銀杏健康講座  慢性膵炎

 お酒の飲み過ぎを続けたり、胆石症の治療を長いあいだほったらかしておくと膵臓の慢性的な炎症によって、次第に膵臓が破壊されてゆき、消化吸収障害を起こしたり、ひどいときにはインシュリン分泌低下をきたして糖尿病を合併する場合があります.

症状
 食後やアルコール類を飲んだあと、上腹部に重苦しい鈍い痛みがあらわれます.
 急性膵炎のように激しい痛みではないですが、背中の左側まで広がる場合もあります.
 膵臓の消化酵素を含む膵液の分泌が悪くなったり、膵液の流れる膵管の流れが悪くなることから食べ物の消化能力が低下し、下痢をしやすくなったり、栄養を吸収しにくくなって体重が減少し、やせ細ってしまう場合もあります.
 しかし、腹痛に関しては病状が進行してくると、かえって軽くなることが多いようですが、けっして慢性膵炎が良くなったわけではありません.

原因
 アルコールの飲みすぎによるものが60〜80%.原因不明が15〜30%.胆石によるものが5〜8%といわれています.気になるお酒ですが、一定量以上のアルコール、たとえば、日本酒ですと3合以上を10年、20年と毎日習慣的にのみつづけていると、膵臓に負担がかかり、慢性膵炎が発症してきます.その他、高脂血症で中性脂肪が1000を超える人に合併する慢性膵炎もあります.

検査
 白血球、血清アミラーゼ、尿中アミラーゼなどの上昇がみられますが、急性膵炎ほどは上がりません.膵外分泌機能試験で膵臓の機能低下を示します.
 腹部エコー検査、CT検査で膵臓の石灰化や膵管の壁不整、拡張の所見がみられます.さらに、ERCP(内視鏡的逆行性胆膵管造影)検査を必要とする場合もあります.

治療
 腹痛の強い時期には急性膵炎に準じて絶対安静にし、鎮痛剤の投与などをおこないます. 膵管が閉塞していたり、結石が原因の場合や、仮性膵のう胞を合併している場合は外科手術をおこなうこともあります.
 一般に、膵臓の破壊が進行して消化吸収障害を起こしているので消化酵素剤を多いめに処方します.糖尿病状態があればその治療も合わせておこないます.

予防
 膵臓に負担をかける生活習慣を改善することです.
 もっとも大切なことは”禁酒”です.慢性膵炎の方にはお酒が好きな人が多いのですが、”節酒”といいながら飲酒量が増えてしまう人が多いようです.”絶対に飲まない”という覚悟で禁酒に取り組む必要があります.
 胆石が原因の場合は取り除いておきましょう.食事内容については消化機能が低下しているので、脂肪分の少ない、消化の良い食事、和食がいいでしょう.ただし、せんざんき、天麩羅、フライなどの油で揚げたものやころもが付いているものは、ひかえめにしたほうがいいようです.

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