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ふた昔以上も前ならかなりナロー・レンジな録音のソフトが多く、特にポップス
音楽のソフトにはAMラジオがステレオ化されたんじゃないかと思える程度の
音質のものもそう珍しくはなかった。最近ではミキシング時の加工処理の技術も
向上して、レンジも広く確保され繊細感や音の厚み、音場感などでリッチな雰囲
気の楽しめるソフトが多くなってきていると感じる。
また、音楽ソフトだけでなく映画ソフトでもサラウンド音場の密度感や透明感、
前後左右上下の音のつながりも初期の5.1chソフトに比べ大幅に充実して、
これまたリッチなサラウンド空間を味わうことができる作品が多い。 このリッチな雰囲気にさらにもう一味追加するのが、、30Hz近辺から下 の重低音。4弦のエレキ・ベースやコントラバスの最低音(ミ)は40Hz だが、低いほうにもう1本弦が多いコントラバスの最低音(ド)は32Hz。 シンセサイザーによるベースだともっと低い音まで入っていることもある。 部屋中の空気を鳴動させるパイプオルガンの重低音も30Hzあたりの帯域で あるし、映画作品でも爆発シーンだけでなく静かなシーンでも場の空気感を 表したい場面などでこの帯域の音が大活躍し、リアルな音場を演出する。 といっても、ソフトによってはこの帯域がほとんど含まれていないような ものもあるから、常にサブ・ウーハーが役に立つといったわけでもないの ではあるが・・・。 これまでに20p2発版の大型バックロードに組み合わせるこれまたタンス のように大型の20p2発版サブウーハーDRW−2001T、ブックシェルフ・タイプの小型バックロードに組み合わせるトール ボーイのサブ・ウーハーDRW−1205 を紹介したが、今回はもう少し一般的な普通のスピーカーと組み合わせて、 音楽や映画の再生が手軽に楽しめるサブウーハーを作ろうと思い立った。 駆動力の大きい10pフルレンジであれば本格バックロード・キャビネットに 取り付ければ40Hzあたりまで再生可能だし、最近の市販スピーカーは小型 であっても能率(中音域の音圧の測定値)を80dB台半ば程度に低く抑える ことで、相対的に低音域を40Hzあたりまでフラットに伸ばしているものが 多い。そのため、組み合わせるサブウーハーは30Hzあたりまで問題なく再生 して風圧や場の気配を十分に楽しめるものにしたいが、キャビネットはそんなに 大きくしたくない。 そんなこんなでユニットには手頃な価格で手に入り機種も多い標準的な16p ウーハーを想定。キャビネットはダクトのチューニング周波数より下の帯域も 空振りすることなく再生することが期待できて、前述の2機種で採用したDRW (ダブル・レゾナンス・ウーハー)方式よりもキャビネットを小さくできる ASW方式とした。 |
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ASW(アコースティック・サブ・ウーハー)方式は、バスレフ型スピーカー
のユニットの前面を密閉箱で覆い、バスレフ・ダクトから出る低音のみを利用
する方式。 密閉箱でユニットを覆うことで、バスレフ型に比べややソフトな音になるが、 キャビネット方式自体が−12dB/oct程度のアコースティック・フィル ターとして働くため、強力な電気的ハイカット・フィルターを必要としないこと が音質的に有利となる。 また、一般のバスレフ型スピーカーだと、ダクトを通して振動板の表裏の音波が 打ち消し合い、ダクトのチューニング周波数よりも下の帯域で空振りを起こ して音波にならなくなるが、ASW方式やDRW方式だとこの空振りが抑えら れるので、さらに下の周波数の再生も音圧は下がるが可能になる。 ASW−1603の設置スペースは30cm X 30cm、天板までの高さは 71.6cm。 小型ブックシェルフを載せればツイーターの高さが90cm前後になり、 「重低音が出るスピーカー・スタンド」として使うにもちょうどいい。 バスレフ・ダクトの出口を斜めカットしているのは、自然界の低音に似せて できるだけ広い方向になめらかに低音が拡散することを期待してのことだが、 ルックス的には好みが分かれるかもしれない。 また、狙ったわけではないが、何らかの都合でキャビネットを上下さかさまに 置くことになっても、ダクトの開口がふさがってしまわないというメリットも あるにはある。 |
