特設 「テレビ台スピーカー」 の ページ
  【追記】 リア・スピーカー も
  


2011年現在、一昨年からのエコ・ポイント制度の効果もあってか、テレビと言えばすっかり液晶やプラズマといった薄型テレビを指すようになった。ブラウン管テレビを知らない子供もすでにいるかも知れない。

40インチ程度のテレビが人気サイズだと聞くが、一昔前の大画面テレビだった29インチ・ブラウン管に映るレターボックス映像の2.4倍もの面積になる。画面の迫力は段違いに増強されたことは言うまでもないが、一方音のほうは薄型のキャビネットのほんの一部を使って小さなスピーカー・ユニットが取り付けられているだけのため、音が映像の迫力に追いついていないのが実状。
それを解決するために、家電メーカーからは大型テレビに合わせたAVアンプ内蔵のテレビ台スピーカーが数多く発売されている。



ピュア・オーディオ用のメイン・スピーカーを自作する人の中には、テレビ用のスピーカーだって自作したいと思う人もきっといるに違いない。自作のテレビ台スピーカーというと、長岡鉄男氏設計の「凱旋門」(12センチ・フルレンジ FE127 3発使用)や「王座A」「王座F」(ともに、8センチ・フルレンジ FE87 3発使用)が思い浮かぶ。
これらはいずれも29インチ・ブラウン管テレビを想定した設計で、幅は70センチ。薄型テレビのスタンドの幅は大抵50センチもないので、幅1メートルある40インチ・テレビでもこれらテレビ台スピーカーの上に置くことは可能だが、リビング・ルームでテレビを観る際にはルックス的に違和感を感じるかもしれない。

  左の図は長岡鉄男氏設計 MX-127AV 「凱旋門」 図のテレビは29インチ・ブラウン管
   

    そこで、右の図は「凱旋門」の左右にASWウーハー(12〜13センチ口径のウーハーかフルレンジ
    内蔵)を新たに製作・ドッキングして大型化・ワイドレンジ化を図った案 「凱旋門プラス」(仮称)。
    図のように、大抵の50インチまでのテレビならはみ出さずに載せられる。横幅は130センチ。
    高域もスーパー・ツイーターに FT17H を追加して、40kHz以上まで拡張してみるのもいいかも。

    「凱旋門プラス」では、凱旋門本体は従来どおりのマトリクス接続で、追加のウーハーとツイーター
    は通常のステレオ接続で鳴らす。ASWウーハーは40Hz以下、スーパー・ツイーターは16kHz以上と
    いった、音像定位にはあまり関係しない帯域を再生するので、これでも特に問題は生じない。
    ウーハーのユニットが8Ωの場合、全体の総合インピーダンスは4.8Ω、6Ωウーハーだと総合で
    4Ωとなるが、能率がそこそこ高いので、普通のちゃんとしたプリメイン・アンプ(必ずアンバランス
    出力の機種であること)であれば、保護回路がはたらくことなく大音量で鳴らせる。

     ※ 「凱旋門プラス」の詳細を紹介するページを新設しました。 (2011/1/20)


「凱旋門」「王座」ともに、3発のフルレンジ・ユニットをマトリクス接続してアンバランス出力のステレオ・アンプで鳴らすことを前提に設計されていることから、少々特殊な構造のキャビネットとなっているため、センターと左右2本のユニットの動作が異なっている。
これらのテレビ台スピーカーが設計された頃は、まだDVDも登場する以前のLDの時代。サラウンド・プロセッサーでステレオ音声を擬似的に5.1ch化したサラウンドもあったが、ピュア・オーディオ用のアンプがそのまま使え、スピーカーの結線だけでサラウンド再生可能なマトリクス・サラウンドのほうが音質的にも音場感でも大きく上回っていた。

