The dynamics of motor



モーターのシミュレーション:


シミュレーターの概要:

とうとう、モーターのシミュレーターを作ってしまいました。 このシミュレーターでは、非定常回転(過渡特性、つまり加減速性能が分かる!) やモーター進角調整や無負荷電流量もシミュレートしています。 つまり、今まで解説してきたモーター理論をさらに拡張した 理論式を数値的に解いています。 てっいうか、元になっている物理の基礎方程式をモロに解いている感じです。 具体的に解いている式は以下の通り、

dJ/dt=A*(V-w*B-Rm*J)      -----(1)
dw/dt=C*(J*B-K*w-a*w*|w|) -----(2)
dx/dt=w                   -----(3)

t:time(sec),   J:current(A),    w:phase angle speed (rpm),    
x:phase angle (180>x>-180degs),    V:input voltage, 
Rm:coil resistance,    B=Bo*cos(x):magnetic field by magnet
K: dissipation coefficient(for viscoity and friction loss)
A:motor cosntant 1,  C:motor constant 2,   a:propella size parameter
このモーター定数A,Cというのは物理的に言うと、それぞれ、 コイルの自己誘導インダクタンスLとコイルの慣性質量の逆数に相当する量です。 なお、ここで想定しているモーターは、差しあたって、以下の様な超簡単な 二極モーターです。このようにモーター構造を簡単化することで、 ややこしい電磁界解析が不要な状態としています。

The image of motor studied here.

なお、電圧Vは次式により入力します。この式の働きは、 ブラシとコミュテーターに相当します。ただし、 回転位相角xの変化範囲は180度から-180度までとします。

V=Vo  for 90deg+ang>x>-90deg+ang
V=-Vo   for x>90deg+ang or -90deg+ang>x
angは進角です。

エネルギー方程式は以下のようになります。

0.5*d(C*J*J+A*w*w)/dt=A*C*(V*J-Rm*J*J-K*w*w-a*w*w*|w|)    ----(4)

左辺はモーター内部に蓄えられる電磁エネルギーと力学エネルギーのバランス式、 それに対し右辺はこのモーターシステムへのエネルギーの出入りを表わしています。 つまり、右辺第一項は入力パワーI*V、第二項はコイル抵抗損失、第三項ではその他の 抵抗損失を力学的にモデル化してみました。そして、第四項がプロペラ出力パワー -a*w*w*wです。つまり、右辺第一項で入力したパワーは、一時的に モーター内部(左辺)に蓄えられます。そして、最終的に、そのエネルギーは 第二から第四項の形となってモーターから出てきます。そうして、エネルギー 収支が釣り合うと、モーターは定常回転します。

効率は(右辺第四項)/(第一項)により得られます。

ちなみに、従来のRm,KV,Ioによるモーター理論というのは、これらの式でd/dt=0を仮定 した場合に相当します。ただし、Ioに相当する部分は単純な形をしてない ので注意。以下に示すとおり、実際には、すべての物理量は 激しく時間変化しています(特に電流は)。こう考えると、 あのモーター理論が実測によく合うという事実は摩訶不思議に思えます?

これらの式は差分近似によりパソコンを使って数値的に解きます。 とりあえず、このシミュレーターをVer.0とします。 このコードはC言語で書いています。 まだまだ、コイル構造がシンプルだし、磁石のヒステリシス効果(つまり 磁石の発熱ロスetc.)を無視しているので、実用段階とは言い難いですが、 電動モーターというものの基本特性がよーくわかります。一例として、以下では、 進角調整に対するモーター回転状態の変化をシミュレートしてみました。


モーター進角調整のシミュレーション:

Fig.1:-----

いきなり、二極モーターを進角ゼロでプロペラ負荷を付けて回してみました。 え?そのぺラサイズ?.......まだ無次元量でシミュレーションしているので、 実際にどのくらいのぺラなのかは不明。コイル抵抗Rmなんかもテキトー。 ただし、無負荷電流なんてぇーのはこの計算ではモーター回してはじめて分かる量 です!もちろん、回転数も同じ!!つまり、このシミュレーターでは、 KVやIoを与えて議論する従来のモーター理論よりも、もっとリアルなこと やってるんです!

Fig.1 :進角0度の場合

えーと、一番上が入力電圧Vです。横軸は時間tです。二極なんで 一サイクル(回転)で一パルスになります。この入力電圧波形に対する モーターの応答がその下の3つのグラフとしてシミュレーションされています。 それらは横軸を時間として、上から回転位相角x、回転速度w、電流Jの変化です。

まず、上から二つ目の回転位相角xは、最上が180度、最下が-180度です。 ここでは、180度まで回転したら-180度に表示を切り替えています。 つまり、180度って-180度と同じですからね。 だから、グラフ線は左上から右下へ向かって繰り返し伸びています。これにより、 モーターが一方向に回転しているのがわかります。

次に、上から三つ目は回転速度wの時間変化です。回転速度が負値なので、 この回転方向は負方向になっています。この様に回転速度が 波打つということは、モーターは一様に回転するん じゃなくて、一回転の間に、ぎくしゃくしながら回転していることを意味しています。 これはコギングに関連した効果と考えてかまいません。実際のモーターはもっと スムーズに回転しているんでしょうけど、こいつは低品質なモーターなのです。 どうやったらスムーズに回るか、これからいろいろ調べてみましょう。

最下段は、電流Jの時間変化です。誘導電流(逆起電力)が発生するんで、 この電流波形はかなり複雑です。詳しく見ると、電圧変化にわずかに 遅れて電流が変化しています。

効率も計算しています。82.7%はなかなかのもんでしょ?


Fig.2:進角15度の場合

進角を15度くらいにしてみました。 回転数が少し上がりました。だから、リアルでしょ? 電流波形はかなり変化してますよね。 効率は84%を越えてきました。ええ感じや!!


Fig.3 :進角30度の場合

調子こいて、 進角を30度にしてみました。そうしたら、回転数はさらに上がってますが、 効率はダウンして82.1%!


まとめ:

つまり、この負荷に対するこのモーターの最適進角 は15度付近ということになります。また、進角増やすと、電流も回転数も単調に 増えています。なるほどねえ。リアルじゃ!

それと、進角を進めると電流波形のリップルが減少していますね。 つまり、電流の流れがスムーズになっているってこと?? そういうもんなんですかね?

ちなみに、進角を90度くらいにするとモーター回らなくなります。 こうなると、KV,Rm,Ioによるモーター理論は破綻しています。


今日のところはこんなもんです。次回は

「最適進角は電圧や負荷(出力)によってどのように変化するのか?」と

「無負荷電流Ioは本当に電圧Vに対して一定か?」

を検証してみましょう。