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わがやのメイン・システムで使っている DRW−1601も16cmユニットを使用するサブ・ウーハーだが、 こちらは設置スペースが30cmX33cmで高さは185cmある。 これはDRW方式が同じユニットに対してバスレフ型の3倍程度の大きさが 必要になるダブル・バスレフ型を応用していることに加えて、 DRW−1601が大型バックロードと組み合わせることと強力な磁気回路を 持つ軽量振動板の16cmフルレンジの使用を想定した設計となっているから なのだが、ASW−1603ではウーハーらしいウーハーの使用が前提であり、 組み合わせるメイン・スピーカーも小型なものを想定した上でのサイズとなって いる。 当初はキャビネット1台を15mm厚のサブロク合板1枚で作ろうと思ってい たのだが、板取りをしてみるとかなり余りがでる。そこでコスト削減を狙い 12mm厚合板に変更、補強をかなり多めに入れることにした。 また、上の画像では黒い塗装を施しているが、粗目、中目、細目のサンド・ ペーパーで下地を作り、100円ショップで買ってきた習字用の墨汁で着色。 その上から液体ワックスを掛け、乾燥後乾いた布で磨いて完了。お手軽ロー コストだが、板材の木目を活かすこともできそんなに安っぽくも見えない (んじゃないかと思う・・・)。 |
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本体の大きさ 幅 300 X 高さ 716 X 奥行き 300 (mm) 設計図・板取り図をご覧になりたい方は、こちらから。 |
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下部の密閉型キャビネット。こちらにユニットを取り付ける。ウーハーの 抜板も底板の補強材として活用。 ユニットを取り付けるバッフルは釘打ちすると平面性が損なわれて上部 キャビネットとの間でエア漏れが生じる恐れがあるので、接着剤と重し のみで固定する。 実効容積は17.5リットル。16cmウーハー用の密閉箱なら10リッ トル程度でも実用にはなるが、サブ・ウーハーの低音も自作ならではの スピード感を重視したいため、余裕を持たせた設計にする。 |
上部のバスレフ型キャビネットはダクトや補強材を除いた実効容積が
27.6リットル。標準的な16cmウーハー用バスレフ箱のおよそ
2倍と、こちらもたっぷりと余裕をみて音のスピード感を重視してい
る。 ダクトはスリット状で断面積54cm2と16cmウーハーの振動板 面積(約130cm2程度)の40%前後。L字に折れ曲がり実効長は 25cm。計算上のチューニング周波数は42Hzになる。 こちらも下部キャビネットと接する底板は釘打ちしないほうが良い。 内部は補強材をベタベタと貼り付けて強度を確保。合板なら12mm厚でも このくらい補強すると結構強い。小型スピーカーを載せることも想定して いる天板は大半が24mm厚。 |
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| 上下のキャビネットを重ねて(接着はしない)の内部構造。折れ曲がった ダクトは不要帯域の漏れの抑制のほかに、キャビネットの補強にも一役かっ ている。 | 塗装前の状態。完成後では塗装が困難なダクトの内部のみ、前もって塗装を 施しておいた。 |
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ウーハー・ユニットはたまたま手持ちにあった「FW168N」を使用。 このウーハーは磁気回路が強力だが、振動質量が28gと大きめでその割 に最低共振周波数は40Hzとそんなに低くない。 ASW−1603のキャビネットはFW168N専用というわけではない ので、ちゃんとオーディ用に真面目に設計された16cmウーハーなら 大抵の機種が使えると思うが、長大なバスレフ・ダクトをドライブする 必要があるので、できれば磁気回路が強力で加えて不要帯域の漏れが 少なくなる能率(中音域を測定した値)が低いウーハーが用意できれば、 それに越したことはない。 |
