自作スピーカー・ギャラリー


10cm口径フルレンジ編 その2

それでは一体「バックロード・ホーン」とはどんなものなのか?
2mから3mの長さを持つ大きな角笛(ちょうどアルペン・ホルンのような
もの)を想像していただきたい。
人が口を付ける吹き口にスピーカー・ユニットが付き、ユニットの裏側の
音をその角笛の中を通過させて空気中に放出するキャビネット形式を
「バックロード・ホーン」という。ユニットの表側の音は、そのまま
空気中に放出され、人の耳に届く。
しかし、アルペン・ホルンのようにまっすぐでは、どうにもこうにも部屋に
収まりきらないので、ホーンを折り曲げて箱形のキャビネットの中に納めら
れるように設計する。
前出の「スーパースワン」では、ユニットに近い部分のホーンを箱から
突き出させて、ユニットの高さと音場感を確保している。さらにホーンの
出口はスピーカーの背面にあり、ホーンから放出される中音がユニットの
音と干渉することを低減させている。
結局は楽器の構造を応用してキャビネットとしているが、そのことは通常の
バックロードホーン以外のスピーカーでも同じで、密閉型はティンパニ
様に1枚の皮を、バスレフ型は大太鼓などの2枚の皮を張ったドラムの
応用ということになる。


BH−1010V

この機種は、わたしの設計


まずはルックスが問題になると思うが、なぜこんな形をしているのか?
ヘッドがボディーから突き出ているのは「スワン」同様に音場感の確保のため。
ボディー最下部にホーン開口があり、ホーン全体の長さを確保するために
「スワン」ほどネックを長くすることはできない。またセッティングを考慮して
前面開口とし、出口にはくさび形のスペーサーを挿入。側板の補強とホーンの
癖の低減を狙ってみた。ホーン長は2.8mある。
写真で使用しているユニットは、キャンセリング・マグネットで磁束密度を上げた
フォステクス 6N−FE103。その後設計当初のユニットFE108Σに交換。
音はすっきりしており、細かい音が良くでる。音場感も上々。低音は「スワン」に
比べるとやや弱いといった感じ。ソフトを選ぶ傾向はあまりない。このタイプの
バックロード・ホーンは結構音質的にも設置条件でもメリットが大きかったので、
このルックスを受け入れられる人向けに、ユニットを換え7組設計・製作した。
表面にはユーザーからの要望で、部屋の壁に合わせてビニール製の木目の
壁紙を張った。わたしが表面仕上げをするならこれが一番無難なようだ。

  本体の大きさ  幅 280 X 高さ 975 X 奥行き 415 (mm)

        設計図・板取り図をご覧になりたい方は、こちらから。




BH−1202K

この機種は、わたしの設計


上に紹介した機種と同様のコンセプトで、フォステクス FF125Kを使用
したバックロード・ホーン。外形は似ているが違っている部分もある。
上記の機種はボディー内でホーンは上下に走っているが、本機では前後
に走っている。その理由はヘッドの奥行きが長くなったため。
この機種で初めてFF125Kを使ってみたが、1個 \4,200とは思えないパ
フォーマンスにびっくり!!。FE108Σ(\7,200)よりもFE108S(\12,000)
との比較ができるハイCPユニットといっていいだろう。
純粋にオーディオ的な見方をすれば繊細さや分解能はFE108Sに1歩譲る
が、例えば一般の音楽ファンが中庸の音楽ソフトをいい音で、かつ周辺機器
の価格も中庸なもので楽しみたいといった場合、最適なユニットとなりうる。
しかし、残念ながらそういうユーザーはスピーカーを自作したりはしない。
長岡 鉄男氏の設計でこのFF125Kを使ったD−100という比較的作り
やすいバックロード・ホーンもあるのだが、それでもスピーカー工作は取っ
つきにくいのではないだろうか。やはり残念だ。

  本体の大きさ  幅 260 X 高さ 965 X 奥行き 460 (mm)

        設計図・板取り図をご覧になりたい方は、こちらから。


「10cmフルレンジ編 その3」
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