自作スピーカー・ギャラリー
20cm口径フルレンジ編 その2
このサイトの読者の方から依頼を頂いて、フォステクスの限定生産ユニット FE208ES
(または6N-FE208SS)の使用を前提に新たに設計した機種。
これまでに6N-FE168SSで製作したBH-1605Sや、BH-1606SSの外形を踏ま
えたものの、大きさが幅、高さで約10cm、奥行きで約15cm大きくなり、高さは1.2m、
幅が51.4cm、奥行き60cm、キャビネット2本分に使用する板材は21mm厚のサブロ
ク合板が合計8枚という大型重量級バックロードになった。
ホーン開口下部には砂利を敷き詰めるので、ユニットの重量10kgも加えると総重量は
片チャンネルで100kg近くになるだろう。
BH−2005ES
この機種は、わたしの設計
実際にこの機種を製作された読者の方から画像を頂きました。(2000/7/19)
このヘッドが突き出しているの前面開口バックロード・ホーンは、長岡鉄男
氏設計の「フラミンゴ」 「スワン」 「レア」 「モア」 のような首が長く
背面にホーン開口があるタイプの長所である音場感の良さを取り入れながら
も、スピーカー背後の壁からの反射の影響を避けやや狭い部屋でもリスニン
グ距離が取れるようにと配慮してのもので、音場感はスワン型に及ばない
ところはあるもののCW型のバックロードに対して音質的にメリットを感じ
る部分もあるので、これまでに8cm口径用からこの20cm口径用まで数多く
の機種を設計・製作してきた。
しかし、本機のようにこれだけの大型スピーカともなると伸び伸びと鳴らす
にはやはりある程度広い空間は欲しくなってくる。実際にこのスピーカーを
製作された方のリスニング・ルームは約20畳近い広さのの洋室だったことも
あり、このスピーカーの潜在能力の多くの部分を引き出すことが出来たようだ。
使用ユニットは左の画像のようにフルレンジは
FE208ES、ツイーターに T500A、ツイーターのハイパス・コン
デンサーにはJensen の
0.47μF/630V耐圧の銅箔コンデンサーを使用。
スピーカー・ケーブルにはバックロードには定番の5.5スケアのビニール・キャ
ブタイヤ・ケーブル。これには音質に対する効果の要因が不明とされている
FLチューブを被せているが、床材の共振やスピーカーの音圧からケーブ
ルを守るために有効かもしれない。さらに、下の画像のようにFE208ESのバッフ
ルへの取付けには純銅のアダプター・リングを追加している。
「 音の印象 」
このスピーカーの音を実際に聴かせて頂いたのはキャビネット完成の約3週間後、
200時間余り大音量でエージングしてからのことだったので、よく言われている
「 FE208ES は前機種の FE208SS に比べかなりおとなしい。」と
いう印象はあまり感じられなかった。
オーディオ・システムはCDプレーヤーにデンオン DCD-S10II、プリメイン・アン
プがラックスマン L-509s ( 出力 160W+160W ) のみとシンプル。これらをTAOCの
鋳鉄ラックに収納。これにソフトによってマトリクス・サラウンドのリア・スピー
カーが加わる。L-509sは同社のパワーアンプ M-10( 200W+200W ) 同様、聴感上
の高域の伸びと切れ込みが出てくるにはある程度のエージングが必要ではないかと
以前長岡鉄男氏の「ダイナミックテスト」で読んだことがあったが、日頃の大音
量再生の効果もあってか十分にエージングも進んでいるといった印象だ。
同じキャビネットに FE208ES と FE208SS それぞれを装着して
鳴らし込んだというわけではないので厳密な比較にはなっていないのだが、
音の厚みや広大なダイナミックレンジ、空間の透明度やS/N感、パーカッション
や「日本爆音探訪」の衝撃音の瞬発力や切れ込みなど FE208ES の音も
まったく申し分なく、ツイーターの T500A とのつながりもすこぶる良好。音色的に
もスピード感でもフルレンジとツイーターの音域の区切り目をまったく感じな
いといっても良いほどで、ここで聴く FE208ES は決して FE208SS
に負けない切れの良さを見せていると思う。
ただし製作者の方の話によると、この BH-2005ES 製作直後はその前
に使っておられた FE168SS 使用の BH-1606SS に比べてもかな
りおとなしい鳴り方に少々驚かれたということ。やはりエージングが進んで
いない段階では、大きな違いが有ることに間違いはないようだ。
また、このバックロード・ホーンに使用した板材のカット精度
や平面性が極めて良好であり組立が順調に進んだとのことで完成後キャビ
ネットに残っていた応力が比較的少なかったためか、大抵バックロード・ホーンの
鳴らし始めで指摘されるボーボーとした付帯音もほとんど気にならなかった
という。
これには FE208ES の Qo=0.1 という前代未聞の特性も
寄与しているのだろう。キャビネットに使用した板材も非常に質の高いのもの
のようで、コツコツと叩いても余韻が短く透明度も高い。
さらに、この BH-2005ES では FE208ES のひとつの特徴でもある
低音域の伸びとエネルギー感も十分に引き出せたようだ。オルガン録音やコントラバス・
マリンバなど少し前までならこのサイズのバックロード・ホーンでもなかなか出
せなかった30Hz付近の力強い重低音をスピード感を保ったまま余裕で再生。音量を上げ
ていっても破綻をみせない。これだけ低域が伸びているとサブ・ウーハーを追加
するにはかえって頭を悩ませることになりそうだ。
しかし前言といささか矛盾するようではあるが、ひとつ気になったのはこの
試聴の時点での FE208ES では壮絶な切れ込みや確かな音像定位、十分に
広い音場の広がりといった要素は十分に感じられるものの、サブ・コーンが付いて
いた FE208SS のように傍若無人に散乱しまくるところまではいっていない
ようにも思える。これは、まだこのユニットに対して200時間ではエージングが不足
していることの現われなのかもしれない。さらなる鳴らしこみを待てというところか。
本体の大きさ 幅 514 X 高さ 1,204 X 奥行き 600 (mm)
設計図・板取り図をご覧になりたい方は、こちらから。
ユニットの取付けに純銅のリングを使用。
セッティングした様子。
以前製作していた6N-FE168SS使用の BH-1606SS と並べて記念撮影。
このBH-1606SS でも高さは1.1mあり、BH-2005ES の大きさ分かる。
BH-1606SSのほうは、マトリクス・サラウンドのリア・スピーカーとして今後
も活躍する予定。
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