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1. 実験的に、吸音材ゼロ、コイルでのハイカットもしないスルーの状態での 測定したのが「F特1」。ダクトの開口は前面に持ってきている。 ダクトの効きが良く25Hzの音圧も十分あり低音がモリモリ出てくるが、 定在波の影響で中音域に裾野の広いピークが発生。これがダクトから盛大に 漏れてきて聴感上でもかなり耳ざわり。これではちょっと実用的ではない。 2. 次に、これまた100円ショップで手芸用に売られている化学繊維の密度の 低いワタを吸音材として利用。吸音効果はほどほどだが、ヌケが良くさわや かな傾向の音になる。 密閉箱の下部キャビネットはユニットに掛からないようにキャビネット内部 の全面を覆うように充填。バスレフ箱の上部キャビネットは、内部の対向する 面の片方ずつに貼り付ける。そうして測定したのが「F特2」。 ダクトの効きに影響が出ることなく耳ざわりな定在波が大きく減衰。低音は 十分力強く、メイン・スピーカーといっしょに鳴らす場合にはこの状態でほ とんど気にならないと思う。もっとちゃんとした吸音材を綿密に配置すれば、 中高音の漏れはさらに減るはずだ。 また、AVアンプのサブ・ウーハー用端子からの低域のみを入力する場合に は、吸音材の量を減らしてスピード感を向上させることもできると思う。い ずれにせよ、本機ではキャビネットを上下分割しているので、吸音材の調整 は完成後でも非常に容易にできる。 3. 吸音材処理後、さらに3.5mHの空芯コイルでハイカットしたのが「F特3」。 計算上では8オーム・ウーハーに対して360Hzあたりから−6dB/oct で減衰するフィルターとなり、不要な帯域はさらに低下する。 しかし、コイルの直流抵抗分の影響で聴感上のスピード感が一歩後退。データ 的には断然こちらのほうが優れていると言えるが、実働上では吸音材処理のみ の場合と一長一短という気がする。組み合わせるメイン・スピーカーの音質と 合わせて判断すると良いのかもしれない。 また、今回ハイカットに使ったコイルはかなり前に購入したもので当時1個 3,000円程度だったが、現在では世界的な金属高騰のあおりも受けて1個 7,000円程度するので、場合によっては使用するウーハー・ユニットより 値段が高くなってしまうことも考えられる。 コイルを入れるかどうかは、スルーのままメイン・スピーカーと組み合わせて ダクト開口の向きを変えるなどしながらしばらくの間鳴らし込んだ後で決めると 間違いがなさそうだ。 |
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本機のようなアンプが内蔵されていないサブ・ウーハーの場合、メイン・スピー カーと並列接続して音圧のバランスがとれれば1台のアンプで簡単に鳴らすこと ができ問題はない。 最近多い83〜88dB程度の能率が低いブックシェルフ・スピーカーの低域を グンと拡張したい場合は、この使い方で十分に威力を発揮すると思う。メイン・ スピーカーの音圧がやや高めの場合には、インピーダンス4Ωのウーハー・ ユニットを使えば2倍のパワーが入り、サブ・ウーハーの能率が3dB上がっ たことと同等になる。 もっと能率が高いメイン・スピーカー、例えば能率が96dBあるスワンと並列 接続で鳴らしてみたところでは、残念ながら能率差がありすぎてサブ・ウーハー 追加の効果はほとんど感じられなかった。 数字の上では96dBは例えば86dBよりも10(dB)高いだけだが、 96dBのスピーカーに20W入力して出ている音量は86dBのスピーカーに 200W入力しないと出てこない。(もちろん「入力できれば」の話だが、試し に入力してスピーカーを壊してしまわないように。)つまり10dBの差はパ ワーの差で10倍、6dBの差でも4倍のパワーの差となる。 この能率差を克服するには、サブ・ウーハー用にゲインが大きく音量調節機能の あるアンプを別途用意して鳴らすといった使い方が必要になる。 サブ・ウーハーの接続を想定したプリ・アウト端子が付いているプリメイン・ア ンプやAVアンプをメイン・スピーカー用に使っている場合には、それを利用し て簡単にサブ・ウーハー用のアンプを接続できるが、サブ・ウーハーにはメイン ・スピーカーの数倍以上のパワーが入力されることになるので、耐入力の大きな ウーハー・ユニットを使いたい。 さらに、プリ・アウト端子がない大半のプリメイン・アンプの場合には、特殊な フィルター・ケーブルを作る必要があり機器の条件も接続法もややこしくなるし、 そこまでするならもっと能率の高い別のサブ・ウーハーを使ってメイン・スピー カーと並列接続する方法を採ったほうが良いとも思うので、ここでは省略する。 |
2009/8/13
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