銀杏健康講座  高血圧、2001年版

 血圧とは全身を循環する血液が、血管壁にあたえる圧力のことをいいます。この血圧の数値が、いつも慢性的に一定の基準を超えている状態が高血圧です。

 現在総人口の約20%、つまり2000万人以上が高血圧であるといわれています。しかも、血圧は年齢とともに上昇する傾向があるので、50歳以上の中高年男性においては、約半数の人が高血圧といわれるほどですから、注意が必要です。

 高血圧の診断には、自分のふだんの血圧を知ることがまず大切です。しかし、血圧は日によっても変動しますし、1日24時間のあいだでも行動にともなって変化します。そのため、一度だけの血圧測定で判断せず、時間を変え、日を変えて、少なくとも三回は測ってみるようにしましょう。

血圧の分類上の血圧(収縮期血圧) 下の血圧(拡張期血圧)
正常血圧:ちょうどよい<120同時に<80
正常血圧:普通<130同時に<85
正常範囲:高めの血圧130〜139または85〜89
高血圧:軽症140〜159または90〜99
高血圧:中等症160〜179または100〜109
高血圧:重症≧180または>110
収縮期高血圧≧140同時に<90

 高血圧は、初期には症状は起こりません。そのため、自分が高血圧であることに気づいても、治療をおろそかにする人が少なくないようです。しかし、長期間高血圧が続くことによって起こる弊害は決して無視できません。高血圧によって、動脈硬化が起こり、日本人の3大死亡原因である2位の心疾患、3位の脳血管疾患へと進展してゆくからです。

 血圧はおもに、心臓から送り出される血液量(心拍出量)と、その血液を全身にはこぶ血管の抵抗とで決まります。もし、心拍出量が増えたり、血管の抵抗が増えたりすれば、血圧は上がります。
 その原因として、遺伝的因子:脳・神経系の障害、腎臓の障害、心臓・血管系の障害、内分泌障害など。生活環境因子:塩分の過剰摂取、過食・肥満、アルコールの過剰摂取、カルシウム・カリウムの摂取不足、喫煙、ストレス、運動不足などがあります。

 高血圧のほとんどは、遺伝的因子に生活環境因子が加わって発症します。そのため、生活習慣の改善がたいへん重要になります。

高血圧予防のための生活指導

食事
(1)塩分:日本人の平均摂取量は12〜14gという統計がでています.血圧が正常範囲ながら高めの血圧の方は塩分を7〜9g程度にするとよいでしょう.高血圧の範囲に入った方は5〜6gを目標にする必要があります.実際には市販の加工食品や外食では塩分の少ないメニューを選びます.選択の余地無い場合は少なめに食べるとか、つゆは飲まないとか、お弁当にするなどして対処してください.自宅での料理に使う、しょうゆ・みそ・食塩などの調味料は加減ができるわけですからグッと減らしてください.
(2)ミネラルや食物繊維:カリウムや食物繊維を含む食品は十分とってください.なぜなら、カリウムはナトリウムの尿中排泄を増やして血圧を下げる効果を持ってます.  食物繊維は海草類やキノコ類、野菜(とくに根菜)類、豆類に多く含まれています.この食物繊維は腸内でナトリウムと結合してナトリウムの尿中排泄を促がしたりして血圧の上昇を抑えます.
 カルシウムが不足すると血圧が上昇することがわかっています.カルシウムは小魚や乳製品などに多く含まれていますから、十分とりましょう.
 マグネシウムには血管を拡張して血圧を下げる作用があります.不足すると血圧上昇することになります.マグネシウムは海草類や豆類に多く含まれています.

過食・肥満
 肥満すると循環血液量が増加、末梢血管抵抗増え、血圧が上昇します.

アルコール
 お酒は個人差があって、飲んで血圧が上がらない人もいれば、少し飲んだだけですぐ変化のでる人もいます.ですから、自分自身はどちらのタイプか観察してみてください.たとえば、家族に高血圧の人がいなくて、食事もそんなに塩分の多いものを食べていないという人は可能性がありますから、一度お酒をやめて血圧を測ってみるとわかるでしょう.最近、お酒に含まれるエタノールに血圧を上げる作用があることがわかりました.また、肝機能のうちγGTP の高い人は血圧が高くなるともいわれています.

タバコ
 タバコには血管を収縮したり、動脈硬化を早める成分が含まれています.高血圧の傾向がではじめた人は早めに禁煙を心がけてください.

運動
 血圧を下げるのに効果があります.強い運動を急に始めるのは血圧にとってよくありません.どの年齢の方にもお勧めできるのはウオーキングです.

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