自作スピーカー・ギャラリー


10cm口径フルレンジ編 その4


圧倒的な大音量再生を狙うのであれば、10cm口径のユニット(フルレンジでも
ウーハーでも)は適していないだろう。しかし、多くのリスナーはいってみれば、
中音量派か小音量派。やはりご近所に気兼ねして、音圧に陶酔できることなど
滅多にないのではないか。そんな環境の中では、10cmフルレンジで再生でき
る「比較的大きめの音」であっても十分に「異常な大音量」ととられてしまう。
また、10cmフルレンジ1発であればバックロード・ホーンといえども比較的工作
は容易であり、いざとなれば一人での組み立ても不可能なことではない。16cm
や20cmフルレンジを使うときほどの事前の覚悟(?)も必要なく気軽に挑戦できる
といったところも魅力の一つだろう。
10cm口径では本格オーディオには役不足だと思っている方も多いだろうが、い
ざ使ってみると意外に奥深い何かがあるものだ。


P−1200

この機種は、わたしの設計


通常、共鳴管スピーカーをメイン・スピーカーとして使用する際には、20cm
か16cmフルレンジ1発、または12cmフルレンジ2発というのが相場だが、
この機種はなぜか12cmフルレンジ1発。
使用ユニットは、 フルレンジに フォステクス FF125N を、ツイーターには
テクニクスEAS−5HH10 のブラック・タイプ。
写真ではスピーカーの横にスクリーン(100インチくらい)が写っている。もとも
とシアター用として製作したスピーカーではなかったのだが、のちにユーザー
が液晶プロジェクターを購入したので、シアター・システムになってしまった。
ズーム機能のないプロジェクターを邪魔にならないように六畳間の短辺の壁
際に置き、反対側の壁に投射すると写真のようになる。もし先に製作したスピ
ーカーの幅があと10cm広いタイプであれば、このような置き方は実現不可
能。偶然とはいえ不思議なものだ。左の写真でスピーカーの最頂部が切れて
いるが、これは部屋が狭くてカメラを十分に引けなかったからである。
シアターのサウンド・システムとして、この共鳴管スピーカーのほかに、リア・ス
ピーカー用に同じ FF125N を使用したバックロード・ホーン [ 高さ60cm
幅24cm 奥行き30cm ] と、これまた FF125N を使用してDRW方式の
サブ・ウーハー
[ 高さ63cm幅24cm 奥行き35cm ] を作った。サブ・ウー
ハーにまで FF125N を使ったのはコスト削減のためだったのだが、強力な
磁気回路が功を奏したのか、意外とうまくいって低音をよく再生する。
このシステムで写真が残っているのはこの共鳴管スピーカーだけなので、他
の2機種は紹介できないが、ローコストではあったがトータルで意外に本格
的な再生もできたのではないかと思う。
現行機種の FF125K を使って製作すれば、さらに良くなるだろう。


  本体の大きさ  幅 174 X 高さ 2,250 X 奥行き 250 (mm)

        設計図・板取り図をご覧になりたい方は、こちらから。




BH−1008V

この機種は、わたしの設計


音道の幅が一定で折れ曲がっていく、いわゆるCW(Constant Width)
バックロード・ホーン。10cmフルレンジでこの形状のバックロード・ホーンを作
ると低音が不足するのではとの心配もあるかもしれないが、決してそんなこと
はなく、一般的な低音なら2.5m程度のホーン長でしっかりと再生できる。
写真では往年の フォステクス FE106Σ が付いているが、テレビの横に置
くためにキャンセリング・マグネットで磁気漏れを低減させると同時に、駆動力
をアップさせている。そのため、このキャビネットには 6N−FE108S をそ
のまま取り付けて使用することもできる。(もちろん 6N−FE108S を念頭
に置いて設計・製作した類似機種も別にあるのだが、写真が残っていない。)
フロント・バッフルと側板は2枚重ねの30mm厚。15mm厚サブロク合板3枚
で2本のキャビネットができる設計。ホーン開口部のデッド・スペースには砂利
を敷き詰め、フェルト布で覆っている。またバッフル下部はウレタンをフェルト
布で覆って処理し、可能な限りバッフル面積をを削減している。
音は安心して聴ける安定感があり、かつ微少信号を良く再生する。平凡な音で
はなく、「切れ」「冴え」そして「優しさ」といった表現もちゃんと聴かせてくれ
るし、音場も並みの市販ブックシェルフよりもずーっと広く、市販スピーカーに多
くの面で差を付ける。
また多少録音状態が悪くても、ポップスやクラシックなど様々なジャンルをこな
すオールマイティー・タイプという意味では、ヘッドが突き出ているタイプのバッ
クロード・ホーンよりもこのCW型のほうが優れているといえるかもしれない。
ただし10cmフルレンジ1発なので、家が壊れるような圧倒的な大音量再生は
到底無理。しかし、常識的(?)な大音量再生なら十分可能である。デザイン的に
も奇抜なところがなく、万人に勧められるHi−Fiスピーカーであると思う。


     本体の大きさ  幅 250 X 高さ 805 X 奥行き 420 (mm)

          設計図・板取り図をご覧になりたい方は、こちらから。


「10cm口径フルレンジ編 その5」
表紙にもどる