地域医療をどう守っていくのか。それを考える上で参考になるファイルとして、自治労の見解を掲載します。少し長い文章ですが御一読下さい。

「公立病院改革 ガイドライン」への自治労見解

 総務省は2007年12月24日「公立病院改革ガイドライン」(指針)を公表し各自治体に通知した。本ガイドラインは、「公立病院の役割りは、採算性等の面から民間医療機関による提供が困難な医療(@山間へき地・離島など民間医療機関の立地困難過疎地等における一般医療の提供、A救急・小児・周産期・災害・精神などの不採算・特殊部門に関わる医療の提供、B県立がんセンター、県立循環器病センター等地域の民間医療機関では限界のある高度・先進医療の提供、C研修実施等を含む広域的な医師派遣の拠点機能など)を提供すること、地域において真に必要な公立病院の持続可能な経営を目指し経営を効率化する」ことを目的にしている。

 このため、地方自治体は2008年度に「公立病院改革プラン」を策定(経営効率化は3年、再編ネットワーク化と経営形態見直しは5年程度を標準)することを求め、公立病院改革にかかる地方財政措置として、2008年度中のみの公立病院特例債の創設や病院再編や経営改革を条件とした地方交付税・特別交付税措置を講じるとしている。

 「公立病院改革プラン」では、@経営の効率化については、一般会計からの所定の繰り出後「経営黒字」が達成される水準を目途とし、経常収支比率・職員給与比率・病床利用率などに目標数値を設定し民間病院並みの効率性を達成すること、A再編・ネットワーク化については、地域医療計画との整合性を確保し、二次医療圏等の単位で経営主体の統合を推進し、機能分担と医師派遣の拠点機能の推進するとしてモデルパターンを示している。B運営形態の見直しについては、人事・予算等の実質権限と結果責任を経営責任者に一本化。選択肢として、地方公営企業法の全部適用、地方独立行政法人(一般型)化、指定管理者制度、民間移譲等を提示。あわせて、診療所化や老健施設、高齢者住宅事業等への転換なども含めた見直しを示唆している。

 本ガイドラインは、地域の医療サービス利用者・提供者の意見やニーズ、地域における医療基盤の根幹を支えている公立病院の持続可能性を優先したものとはいえず、自治体財政健全化法の下に、公立病院特例債・退職手当債等の財政措置によって、公立病院を統廃合や運営形態変更に追い込む内容となっている。

 しかし、公立病院の経営悪化は地方での医師不足の深刻化や病院事業をめぐる社会環境(医師研修制度の導入による医師不足、診療報酬引き下げ、自治体財政悪化など)によるところが大きい。医師や看護師確保対策など基本的対策を講じることなく、経営改革のみを急げば、結果として地域医療の崩壊や「医療の貧困」状況に拍車をかけることになりかねない。また、自治体病院の厳しい運営状況に追い討ちをかけ、安易な廃止・統合・民間移譲・運営形態変更を容易にする内容であり断じて容認できるものではない。

 自治労は、地域医療サービス確保と医師や看護人材の確保、公立病院が地域のセーフティネットとして果たす役割りをあらためて認識し、安定した地域医療体制確立と医療基盤の充実にむけ、地域の住民や医療提供者・関係者と連携して、全力で取り組んでいく。

2007年12月26日
全日本自治団体労働組合