虹色定期便 外伝


アスラが、何故この闘いをせねばならなくなったのか…
その、答えが小学館発行の『小六教育技術』の8月号に掲載されています。

題名は、虹色定期便/原作『プロジェクト・エデン』〜ミレニアム創生〜です。

登場人物
アスラミレニアム帝国の貴族の娘。新事実!アスラは手のつけられないお転婆らしい…
シアルフィアスラの住んでいる屋敷の家事をしきっている。お転婆アスラも彼女には頭があがらない
アスラの母科学技術研究所の一員でタイムマシンの設計者
ノルン西暦2120年・旧ユーラシア大陸・第18コロニーのリーダー。
ミレニアム帝国の原形を創った人。『建国の母』と言われている。
ヴァナ第18コロニーのサブリーダー。この人がいなければミレニアム帝国は創立されなかったであろう…
フェンリルレジスタンス討伐指揮とる将軍。結構帝国では、情報操作できるほど力があるらしい。

内容

☆罪深き白夜☆

アスラは、部屋でミレニアム帝国の歴史の書を読んでいた。
その書に書かれていたことは…西暦2045年、20世紀末の人々が恐れいていた
最終戦争がついに引き起こされた。
この最終戦争のことを『罪深き白夜』という。
この戦争で、人類の90%は死滅させてしまった。

この『罪深き白夜』を引き起こした原因はキルケウイルスだった。
キルケウイルスは、20世紀末に、日本の一都市に発生し、その爆発的感染力で
全世界に広がっていった。
20世紀末から21世紀初頭にかけて、自殺が急増したのは、キルケウイルスの影響だった。
そして、『罪深き白夜』の運命のボタンを押した人物もキルケウイルスに感染していたのである。

☆建国の母☆

アスラは、この歴史の書の付録のビデオディスクを見ることにした。
タイトルは『ミレニアム創生と栄光の歴史』だった。

西暦2120年。旧ユーラシア大陸・第18コロニー… このコロニーのリーダーをしているノルンは絶望感に浸っていた。
キルケウイルスに感染し、自殺する人々が絶えないのである。
確かに、若干23歳の、か弱い女性にリーダーの大役を任せるというのは
彼女にとっては残酷なことである。
しかし、彼女に頼らなければならない理由があったのである。
その理由とは、彼女は数少ないキルケウイルスに抵抗力持つ人間だったからである。
ノルンは、かつてはこのコロニーてリーダーをしていて
現在はサブリーダーをしているヴァナに
「だいたい、このコロニーにだって私とあなた以外にも抵抗力を持った人間は
もう幾人かいるはずです。なぜ私がリーダーに選ばれたのですか?」と言い寄った。
するとヴァナは、ノルンに言った。「ノルン。確かに今の人々を救えるのは、キルケウイルス
に抵抗する力を持った人間であることは間違いない。だが、もっと、大切な条件がある。」
「なんだというんです?」と言うノルンにヴァナは…
「人々を救いたいという気持ちだよ」
「人々を救いたいという気持ちがなければリーダーなど勤まらない。
私は君になら出来ると信じて未来を託したのだ…」
この後ヴァナは倒れる。ヴァナは癌に侵されていたのだった。
ヴァナは、リーダーを勤めながら仲間を救えなかった悲しみ…
若いノルンにすべてを託して、それを見届けられなかったくやしさを 残し死んでしまった。
ノルンは決意するキルケウイルスを退治するワクチンを見つけ出すことを…
しかし、そう簡単にワクチンは見つけることができなかった。
…が、感染条件は判ってはいたのである。
ウイルスは、人間が悩み苦しみ、それを解決しようという気持ちよりも、
逃げ出したいという気持ちが大きくなった場合に感染していく。
そして、ノルンは重大な決断をする。
それは、感情をコントロールしキルケウイルスに感染しないようにする方法であった。
会合で反対する人々に『必ず、ワクチンを見つける』を条件に了解を得たのだった。
この後、人々は感情を捨てウイルスに抵抗力のある人々がチームリーダーとなり指示を与えていく
システムが完成したのである。

