シンナー絶対ダメの授業
愛媛県新居浜市立惣開小学校 戸井 和彦
*用意するもの
シンナーのはいている瓶、B5サイズの紙(人数分)
B5サイズの紙を配って言う。
指示1 この紙に渦巻きを書いてごらんなさい。
「先生、何か意味があるの。」とたずねてくる子がいたが、とにかく書かせた。
「さすがに、じょうずだね。」と言うと、「このくらいかけるよ。」と言われた。
その後、黒板に右の図を掲示した。
発問1 実は、この人もきちんと渦巻きを書こうとしました。でも、こんなふうにしか書けませんでした。
どうしてでしょう。
・手が不自由
・目が見えない人
・左手で・左手で書いた
などが出された。
「今,出されたのは全てちがいます。正解はこれです。」と言って、シンナーの入っている瓶を見せた。
(この渦巻きから入る実践,次の○、×をつける実践は、上本氏、森下氏の追試である)
(「保護者参観で行う、保健の授業」「原理原則トークライン」28)
これは、シンナーという薬品です。「知っている人」と尋ねると、半数くらいの子が手を挙げた。そこで、シンナーについて説明した。
シンナーは、、ペンキなどをうすめるのに使う、とても大切な薬品です。でも、体にはとても有害です。悪用して、ずっと吸いつづけていると手が震えてきて、このように渦巻くさえ描けなくなってしまいます。
シンナーを悪用して吸うと、どのようなことになるでしょうか。次の中からこれだと思うものに○をつけなさい。ちがうと思うものに、×をつけなさい。
@( )物が大きく見えたり、小さく見えたりする。
A( )本当にないものが見える。
B( )歯がぼろぼろになる。
C( )血液を造ることができなくなる。
D( )失明する。
E( )背が伸びなくなる。
F( )筋肉がつかなくなる。
丸をつけたこの数は、次のとおりであった。(38人中)
@35人A15人B16人C30人D8人E36人F35人
7つ全てに○をつけた子はいなかった。
「正解は、全部○です。」
というと、子どもたちから「え〜」という声が挙がった。「恐ろしい」と言った子もいた。
右の図(書く拡大図・着色したもの)を配り、説明した。
いちばん影響があるのは、脳です。
シンナーをずっと吸いつづけてきた人の脳は、普通の人の脳に比べて、萎縮して小さくなっています。
さらに、次のビデオ〔保健所から借りてきた)の途中部分8分低どぉを見せ、シンナーがどのようにして、脳を破壊するかを教えた。
『ダメ。ゼッタイ博士のゼミナール』〔麻薬・覚せい剤乱用防止センター)
ビデオを視聴した後、つぎのようなサイクル図を提示し、シンナーから離れなくなっていくステップについて説明をした。
@シンナーを最初に吸う。→ A気持ちのよい状態になる→Bシンナーの効き目がなくなり、気持ちが悪くなる
↑ ↓
Eシンナーを吸う。← Dがまんできなくなる← Cシンナーをやめたいなと思う
いちばん、簡単に、やめる努力ができるのは、何番のところですか。
@24人A2人B3人C4人D1人E2人であった。
理由のある子に言わせた。
理由を言ったのは、@のところに手を挙げていた子だけであった。
・最初の1回をしなかったら、後のこと〔症状)は起こらないから。
・最初断れば、深入りすることはないから
・何もやっていないときが、いちばn簡単に断れそうだから
こういった意見が出された。
最初に進められた時に断るのが、いちばん楽に、そして、簡単に断ることができます。後からやめようとも思っても、最初に断るときに比べて何倍も何十倍もの努力が必要だし、苦しみを味わわないといけなくなります。
この後、シンナーが最初に勧められるときの状況について説明した。
シンナーは、全く知らない人から勧められたり、することはほとんどないのです。とても、仲の良い友人や先輩などから勧められることがほとんどです。だから、その断り方がとても難しいのです。
こう話したあと、次のプリントを配り、場面設定をする。
5年後のあるとき、あなたが大の親友からシンナーを吸うように勧められました。
どういって断りますか。
Aのところに、言葉をそのまま書いてごらんなさい。
書かせたあと、ロールプレイで断る場面をやらせてみた。
教師が親友で、シンナーを勧める役をした。はじめのうちは、「ばか」などと言う言葉を使っていた子もいたので、そういった言葉は使わないように指示した。
さらに1歩踏み込んで、親友が「1回くらい、いいじゃないか。」と言い返してきた場合に、同断るかも考えさせた。
2人のプリントを紹介する。