その後、ドルビー・デジタルやdtsといったあらかじめ5.1ch録音されているソフトも登場。技術が成熟するのに十分な時も過ぎ、5.1ch音声の音質やAVアンプも進化して、サラウンド効果とピュア・オーディオとしての音質を天秤にかけてみて、5.1chサラウンドのメリットを無視することができなくなっている。
さらに、今や無料のテレビ・チャンネルだけでも5.1chサラウンド番組が週に10本以上放送されており、それらの中には映像と組合わせて鑑賞する上ではかなりの高音質・広音場と感じるものもあって、これらを5.1chで楽しまないのはもったいない。テレビやレコーダーをAVアンプに光ケーブルで接続し、少し設定を行うだけでOKだ。
また、映画ソフトもブルーレイが登場し、DVD時代のドルビー・デジタルやdtsに比べて驚くほど音質が向上している。



5.1ch再生では、前方3chには同一機種のスピーカーを使用することが前提となっているため、「凱旋門」や「王座」のような構造を採ると、5.1ch音声がうまく鳴ってくれるか不安が残る。
そこで、今の時代、あえて自作でテレビ台スピーカーを作るとしたら、どういったものが適してるのかを自分なりに考えてみた。

といっても、そう大げさなものでもなく、まずは大型テレビに合わせた幅を確保。AVアンプで鳴らす5.1chサラウンドの前方3ch(フロント左右+センター)としての使用をメインに据え、サブ・ウーハーを省略してフロントchに合成しても支障ないように、低域の周波数レンジを十分に確保できるようにする。
また、機器を収納するスペースを左右に設け、片方に放熱の必要なアンプ、もう一方にはプレーヤーやレコーダーなどを積み重ねて設置する。

機器を置くラック・スペースの幅は50センチあればまず問題はないと思う。最近のAVアンプやレコーダー、プレーヤーの幅を調べてみると、44センチよりも広いものは見当たらなかったが、高級オーディオ機器や往年のサイド・ウッド付きプリメイン・アンプを入れようと思うと最低48センチ必要になる。

また、ブラウン管テレビはその形から「箱」というイメージがありテレビ台も「箱」のイメージのするものがピッタリだったと思うが、画面は大きいが圧迫感は少ない「板」のイメージのある薄型テレビのテレビ台は、ルックス的に「板」で構成された「棚」のイメージのほうが合っているように思う。



「凱旋門」のように3本のユニットで構成するマトリクス・スピーカーとしてプリメイン・アンプ(繰り返しになるが、アンバランス出力の機種に限る)でも、もちろん鳴らせる。この場合は左右のユニットには低域があまり入力されないため、キャビネットの容積が過大となり低域がダラ下がりになる公算大なので、トーン・コントロールを活用してロー・ブーストする。
AVアンプではリア・スピーカーを省略するバーチャル・サラウンドも選べるので、当初はテレビ台スピーカーだけで鳴らしても良いし、リア・スピーカーに10〜12センチ・ユニットを使った小型バスレフ・スピーカーでも用意すれば、簡単に5.0chサラウンドが実現できる。

小型なリア・スピーカーを、耳の高さよりも高い位置に設置するには、壁掛けや天吊りが必要になることもあると思うが、だったら床置きのトールボーイ・スピーカーのほうがかえって都合が良いという場合には、このページの下のほうで紹介するリア・スピーカーが良いと思う。以下のテレビ台スピーカーとの組み合わせだけでなくとも、十分に実用になるだろう。



次に気になるのが、画面の面積とスピーカー・ユニットの口径の関係。 32インチ・テレビを基準にすると、40インチの面積はその1.56倍、46インチでは2.06倍、54インチともなると2.85倍にもなる。
32インチに10センチ口径を使うのなら、40インチで12センチ、46インチでは14センチ、54インチでは17センチ口径のユニットが必要ということになる。

使用するフルレンジは、軽量振動板と強力磁気回路の効果でスピード感があり空間に音が散乱する傾向が比較的強く、映像やサラウンド再生との相性が良いフォステクスの16センチまでのフルレンジ・ユニットから選ぶ。20センチ口径になるとツイーターが必要となり、バッフルに6個のユニットをうまく並べられないため除外した。

