身体中の細胞に酸素を運ぶ働きをするヘモグロビンが減った状態を貧血といいます. 健常人のヘモグロビン値は男では13g/dl以上、 女では12g/dl以上ですから、これらの数値以下が貧血になるわけです. 一般に女性に貧血が多く、全世界人口の30%が貧血といわれますし、なかでも発展途上国では頻度が高くなります. 先進国である欧米では人口の8%、日本ではそちらに近く8.6%です. 貧血の種類: 貧血には血液や造血機能に病気のある一次性(原発性)貧血と原因が他の病気があって起こる二次性(続発性)貧血があります. ●一次性貧血の原因と種類です. 鉄欠乏性貧血---鉄分が喪失、または摂取不足・吸収障害などから鉄分不足が起こり、赤血球が成熟障害を起こす. 巨赤芽球性貧血---ビタミンB12や葉酸の不足から赤血球が減少する. 溶血性貧血---赤血球が壊れやすいために起こる貧血. 再生不良性貧血---骨髄の働きが悪くなり、血球の産生量が減る.赤血球も減少する. 血液の悪性腫瘍---白血病や多発性骨髄腫、悪性リンパ腫など. 骨髄異形成症候群---白血病の前段階で、骨髄の働きが悪くなる. ●二次性貧血の原因になる病気です. 悪性腫瘍---消化器系のがん、その他いろいろのがん. 慢性の炎症---膠原病、結核など.長期にわたる寝たきり老人などの慢性膀胱炎、褥瘡など. 胃腸疾患---慢性の胃・十二指腸潰瘍、急性の出血性胃・十二指腸潰瘍、食道裂孔ヘルニア、痔など. 腎不全---腎臓疾患による貧血を腎性貧血という. 肝硬変---脾臓が腫れて大きくなると赤血球が脾臓で壊される量が多くなる.同時に血小板数も減少することが多い。 甲状腺機能低下症---身体のすべての代謝が低下し、血液の産生も低下する. その中でも最もポピュラーな貧血が鉄欠乏性貧血です. 純粋に鉄欠乏性であると判明している場合は決まった治療法がありますから、あなたの主治医より治療を受けて下さい. しかし、鉄欠乏だけではなさそうな貧血の場合は、貧血であるという症状が悪性疾患や膠原病などの隠れた病気の早期発見の糸口になっている場合があります. ですから、もし検診や通常の診療で貧血が見つかった場合には、本当に鉄欠乏性なのか、きちんと二次検診や精密検査を受けてチェックしてもらうようにしましょう. ・健康講座目次 |