自作スピーカー・ギャラリー


16cm口径フルレンジ編 その4

おそらくホームシアターの大多数は、巨大な三管プロジェクターを使用して100インチを越える
スクリーンに投影しているわけでもなく、その三管プロジェクターが液晶プロジェクターに置き
換わったものでもなく、30インチ前後のテレビ画面を中心に構築されていると思う。
そういうテレビとAVアンプで構成されたホームシアターには、特に適したスピーカーがあると
いうわけでもなく、メーカー製の小型スピーカーの中からデザイン重視で選択して問題はない
と思う。
しかし、100インチを越える大画面と大音量再生を前提とすると話は大きく変わってくる。巨大
な画面から視覚に浴びせられる刺激に見合う音のエネルギーとダイナミック・レンジと空間の
支配力が要求される。限りある一般家庭の電源供給能力で怒濤のような音を余裕を持って
再生するためにはスピーカーが超高能率であることもひとつの条件となるだろう。
そんなわけで、10畳程度の広さを持つホームシアターでの映画の音声再生を想定して、一組
のスピーカーを製作してみた。このくらいだと、中位のエネルギー感を再現できるようだ。


P−1603S

この機種は、わたしの設計


広いダイナミック・レンジと高能率を実現するために、キャビネットは共鳴管
方式とした。映画の音声の再生では特に重要になるセリフの明瞭度と厚み
を確保するにはこの方式は非常に有利。また最低域も共鳴管の全長が3.5m
あれば25Hzまでをしっかりと再生できる。しかし、その上の50Hzあたりの周
波数が落ち込むことが多いので、サブ・ウーハーを追加する必要も出てくる
が、サブ・ウーハーとしては高めの周波数を再生すればいいので、超低音
のまったく出せないバックロード・ホーンとは違って、特に巨大なウーハー・
キャビネットも必要にはならないが、かなりハイ・スピードであることが必要。
能率が足りなければバイ・アンプ駆動の必要性も出てくる。
ということで、今回はなるべく映画鑑賞の邪魔にならないように 240mm X
250mm で高さ1800mmの寸胴型のキャビネットにした。内部はユニット取り
付け部付近は断面積がユニットの振動板面積の1.2倍程度だが、開口部に
向かうに従って50%拡っていき、開口からの放射効率を高めている。内部
構造は1回折返しのパイプで全長は3.6m 。開口は上面にあるが、部屋全体
の天井高は2.6mと通常よりも若干高くなっている。
ユニットはフルレンジにフォステクス 6N-FE168SSを使った。左の写真から
も分かるように、フルレンジ・ユニットの取り付け位置はほぼスクリーンの縦
方向の中心を狙ったため、ユニットの中心位置で1345mmとかなり高い。し
かしこれは映画を観る場合にはちょうど良い位置になる。フルレンジは軸上
から大きく離れるので、高さ1050mmの位置にホーン・ツイーターのフォステク
ス FT17Hを追加。これはたまたま手持ちのユニットがあったのでこうなった
が、できればFT96Hのほうが良かったと思う。音質的には T90A だろうがバッ
フル・マウントができない。
ツイーターはバッフルにマウントされているので、位置を前後に動かしてハ
イ・エンドの微調整をすることはできないが、特にサウンド・マニアというわけ
でもなければそ必要性も薄いと思う。
音質はドライブするアンプに大きく左右されるが、微少信号の再生に強く、
大音量でも破綻せず、非常に思い切りの良い音。中音域をかなりしっかり
再生しておりセリフが中抜けすることもなくセンター定位もまったく問題な
い。もしセンター・スピーカーを置くとすれば、スクリーンの下しかないので、
置けばかえって不自然な音場になってしまうだろう。
センター・スピーカーを使ってスクリーン中央にセリフを定位させるには、音
声透過型のサウンド・スクリーンを導入するほか手はないが、奥行きの取
れない部屋ではスクリーンが前に出てくる分だけプロジェクターの投射距離
が犠牲になり画面サイズが縮小。これでは何をやっているのか分からない。
やはり一般家庭でのセンター・スピーカーの居場所を確保するのは難しい。
なお、塗装はオイル・ステインとワックス。


  本体の大きさ  幅 290 X 高さ 1,845 X 奥行き 300 (mm)

        設計図・板取り図をご覧になりたい方は、こちらから。








セッティング時のシアター正面の様子。スクリーンはワイド100インチ。



「16cm口径フルレンジ編 その5」
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