選択するユニットによって、周波数特性だけでなくテレビ番組や映画で人の声をしっかり聴き取るために特に重要となる中音域の音色や音質に違いが出てくるため、リスナー自身が音の好みをわきまえておくことも必要だと思う。
その上で低音がダラ下がりになった場合には、アンプのトーン・コントロールでロー・ブーストしてフラットに近付ければ良い。ピュア・オーディオでもないし、100インチを超える大画面向き大音量再生を狙うわけでもないので、これで問題はない。テレビ台スピーカーなのだから。



設計は、以下の

  ・ 32〜37インチ  ・ 37〜42インチ  ・ 42〜46インチ  ・ 50〜54インチ

の4つのカテゴリーに分けて進めることにした。機器を設置するスペースは大きくは変えられないので、テレビ台全体の横幅によって外観やダクト開口の位置がそれぞれ異なるスピーカーとなった。機器を入れるラック部分の幅は50センチと48センチのものがある。なお、機種名の数字は、テレビの大きさとの関係を分かりやすくするために、各機種の横幅(センチ)とした。

  ※ それぞれの画像は、一旦保存してブラウザで開くと、577 X 492 ドットで見られます。

32〜37インチ
 TV-105  図のテレビは 37インチ

  
  自作ネット装着時 (両サイドからサンドイッチする板材によって、ひし形に変形するのを防止)

      幅 1050mm 高さ 470mm 奥行き 450mm

       ラック部 幅 480mm 高さ 270mm(左右各1)
   
      ダブル・バスレフ型 (ダクト開口は、上部ボックスの下面後縁中央)

      Fostex FF105WK または FE103En 3発

      15mm厚サブロク合板 計2枚

  
  フォステクスの純正グリル KG810 装着時



37〜42インチ
 TV-117   図のテレビは 42インチ

  
  
  自作ネット装着時

      幅 1170mm 高さ 450mm 奥行き 460mm

       ラック部 幅 480mm 高さ 240mm(左右各1)

      ダブル・バスレフ型 (ダクト開口は、中央の柱状部前面の縦スリット)

      Fostex FF125WK または FX120 または F120A または FE127KO 3発

      15mm厚サブロク合板 計2枚

           ※ FE127KOは、秋葉原のコイズミ無線で取り扱い中
             ネット通販でも入手可能。(FE127Eの後継機)


  
  フォステクスの純正グリル K312 装着時



42〜46インチ
 TV-129 「パルテノン・ミニ」   図のテレビは 46インチ

  
  フォステクスの純正グリル KG816 装着時   (バッフルの高さがギリギリなので、自作ネットは装着しづらい)

      幅 1290mm 高さ 450mm 奥行き 420mm

       ラック部 幅 500mm 高さ 220mm(左右各1)

      バスレフ型 (ダクト開口は、3本各々の脚部背面下部)

      Fostex FF165WK 3発 (ツイーター [FT28Dなど] の追加が必要)
           FE167E  3発

      15mm厚サブロク合板 計2枚




50〜54インチ
 TV-135 「パルテノン」  図のテレビは 52インチ

  
  
  自作ネット装着時

      幅 1350mm 高さ 500mm 奥行き 455mm

       ラック部 幅 500mm 高さ 215mm(左右各1)

      バスレフ型 (ダクト開口は、3本各々の脚部背面下部)

      Fostex FE166En または FE168EΣ 3発

      15mm厚サブロク合板 計3枚

 
  フォステクスの純正グリル KG816 装着時



横幅によってそれぞれに形状が異なるが、どれもそれなりにまとまりのあるテレビ台スピーカーになったと思う。しかし、今のところ自分で使ってみたいと思っても作れない。 というのも、わが家のテレビはその昔作った幅126センチのオーディオ・ラックの上に載っており、テレビを観る際にはその両サイドに据えたバックロード・ホーン「BH-1025S」、リア・スピーカーには6N-FE103を取り付けたバスレフ・スピーカーで4.0ch再生しているためで、新たにテレビ台スピーカーを作りたいと思っても置き場所がないからである。

