ちます。

一方、プロペラ付けると、その回転数は負荷に応じて低下します。 その時、電流や入力は増えます(当たり前)。例えば、極端に大きいぺら付けると、 モーターはトルク不足のため回転できなくなります。この時、入力パワーは最大で、 出力パワーは(回転しないから)0です。ゆえに効率0% !! すぐにモーターが 熱くなる危険状態です。

この様な性質はすべて以下の性能表に盛り込まれています。 ただし、極端な高入力や低入力の領域は示されていません。



二種類のロスパワー;

------- その1、モーター内部で生じるロス

上表に示したロスパワーは入力パワーと出力パワーの差です。 このロスはモーター内部で発生するものです。 そのほとんどは熱となりモーターを加熱します。 また、効率は(出力パワー)/(入力パワー)*100 (%)から計算されます。

------- その2、モーター以外で生じるロス

以上の様に、純粋にモーター性能だけ考えている時は、 機体(駆動ユニット)やプロペラ、 メインローターの空力効果によって生じるロスは 「モーター出力」の中に含まれます。つまり、 それら「モーター以外で生じるロスパワー」と「正味の推進パワー」 の和が「モーターの出力パワー」となります(下図)。

ロスは二段階で発生する。



終わりに;

モーターそのものに関する解説は以上ですべてです。 ここまで理解したあなたは、そのモーターの性能表があれば、 そのモーターがどのくらいの出力や回転数、ロスを発生するのか、 すべて御見通しですね。 ところが、やっかいな事に、実際にそのモーターを機体へ積んだ時に 飛びがどうなるかは、さらに他の議論が必要です。

ここから先の議論は個々の機体に依存した話になるので、 あなたのへりであなたのメインローター付けて、どうなるかは、その条件で ある程度やってみないと分かりません。ただし、一旦、 一つのモーターでどうなるかが分かってしまうと、 他のモーターをその機体に搭載した時にどうなるかは、それらのモーターの性能表の 比較により予想できます。

ヘリに関するこれ以後の解説は (Lecture note) をどうぞ。そこでは、EP Concept SRを具体例として、メインローターのピッチ変化に対するモーター運転状態の変化を解説しています。

また、飛行機、グライダーのプロペラ選定に関しては、 (Selection of motor and prop.) をどうぞ。