胃・十二指腸潰瘍に関してはピロリ菌の除菌により潰瘍の再発がはっきり減少することから、胃・十二指腸潰瘍でまず第一に選ばれる治療法になっています。 もう一つ、現在注目されているのは、ピロリ菌が胃炎を起こした粘膜を背景にして、胃がんや胃リンパ腫などが発生するのではないかということです。1994年WHOはピロリ菌を胃がんの発がん原因の最も可能性の高いグループ1としました。発がんに至る機序については未だ研究が始まったところですが、ピロリ菌陽性の胃リンパ腫で悪性度の低いものは、除菌治療によりかなり多くの例で改善することがあることがわかってきました。今後のこの領域の進歩が期待されるところです。 従って、ピロリ菌がご自分の胃の中に住みついているかどうかは、健康管理の上で大切です。 では、どのくらいの方の胃の中にピロリ菌は住みついているのでしょうか?ピロリ菌を調べるには、胃カメラで胃の中のピロリ菌を探すのが確かですが、血液検査(ピロリ菌抗体検査)でかなりわかります。 当院で健康診断を受けられた370名の方に、この方法でピロリ菌抗体を調べました。ピロリ菌抗体検査の結果は、陽性・保留・陰性と判定します。
以上、ピロリ菌が胃の中に住みついている方が、決して少なくないことがおわかりいただけたと思います。潰瘍の再発でお困りの方、潰瘍にはなってないけれどしょっちゅう「胃」の症状で悩まされている方は、たいてい、このピロリ菌のいたずらです。 お気軽にご相談ください。 血液検査で、ピロリ菌が住みついているかどうかは、かなりよくわかります。しかし、血液検査では、食道や胃・十二指腸にどんな病気があるかは、わかりません。必ず、胃カメラでチェックしましょう。 ・健康講座目次 |