自作スピーカー・ギャラリー


16cm口径フルレンジ編 その5

昔からいわゆる「ロクハン」と呼ばれるカテゴリーのユニットはバランスが良く使いやすい
として定評があった。ロクハンとは6.5インチ、すなわち16cm口径のユニットのことだが、
ダイヤトーンのP-610が特に有名。またP-610のライバルだったパイオニア PE-16も
最近復刻され限定生産もされていたようだ。
現在16cmユニットを使ったバックロードホーンを作ろうとした場合に問題になるのが、ユ
ニットの選択。バックロード用の定番とされるフォステクスの買Vリーズの中でなぜか16cm
のFE168狽セけがバックロードで使用すると音がソフトで引っ込みがちになり、同シリーズ
のFE108狽竄eE208狽ノ比べていかにも聴き劣りがしてしまうというのが実状だ。限定
生産の強力ユニット FE168SSであればまったく問題はないのだが、これは限定生産の
時期を逃してしまうと入手難になってしまうのが困りもの。
数年前に入手したコイズミ無線の小冊子「THE 16cm」には、もう15年も前に生産が終了し
たバックロードに好適な16cmフルレンジ FP163の振動板を黒くしてFE168狽フように高
剛性のラウンドフレーム化したようなF16という機種が載っているが、その音質評にはスタ
ジオモニターに使えるほど情報量が多くfレンジDレンジも広く、まさしくバックロード向きとあ
る。バックロードでの使用で特に気になるQoの値はオリジナルのFP163よりも数値が低く
0.28。価格も売価でペア\18,000と手頃だったが、このユニットが無漂白コーン紙でレギュ
ラー製品として出てこないものだろうか。1発版もいいが、無理のないキャビネット・サイズで
20cm1発版よりもむしろクセの少ない2発版バックロードができるだろうに。 といっても、な
いものはしょうがない、か。。。
試しに、バスレフ型で使うと低音不足になるがFE168SSまでには強力ではないFF165K
「16cm口径フルレンジ編 その2」 で紹介 したバックロード・ホーン BH-1603S に取り付
けて聴いてみたが、FE168SSのような質実剛健な力強さや分解能といったものまではな
いにしろ、音が軽くのびのびと出てくるといった感じで1本\6,500という価格の割によく健闘
している。
FF165Kのスペック上のQoは0.2と十分に低く、実測データを見てもfo付近のインピーダ
ンスの山が高く大きいので、むしろマグネット重量の大きいFE168狽ノ比べて駆動力が強
くバックロードでの使用に向いているのではないか。音には大きな強調感もなく、コーン紙に
配合されているケナフの効果か紙臭さがうまく抑えられているようだ。やや人工的な音では
あるが、同じシリーズの10cm口径ユニット FF125Kとも共通する適度な張りと輝きがあり
ジャンルを選ばず音楽的。そこでこの機種ではFF165Kの使用を前提として設計を進めた。


BH-1607K

この機種は、わたしの設計

    実際にこの機種を製作された読者の方から画像を頂きました。(2001/3/4)


音道の幅は27cmで、BH-1603Sに比べ全体の横幅は
1cm、奥行きは7cm小さくなっている。BH-1603Sでは
バッフル下部のスペースにウレタン・スポンジを取り付
けてバッフル面からの反射を低減させていたが、この
BH-1607Kでは空気室の内容積を大きくしたことに伴
いこのスペースがなくなったので、バッフルは板材オン
リーでD-37のようなルックスになった。こちらのほうが
かっこいいだろう。15mm厚のサブロク合板4枚をほぼ
使いきって2本のキャビネットを作る。
左の画像ではホーン開口下部には応急処置で吸音材
が入っているが、床の強度に問題がない場合には砕石
を水平に敷き詰めて、表面を薄い布でカバーしておけ
ば重量付加と低重心化、ホーン開口からの余計な中高
音の漏れを低減する効果が期待できる。
FF165Kは聴感上は高域が伸びているようにも聞える
が実際には15kHz以上は急降下なので、ホーン・ツイー
ター FT17Hあたりを1.0μF程度のコンデンサーで載せる
と音の切れこみや透明度が向上する。
フルレンジはFF165Kのほかに、空気室を少し小さく
す ればテクニクスのEAS-16F20が使えるだろう。もし
FE168狽使いたい場合には、音道の幅をもう少し狭
めて製作したほうがいいかもしれない。


  本体の大きさ
    幅 330 X 高さ 915 X 奥行き 385 (mm)

    設計図・板取り図をご覧になりたい方は、こちらから。




FF165Kはバックロード用途としては特に強力なユニットというわけではないので、 FE168SS用のD-37あたりに比べてスロート断面積を小さく、ユニットを取り 付ける空気室の容積を大きくし、ユニットへの負担を軽減している。ホーンロードの長 さもD-37に比べ50cmほど短い2.4m。       






セッティングした状態 ( 中央のスクリーンは80インチ )
BH-1607Kの天板に重さ8kgの鉄のブロックが4個ずつ。



―――――― こちらは別の方の製作例 ――――――
この画像は別の製作者の方からお寄せいただいた画像。新素材振動板採用の新型 ユニット FE166Eを使っている。キャビネットに取り付けると旧型のFE164とそっ くりに見えるが、実質的な内容と音はまったくの別物と言っていい。FF165Kとは 総重量やマグネットのサイズと重量が同じでその他の緒特性も似かよってはいる が、やはり音は異なる。
見た目でFF165Kとすぐに違いが分かるのがセンター・キャップの仕様。 ルックスでも好みが分かれるだろうが、FE166Eに比べると振動板がやや重く金属 製のセンター・キャップの効果で明るい輝きと艶がのるFF165Kに対して、サブ・ コーンの効果で爽やかに細かく空間に音が散乱する傾向があるFF166Eと、音質傾 向でも好みが分かれるところだろう。個人的にはFEのタイプでダイキャスト・フ レームの新型ユニットの登場を期待したいところだ。

上の画像で往年の3ウェイ・スピーカー SONY SS-G5のウーハー部のみを活用した 左右ch独立のサブ・ウーハーを組み合せている。ウーハーのハイカット・フィル ターはSS-G5のものを当時のまま流用しているとのこと。
バックロード・ホーンの低音はスピード感はあるが、一般的なマルチウェイ・ス ピーカーのウーハーから出る重い低音とはちょっと違うので、音楽ジャンルやリ スナーの好み次第で大口径ウーハーを組み合せてみるのも面白いだろう。


「16cm口径フルレンジ編 その6」
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