※ いざ製作にチャレンジしてみたいという方がおられましたら、図面をお送りしますので、
   こちらのページ からご連絡ください。

(2011/1/5)



【追記】 リア・スピーカー について

リア・スピーカーを壁や天井に取り付けられないとか、ある程度本格的なリア・スピーカーが欲しいといった場合は、10センチ・フルレンジを使った全高120センチ、ユニットの高さが110センチ程度となるトールボーイ・スピーカーが良いだろう。
一台のキャビネットにユニットを一発取り付けたタイプ、または、サービス・エリアの拡張を狙って一台に2発取り付けたタイプを左右で2台置くことができれば、テレビ台スピーカー用としては万全。フロントのユニットが16センチ以上の場合は、2発版のほうがバランスが良いと思う。

以下の2機種は、ともに FF105WK または FE103En が使用できるダブル・バスレフ型のリア・スピーカー。



10センチ・フルレンジ 1発版 リア・スピーカー
 DBR-1003R

   
  ダクト開口は背面 (転倒抑制のために、背面下部から砂利などを入れるデッド・スペースを設けた)

      角柱部分 幅 140mm 奥行き 165mm 高さ 1200mm

      ベース部  幅 210mm 奥行き 235mm 高さ 15mm
   
      ダブル・バスレフ型 (ダクト開口は、背面下部)

      Fostex FF105WK または FE103En 1発

      15mm厚サブロク合板1枚で キャビネット2台分



10センチ・フルレンジ 2発版 リア・スピーカー
 DBR-1002R

   
  ダクト開口は上面 (転倒抑制のために、背面下部から砂利などを入れるデッド・スペースを設けた)

      角柱部分 幅 230mm 奥行き 230mm 高さ 1190mm

      ベース部  幅 300mm 奥行き 300mm 高さ 30mm
   
      ダブル・バスレフ型 (ダクト開口は、上面)

      Fostex FF105WK または FE103En 2発

      15mm厚サブロク合板1枚で キャビネット1台分



テレビ台スピーカーのリアとしては手が込みすぎているかもしれないが、10センチ・フルレンジで低域の再生レンジを確保するために、1発版、2発版ともにダブル・バスレフ方式のキャビネットとした。
ユニットはFF105WK、FE103Enのどちらでも使えるので、テレビ台スピーカーなどの前方3chのユニットに合わせて選択する。
また、1発版だとサブロク合板1枚で左右2台、2発版では合板1枚で1台と、製作コストの面にも配慮してみた。

1発版のほうでは板取りの都合などでダクト開口は背面にあるが、2発版では天板にダクト開口を設けたことで、リスニング・ポジションからみると仮想点音源となり、BH-1026Sでも得られたように音場や移動感の再現性が向上する効果が期待できる。また、通常のステレオ再生用として、広い空間で静かにBGMを鳴らすなどの用途にも良さそうだ。

前方3chのユニットが12センチ口径の場合、振動板面積は3発で200cm2なので、リアはその半分の100cm2あれば間に合いそうだが、これはちょうど10センチ・ユニット2発分に相当するので、1発版のリア・スピーカー2台で計算が合う。
前方が16センチ口径だと、3発で400cm2。その半分だと10センチ・ユニット4発分の200cm2となり、2発版のリア・スピーカー2台または1発版が4台ということになる。設置位置や配線のわずらわしさを思うと、2発版のほうが都合が良いのではないだろうか。

※ これらのリア・スピーカーも製作にチャレンジしてみたいという方がおられましたら、図面をお送りしますので、
   こちらのページ からご連絡ください。

(2011/3/21)



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