いろいろ試聴記


 0dBアンプ  UT-12k     設計・製作 UTiCd氏


       このサイトの読者 UTiCd氏からお借りしたちょっとした変わり種のアンプ。
       市販のメーカー製ではほとんど見かけない入力電圧を増幅しない0dBアンプです。





天板を外した内部の様子。左右チャンネル、2段
の増幅段それぞれにトランスから独立している
4トランス構成のようです。
初段・終段の整流用のダイオードと初段のフィル
ター・コンデンサーはそれぞれのトランスの二次
側の端子に直付け。

多少窮屈に見えますが、最初にケースを選択して
構造設計を進めていったからとのことです。

本機の回路図は設計者 UTiCd氏のサイトで公開
されています。

  * このページの一番下を参照してください。
     設計者からのコメントもあります。




大きさの比較のためにCDソフト(LPではなく・・)を
隣に置いてみました。
体積はVHSテープ2本分程度といったところでしょう。

CDプレーヤーの最大出力電圧2Vが入力されても
8Ωスピーカーで0.5W+0.5Wの小出力。4Ω付加なら 1W+1W 稼げてもそれ以上入力するとアンプの破壊
が心配。

普通に考えて、この大きさのアンプからまともな音
が出てくるとはとても思えないのですが・・・。




 音の印象  【 試聴の直後UTiCdさんのサイトの掲示板に書き込んだ印象をまとめてみました。】

実は我が家に到着した状態では、枠を感じさせないのびのびとした鳴りっぷりは得られた ものの、設計者のUTiCd氏が発送直前に音質をあまり吟味せずに取り付けた(初回の試 聴後判明)という各チャンネル1個ずつの電解コンデンサーのために全帯域でノイズっぽ さが出ており、本領発揮とはいかなかったようです。また、このコンデンサーは取り外し た時が一番ストレートな音が出てくるということでもありました。そして翌日このコンデ ンサーを取り外しての再試聴。この音には正直言って驚きました。以下はその状態での試 聴の感想です。

試聴に使用したスピーカーはFE168SS使用 能率96dB/W・m のバックロードホーン。試聴距離は2.2mでした。


メインシステムで日頃使っているメインアンプ LHH-A700とアッテネーターの変わりに このアンプを使い。CD-10の天板に載せている鉛板の上に直置きしFケーブルの自作ピン コードで接続しての試聴。電源コードも3.5スケア・ビニール・キャブタイヤとホスピ タル・グレード・プラグによる自作に取り替え、鉛のインゴットを1本だけ天板の上に 載せ(2本載せるとかえって悪くなるようでした)、じっくり聴きこんでみました。


試聴時のセッティング。とにかく小柄なそのボディ。

昨年Lo-DのHMA-9500が壊れて以来、こんなに真剣にオーディオの音を聴いたのは久しぶり です。音色は日立の最初期のアルミハウジングのMOSのものに近いと感じました。また、 当然のことでしょうがクリップしない入力レベルであれば( 出力電圧2Vの標準的なCDプレ ーヤーであればまず大丈夫 )ボリュームMAXが一番音が活きています。

アンプによって付加される音の輪郭線や音場の枠が皆無で、非常に立体的かつ表情豊かで 厚みもあるのに重くならず繊細に散乱する音が聴けますし、「日本爆音探訪」というソフト では小音量での再生であるにもかかわらず、FE168SS 1発のみ(当日、スーパーツイー ターは外していました。)使用のホーン長2.9mのバックロードホーンしか鳴らしてい ないにもかかわらず、炸裂音で生じるハイスピードな気圧変化(超低音)が鼓膜を圧迫 してきます。 普通のアンプなら鼓膜を圧迫してくるどころか聞えても来ないでしょう。サラウンド・ スピーカーのマトリクス接続もOKということで、試してみましたがこれもかなりの効果 が出ました。

さらに音楽再生でもそんなに大きな音量は出せないのに、好きな音楽を聴いていると汗ばん でくるくらい、音楽の躍動感や表情が非常によく伝わってきます。オーディオで音楽を 聴く際にハイスピードというとメリハリを強調した肩肘張ったサウンドなんてのを思い起こ すことも多いかと思いますが、このアンプの音はそんなものとはまったく無縁で、ハイス ピードだからこそ出せる優しさといった要素まで極めて当たり前に出してくるようです。

我が家のCDプレーヤーはかなり前のCD-10という機種ですが、最近のVRDS-25XSといった 高忠実プレーヤーと組み合わせればさらにこのアンプの潜在能力が引き出せるのではない かと思います。

まるでUTiCdさんからお金でももらっているかのような誉めようなのですが(笑)、この傾 向の音が大好きなわたしにとって、これは驚異的なアンプです。なんといってもこのアンプ の大きさはVHSテープを2本重ねた程度の体積しかないのですから。 録音レベルが高めのソフトだと我が家の試聴環境ならある程度音圧感も楽しめる音量が出せ るのですが、録音の平均レベルが低く時折高レベルの音が入っているというソフトでは、音 量感が不足するのがちょっと残念という気もします。プレーヤーとアンプの間に中出力の プリアンプを入れるようにして0dBアンプを大出力対応のものに変更してしまうと、やっぱり この音を出すのは無理なのでしょう。。。

試聴の最後にボディについていたゴム脚が気になっていたので、転がっていた合板の小片で ボディを支持したところこれまた驚くほど透明感が向上。シンプル録音でさらに威力を発揮 する音になりました。




画像の中央の円筒形のパーツが最終的にこの
アンプの音質の鍵を握るというイワク付きのコン
デンサー。
回路がシンプルなゆえにこのコンデンサーの有無
で音質が大きく左右されていたようです。

このコンデンサーがないと多くのリスナーには音が
ストレート過ぎるということから、設計者のUTiCd氏
としてはこのパーツを付けることを前提に品種の
吟味をしていきたいとのこと。

これはオーディオ全般で避けては通れない問題だ
といえるでしょう。







このアンプの小ささがよく分かる。 なんとパーツ代1万円でできる
高音質アンプを目指したためコストの制限からこの大きさに。実際
にパーツに掛かった費用は\12000だということ。 市販オーディオ
機器の価格の概念はこのアンプにはまったく通用しないようだ。 


本機の回路図は設計者 UTiCd氏のサイトで公開されています。

UTiCd氏のサイト What's UTiCd    回路図は こちら

回路には一部変更があるということです。設計者からのコメントを頂きました。

設計者からのコメントはこちら。

 

2000年4月14日

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