☆帝国の創立…そして、変えられた道☆

アスラはディスクプレーヤーのスイッチを切り、再び歴史の書を読みはじめた。

第18コロニーでの会合は後に『ユグドラシル広場の決断』と呼ばれるようになる。
そして、各コロニーは合併しミレニアム帝国の原形を創っていった。
グループから国に拡大されるとともに、システムも変わらざるを得なくなっていった。
大きく変わったのは、人々の統治の仕方で、チームリーダーであった人々は
それぞれ領地を受け持ち個別に統治するようになっていった。
それを、ノルンの流れを組む総リーダーがまとめていくものである。
やがて、一つの国家になるにあたって、総リーダーは皇帝を名乗り
チームリーダーたちは貴族と称するようになっていった。
西暦2317年初代皇帝トール1世が即位しミレニアム帝国が誕生した。
8代皇帝頃までは『建国の母』と呼ばれたノルンの考え方をかたく守っていた…
だが、9代皇帝を境に考え方が変わろうとしていた。
争い事の元である悩みや苦しみもない今の世界が一番良い…
自由な意志は必要ないのではないのか…という考え方をするようになった。
そして、ついに『自由な意志』よりも『完全な平和』を選んでしまったのである。

アスラは、歴史の書を閉じた。
ノルンの目指したものより歴史が悲しいまでに曲がっていくのを見るのがつらくなったのである

☆アスラの決断、そして…☆

突如、サイレンがけたたましく鳴り響いた。
アスラは、窓から中庭を見た。装甲警備マシンが門を入ってくるのが見えた。
部屋に飛び込んで来たシアルフィの話によると、アスラの母が勤めている
科学技術研究所のタイムマシン実験場がゲリラの襲撃をうけたのである。
幸いアスラの母には無事だった。 ゲリラの話をするシアルフィが妙なことを言い出した。
キルケウイルスの特効薬が開発されたという話だった。
でも、これはデマだとシアルフィは言った。

アスラの母が実験場から帰ってきた。
そこには、軍服を着た母の姿があった。アスラは、その姿はあまり好きではなかった。
アスラの母は、帝国の最優先課題であるタイムマシンの設計をし稼動実験をしていた。
アスラは、母にキルケウイルスの特効薬について聞いて見た。
母は、開発されていないと言った。アスラが再度問い詰めると…
「開発されても、大量生産できないのだから…」と言った。
その言葉に驚いたアスラはさらに「大量生産できないって…まさか
本当に開発されているの?」と言い寄った。 その後は、アスラの母は、話をごまかしたのだった。
そこへ、反乱ゲリラが医学センターを襲ったとアスラの母に連絡が入って来た。
母の話によると、そこには大事な物があるらしい…。
アスラの母は、アスラから逃げるように医学センターに向かった。

アスラは、気がつくと屋敷を出て、雨が降る公園墓地のノルンの銅像の前に立っていた。
そこで、出版停止になったノルンの晩年について書かれている本を開いて読みはじめた。
そこには、「きっと、その人も悩んだり、苦しんだりすると思うのです。
でも、その時の気持ちこそが、人間が人間であるための大切なことであることを
忘れないでほしいのです。無理やりに造られた平和が必ずしも
真実に人間の生きる世界でないことを」というノルンが、時期総リーダーに
託したメッセージが書かれていたのだった。

アスラは、ノルンの銅像に向かい「私は、あなたの思いを引き継ぎたいと思います。」と決意を言い
雨の中に溶け込むように消えていった。
たが、その後アスラの行方がわからなくったのである。

それから、1年後アスラはレジスタンスに身を投じていた。
そして、しばらくして再びタイムマシン実験場が襲撃され
そのタイムマシンによってキルケウイルスが発生した時代へ送られた人間…
それが、アスラであった。
レジスタンス討伐指揮をとるフェルリン将軍は
他の貴族達にあたえる影響を恐れてその情報を封じたとまでいわれている。

これから、虹色定期便本編に入るのである。

この内容に、関しては物語を簡略化するためにある程度、私なりの解釈で書いているとこもあるので
間違った解釈をしているところがあるかもしれません。ご了承くださいませm(__)m



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